漫才「天気予報」

ツ「どうもペドラザの怪人です。」
ボ「顔と名前の入っている公的証明書だけでも持ち帰ってください。」
ツ「マイナンバーカード持ち帰らせようとすなよ。どえらい個人情報やぞ。」
ボ「こないだ天気予報見ててさ」
ツ「遊びに行く予定でもあったん?」
ボ「いや、副業やってて」
ツ「副業て、気象予報士でもやってんの?」
ボ「いや、こないだ黒いスーツ着た強面の男に、『これからお前は一週間、天気予報をただただ見て、ちゃんと放送されてるか報告しろ』言われて」
ツ「怪しさがオレオレ詐欺の比じゃないなそれ。」
ボ「『ただ、俺から言われたってことは絶対に口外するなよ』とも言われて」
ツ「発泡スチロール製の橋渡ってんかくらい危ないな」
ボ「まぁ、それで見てたんやけど」
ツ「ただ見てるだけで利益発生するとかおかしいやろ疑えよ」
ボ「一個だけ気になる天気予報があってさ」
ツ「何があったん?」
ボ「大阪 晴れのち大雪」
ツ「あんまり聞いたことないな、唐突に雪降りだすって。まったくフリ効いてないやん。」
ボ「唐突すぎるな」
ツ「ボケやとしたらシュールすぎて客ついてこられへんタイプやわ。」
ボ「ほんで、ところにより銃撃戦言うてて」
ツ「ところにより、がどこか一番気になるとこやろそれ。何なん、ミリタリーフェアのCMなん。」
ボ「俺もようわからんまま聞いててんけど」
ツ「よう聞き流せたな。ミュージカルのラジオCMとちゃうんやぞ。」
ボ「翌日なったら俺の口座にに入金されてて」
ツ「いくら?」
ボ「1,000万」
ツ「ボロい副業やなおい!天気予報見るだけでそんな入ってくるんかい」
ボ「さっそく使ったんやけどさ」
ツ「えらい早いね。」
ボ「プチ整形」
ツ「どこをやったん?全然変わってへんやん」
ボ「肩と背中と太もも」
ツ「なんで軒並み隠れてるパーツやねん」
ボ「見えない所こそお金をかけよかなて」
ツ「金かけるの概念が違うんやて、脱毛とかそういうことを言うとんねんあれは。」
ボ「けどやっぱりマシンの肩はいいよ、めちゃくちゃ投げやすい」
ツ「いや整形の域超えて改造やん!銀河鉄道999の世界観やぞ機械の身体て。」
ボ「けど、いざ整形してみたら、もうちょいいきたいなと思ってきて」
ツ「まぁ人間の性やね」
ボ「もっかい副業やろう思って親玉に電話したらさ」
ツ「親玉言うてもうてるやん、反社会勢力感強なってんねんて。」
ボ「なんか全然繋がらんくて」
ツ「雲行き怪しいね」
ボ「天気だけに」
ツ「は?」
ボ「て!ん!き!だ!k…」
ツ「聞こえへんかったわけじゃないねん」
ボ「んでニュース番組つけたらさ、親玉が捕まっとって」
ツ「えらいことやん」
ボ「なんかあかんヤツの取引してたらしいわ」
ツ「あかんヤツて…」
ボ「ほんで、どうやらその暗号を、一部の人間に天気予報を通して送ってたらしいわ」
ツ「そういえば晴れのち大雪ておかしいこと言うてたな」
ボ「そやねん、それを見ましたって親玉に報告してんけどさ、今思えば怪しいよな。」
ツ「いや当時から怪しさ全開やったやろ。ほんで、ところにより銃撃戦言うてたな…なんか送られて来んかった?」
ボ「きたわ。新聞紙に包まれた」
ツ「ピストルやないの?」
ボ「雪見だいふく」
ツ「急なファンシー路線やな」
ボ「30個入り」
ツ「ファミリーパックやん。30個もあれば分けても大丈夫やて言うてる場合か。」
ボ「警察が調べたら、車のダッシュボードから雪見だいふくがようけ出てきたらしいわ。」
ツ「そんなファンシーなもんをややこしいとこに入れんなよ」
ボ「白い粉はかかってたらしいけど」
ツ「無限に摂取しても害ないねんあんなもん。」
ボ「まぁとりあえず、なんともなかったってことで」
ツ「よかったやん、とりあえず。」
ボ「僕の心も、天気だけに晴れ晴れということで。」
ツ「お後がよろしいようで。」

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