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個別銘柄分析 No.7 鈴茂器工

皆さん、こんにちは。
銘柄分析を共有して少しでも皆さんの投資戦略の一助になればと思います。
個別銘柄分析の第7弾は証券コード 6405「鈴茂器工」です。
東証スタンダード上場の米飯加工機械・すしロボットメーカーになります。

サマリー

・人手不足で寿司ロボット、ご飯盛り付けロボットの需要が増加
・特にセルフでご飯盛り付けが可能なFuwaricaが好調(前期比140%)
・4月から製品・部品の値上げが業績に寄与

事業内容

店舗・厨房・食品工場向けの寿司・のり巻きロボットで世界トップメーカーです。寿司のシャリだけでなく、近年はご飯を盛り付けるFuwaricaにも力を入れてます。
国内の業態別売上高比率(下図の左)では寿司店がトップとなり、スーパーマーケット、レストランと続いています。売上高の推移(下図の右)では寿司店が急増するとともにレストラン・食堂、ホテル・旅館も増加しております。コロナ禍が終わり飲食店の出店が増えているだけでなく、人手不足による自動化のため、ご飯を盛り付けるFuwarica等の導入が増えていると推測されます。

2024年3月期中間決算説明資料より

また、売上の30%程度は海外となっており、地域別では北米、東アジア、東南アジアの順となっております。こちらも、海外の日本食ブームを追い風に概ね、順調に推移しております。

2024年3月期中間決算説明資料より

業績推移

〇中長期の業績動向
順調に業績を拡大しておりましたが、コロナ禍に入る直前の2018年・2019年が新機種の開発の遅れや主要顧客の新規出店数の減少等で売上が減少しております。その後、コロナ禍を乗り切り、飲食店の業績回復・人手不足から再び成長が加速してきている状況です。

マネックスの銘柄スカウターより

〇直近の業績
10月31日に中間決算の上方修正
を行っておりますが、通期予想は据え置いております。直近の第3四半期は前年比で営業利益で12.2%増、純利益で19.1%増となっておりますが、通期見通しに対する進捗率では65%に留まっており、例年、4Qの数値は3Qより弱いことが多いため通期見通しの達成は少し厳しい状況です。
ただ、期初予想では下期に利益が急回復する計画となっていたため、大口の更新等があるのかもしれません。

財務状況

自己資本比率は80%超と財務は盤石です。有利子負債もほぼなく、現預金も45億円も持っております。

今後の展開

①人手不足

飲食店はどこも人手不足が深刻です。そのため、機械化・ロボット化は今後も進んでいく、と思います。最近、焼肉のあみやき亭が始めた新しい業態「感動の肉と米」でも、感動の米の提供は鈴茂器工のFuwaricaが利用されていました。これまでの主要顧客である牛丼チェーンだけでなく、ラーメン店やステーキ店・ホテル等、セルフでご飯をよそることが主流になってくると思われます。
また、2021年9月に日本システムプロジェクトを子会社化しており、こちらは配膳ロボット等の販売を行っており、人手不足による需要の増加が期待できます。ただ、第三四半期に業績が想定よりも悪化し、減損損失として28百万円を特別損失に計上しているため、当初見込みよりは業績が伸びていないようですが、減損をすることで、のれん代の負荷は軽減されると思います。

②海外の日本食ブーム

海外での日本食ブームは今後も続くことが想定され、大手寿司チェーンを始め、飲食店も積極的に海外進出を行っております。日本と同等の品質を提供するためには、同じ機械を利用する必要があるため、鈴茂器工にとってもビジネスチャンスが広がります。
また、海外の飲食店が日本食を提供する際にも職人を雇うより機械化を進めることが想定されるため、海外事業は今後も伸びていくと思いまs。
海外事業を統括している副社長の谷口氏は大和証券からゴールドマンサックスと証券会社を渡り歩いた猛者であり、2019年6月に海外事業部管掌となってから、海外事業の売上も順調に伸ばしております。

③値上げ

実は一番期待しているのが2024年4月から製品の値上げを行っている点です。これまでも部品や修理工賃等の値上げを行っておりますが、4月より、機械は7%から10%、部品は7%から20%の値上げを実施します。
特に部品の値上げが業績への影響が大きいのでは、と考えており、毎日使う機械なのでメンテナンスは欠かせず、また、部品も摩耗すると思います。この保守作業の部品交換で大きく利益率が伸ばせると考えております。

目標株価

2024.4.22時点の株価は1,091円、PERは13.8倍・PBRは1.0倍となっており、株価的には割安感はありません。ただ、直近の第三四半期は過去最高の売上高38億円、営業利益も過去2番目の4.9億円となっており、今後も増加が期待できます。
ちなみに2024年3月期の予想は売上150億円、営業利益15億円ですが、中計の2025年3月期の目標は売上250億円、営業利益25億円とかなり強気の目標となっております。
おそらく、決算発表後の来期予想でも売上は220億円程度に留まるものの営業利益は中計通りの25億円あたりを予想し、人手不足・海外・値上げ効果で実際にその程度で着地するのでは、と考えております。

2025年の業績見通しは1株利益も150円程度、成長期待でPER15倍とすると株価は2,000円を超えることも期待しております。

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