陰徳を積む
大好きな本の1つに『陰徳を積む』という本があります。安田銀行(現在のみずほフィナンシャルグループ)などを設立した安田善次郎氏の半生を描いた作品で、陰徳を積むという言葉は善次郎の父、善悦の教えからとられています。
自分はEast VenturesというVCに学生時代から含めると8年ほど在籍しています。しかし入社からこれまで、一般的なVCと聞いてイメージする仕事と少し違う、いわゆる”地味系な”業務を主に担当してきました。
入社当初はシェアオフィスの管理から始まり、契約書作成(文字通り印刷や製本)、登記サポートなどを行い、現在はファンドやポートフォリオの管理からコーポレート業務なんかを担当しています。今年からオープンしたHiveShibuyaではインターネット回線を開通させる係でした笑(建物の都合でめちゃくちゃ大変でした…)
よくX(Twitter)で見かける、「〇〇へ出資しました!」や「出資先の◯◯が◯億円調達しました!」みたいなツイートを横目に特に分かりやすいアピールが外部に出来るわけでもなくモヤモヤを抱えていた時期もありました。
そういった気持ちを整理させてくれたのが最初にご紹介した『陰徳を積む』でした。安田善次郎氏の生き方や考え方に感銘し、自分が今までやってきた仕事は陰徳を積む行為に近いんじゃないかという妙な納得感(勘違い)がありました。
また以前シェアオフィスを移転するにあたって片付けをしていたら、弊社の創業者であり自分の師匠でもある松山太河さんから以下のような言葉をかけてもらいました。
その言葉を受けて自分がやっている仕事に自信が持てるようになり、今は社内メンバーや出資先の方々の負担を間接的にでも減らせているかどうかを自己評価の基準にしています。
幸いなことに最近はいくつかの会社に自分が担当として出資させていただき、コミュニケーションを取らせてもらったりもしています。
日々そういった地味な仕事をこなしていたら、ある日起業家と話すと感謝してくれたことがあり良い誤算だなと思ったことがあります。起業家は経営者でもあるので細かいところまで気付けるってことなんでしょうかね。
この経験からVCキャリアとしても陰徳を積んでいこうとするスタンスはとても良いことだなと思いました。結果的に必ずどこかで気付いてくれる人はいるし、VCは起業家に対してマイナスの影響を与えてしまうこともあると思っていて、マイナスの影響を与えるくらいなら直接的には何もせずコツコツと小さなプラス(陰徳)を積んでいくほうが良いときもあるなと感じています。(もちろん起業家に対して大きなプラスを与えられるのが最高で、その為に日々努力していくことは大前提として)
もし若手VCの方で出資先への価値提供に関して悩んでいる人がいれば、小さなプラス(陰徳)を積めてさえいればOKだと思うと、少し肩の荷が降りるんじゃないでしょうか。
自分自身としては今後も陰徳を積んでいこうとする仕事のスタンスを心掛けていきたいですし、もし周りでそういう行動を取っている人がいたら、いち早く気付ける人になりたいですね。もちろん会社としても陰徳を積んでいる人を評価できる会社でありたいと思っています。
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