漫才「彼女」

ツ:どうもペドラザの怪人です。
ボ:居場所を見つけたいな〜言うてやってますけど
ツ:浦田直也のツカミすな
ボ:ツカミどころかファン離れていってるけどな
ツ:周りはやれ結婚や子供や言うてんのにAAAの疫病神弄ってる場合ちゃうやろ。
ボ:それで言うと、まぁ俺も彼女できたんよ。
ツ:羨ましいことやね。どこで会った子なん。
ボ:最寄りのコンビニで。
ツ:コンビニでナンパか、やるやないの。
ボ:いや、ナンパとかじゃなく。
ツ:ほな逆ナン?その子水晶体潰れてない?いける?
ボ:逆ナンでもないのよ。
ツ:ほなどうやって出会うねん。ファミマの体温計みたいなサラダチキン取ろうとして手が触れ合ったとか?
ボ:だから、ちゃうねんて。
ツ:ほなどういうことやねん。
ボ:コンビニで出会ったとかじゃなくて、彼女、コンビニやねん。
ツ:そのものってこと?
ボ:そう。
ツ:…
ボ:ファミリーマート、今里駅前店
ツ:…とりあえず、お前の彼女フランチャイズなんやな。
ボ:そうそう、ほんでさ…
ツ:待って待ってやっぱ意味わからんわ。どういうことなん。
ボ:だから、俺と、コンビニが、付き合ってるねん。
ツ:初恋の人の結婚くらい受け入れられへん話やな…いや、常識的にそんなんありえへんやろ。
ボ:お前、多様性とか認められへんタイプ?
ツ:ヘイト扱いすなよ。多様性って言葉で殴ってくるやつ一番嫌いやねん。
ボ:第一、そういうテーマで小説も描かれてるからな。
ツ:うそつけや。
ボ:2016年の芥川賞も取ってて
ツ:いや「コンビニ人間」てそういうことちゃうねん。コンビニで働く人の物語やから。
ボ:恋愛小説ちゃうの?
ツ:ちゃうのよ。そのテーマやったとしてもジャンルはSFコメディやろ。
ボ:いや。けどめちゃくちゃアプローチ頑張ったんやから。
ツ:コンビニへのアプローチってなんやねん。ボランティアで棚卸しでもしたんかいな。
ボ:店舗周辺の側溝をコンクリで全部埋め尽くして。
ツ:何してんねん。
ボ:アプローチはまず周りから固めろっていうやろ。
ツ:あれ物理的にやるやつちゃうのよ。
ボ:そしたら大阪市から正式に苦情来て。
ツ:そら行政も黙ってないわな。
ボ:個人賠償請求で100万請求されてんけどさ
ツ:えらいイカれるんやな今里やのに
ボ:どうしよかなー思ってたらちょうどこないだ遊戯王カードで勝ったときのお金あるわーて思い出して
ツ:何で儲けとんねん。
ボ:鞄に入ってた1億差し出して
ツ:ガチもんの闇のゲームやってるやん。
ボ:それでもう店ごと買い取ってもうて、それをきっかけに付き合い始めてん。
ツ:こっちは馴れ初めのテイで聞いてへんねん。今里のコンビニの地価そんなもんかー思ったくらいやわ。
ボ:けどデートも俺は頻繁にしたいんやけどさ。なんせ彼女が時間なくて。
ツ:頻繁にドライバーがコーヒー買いにくるもんな。
ボ:けど俺も俺で束縛強いタイプやから。
ツ:縛らんでも定位置におるから心配せんでええやろ。
ボ:できるデートのレパートリーも少なくて
ツ:何してんの
ボ:今里ライナーの乗降客数えてんねん。
ツ:統計バイトやないか。お前大阪メトロから雇われてんか。
ボ:それがゲロ吐くほどおもんないねんな。
ツ:コンビニなんかと付き合うからや。
ボ:そんなんやってたら不満も在庫も溜まっていく一方で
ツ:しれっと何発注してんねん。
ボ:ずーっとすれ違いが続いて、こないだついに、別れ話を切り出されてん。
ツ:…切り「出され」たん?ってことは、コンビニが意思持ち始めたん?
ボ:あいつからそんなことはっきり言われたんも初めてでさ
ツ:世界的にも初めてやろな。
ボ:俺どないしたらええかなぁ。
ツ:百歩譲って、お前とコンビニが付き合ってるのは理解するものとしよう。やとしても、立場が違いすぎるわ。もうちょい冷静になって、自分のこと、彼女のこと、客観的に見てみたら?あなたとコンビになるべきは、他にもおるんちゃうの?
ボ:なるほどな。たしかに俺がアホやったかもしらん。
ツ:伝わってくれたか。
ボ:今度は、コインランドリーと付き合うわ。
ツ:何もわかってへんやないか。
ボ:とりあえず、コンビニとの記憶は、綺麗さっぱり、洗い流そう。
ツ:もうコインランドリーの感じなってるやん、やめさせてもらうわ。

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