漫才「友人」

ツ「どうもペドラザの怪人です」
ボ「生き別れの兄弟で漫才やってます」
ツ「笑えへんやろそんなコンビ、ネタより生き様が聞きたいわ」
ボ「嘘嘘、赤の他人同士でやってます」
ツ「先ほどとはうって変わりすぎやろ」
ボ「言うてますけどね、友達は大事にせなあかんね」
ツ「目の前に落石あったんかってくらいハンドル切りまくるやん。大丈夫か。」
ボ「いや、最近、偶然昔の友達に会うてね」
ツ「あぁ、そういうのええね。学生時代の友達?」
ボ「うん、俺がちょうどイギリスおったときに…」
ツ「待ってお前帰国子女なん?初耳やし耳を疑う話やぞ」
ボ「失礼やな。」
ツ「英語ろくに喋られへんやんお前、何年おってん。」
ボ「2歳から」
ツ「けっこう昔やん」
ボ「2歳3ヶ月」
ツ「短いな。大学生の夏休みやないか。」
ボ「超絶に濃い三ヶ月やったよ」
ツ「言い回し大学生に寄せにいかんでええねん」
ボ「ホストファミリーのとこ泊まってたんやけど」
ツ「まともに喋れへんやろその時期。てかその時期の3ヶ月間よう覚えてたな。」
ボ「そこで出逢った友達やって」
ツ「何きっかけなん?」
ボ「俺がホストファミリーに虐められてたところをたすけてくれて」
ツ「2歳半でイジメの概念植えつけられて、可哀相に」
ボ「それはしゃあないねん、俺の持って生まれたもので」
ツ「持って生まれたもの?」
ボ「実は、俺の額に傷があってさ」
ツ「ん?」
ボ「その傷を持っているものは、悪い悪魔として扱われたんよ」
ツ「頭痛が痛いみたいなってもうてるけど。ネガティブ要素の二重表現で語彙力おかしなってもうてるやん」
ボ「だから、仕方なかってん。」
ツ「待って、額に傷のある子供って…どっかで聞いたことあるで。その傷の形ってもしかして…」
ボ「発電所」
ツ「発電所?」
ボ「の地図記号」
ツ「地図記号!?額に稲妻のマーク入ったこどもの話かと思ったら、まさかの電気の親玉のマークやったんか」
ボ「けど俺も気付いたらなっててさ」
ツ「そもそも発電所の地図記号てどんなんやっけ?」
ボ「太陽が元気モリモリみたいなポーズしてるやつ」
ツ「太陽光パネルのメーカーのイメージキャラクターなん?」
ボ「それがおデコに刻まれてんねん」
ツ「稲妻ならまだしも、発電所の地図記号は何かしらの意図を感じるぞ。どんなイジメやったん?」
ボ「みんな俺に携帯を近づけてきたり、充電器を挿そうとしたり…」
ツ「電気溜め込んでる思われたんちゃうかな、発電所やし。」
ボ「けどそんな俺を救ってくれたのはその友達でさ」
ツ「ええ友達を持ったやないの」
ボ「一緒に遊んだり」
ツ「ええやん」
ボ「泣いたり」
ツ「うん」
ボ「笑ったり」
ツ「あぁ」
ボ「ときに怒ったり、悲しんだり」
ツ「お前の語彙力ソナーポケットなん?」
ボ「え?」
ツ「具体のエピソードなさすぎるねん、全部浅いところの感情で済ませようとすなよ」
ボ「しゃあないやろ2歳やなんから」
ツ「都合ええ時だけ2歳引っ張ってくんなよ。超絶に濃い3ヶ月ちゃうかったんかい。」
ボ「とりあえず俺の心の支えやったわけよ。精神的支柱。」
ツ「柱ぐらっぐらやないか。」
ボ「そんな友達とこないだ会ってん」
ツ「どこで会うたんよ」
ボ「大阪刑務所で」
ツ「捕まっとるやないか」
ボ「なんか電気盗んでたらしいわ」
ツ「お前おらんようになったからちゃうの。ほんでなんでお前も刑務所に行ってんねん。」
ボ「副業で、命の授業やってんねん。」
ツ「あれゴルゴさんの専売特許やねんて。」
ボ「人という字は二本の棒っきれが…」
ツ「ほら、もう棒っきれて言うてもうてるし。説得力あらへんがな。」
ボ「そこで、えらく感動してる同年代の子が、その友達やってん。」
ツ「ほぉ、そりゃ偶然やわな。」
ボ「『久しぶり!いや〜今日の話良かったわ〜』て言うてくれて。」
ツ「よかったやん、二番煎じやけど響いたみたいで。」
ボ「『お前の言葉の一つ一つに、身体に電気が走って、目の前が明るくなったわ。』言うてたわ。」
ツ「いや発電所イジリされてるやん、もうええわ。」

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