ビル・ウィザースをしのんで

先月の30日にアメリカのシンガーソングライター,ビル・ウィザースが亡くなりました。

*詳しくはこちらの記事を参照あれ →udiscovermusice.jpの追悼記事

ボクはうかつにも2014年の春までこの偉大な黒人シンガーの存在を知らなかったのです。

そしていまも彼のキャリアや音楽について詳しい説明はできないままでいますが,29才まで海軍に身をおき,ミュージシャンとして大成功を収めたあともごく普通の市民の生活感を何よりも大事にした,いわば「凡人の暮らしを美しく歌った異才」の音楽に深い愛着を抱くようになっています。

上の追悼記事のタイトルにもあるように,彼は「ソウル界のレジェンド」と評されることが多いのは事実ですが,その曲を聴けばまた歌詞を読めば,北米の黒人音楽とはまた別のルーツの要素も積極的にとりいれた良質のポップスを紡ぎだした才能だということもよくわかります。

少し長いビデオですが,引退後のビルのインタビューもまじえた伝記的なビデオを見れば,あらためて彼の音楽の普遍性(ボクは「地に足がついたモダンさ」と呼びたくなります)がよくわかります。

2014年にボクが彼の音楽を知るきっかけをつくってくれたのは,その年の4月に九州で開催されたラファのライドイベント『Rapha Gentlemen's Race Oguni』に一緒に参加した当時のチームメイトのひとりでした。

その友人ハトさんが後日ボクらが走る姿をプライベートな動画にまとめて楽しませてくれたのですが,そのとき彼がBGMに使ったのがビルの"Can We Pretend?"だったのです。

阿蘇のふもとを走るボクらは屈強でも優雅でもないただのホビーライダーですが,朝日の中で走るよろこびをかみしめて微笑む姿にビルの音楽がたしかにマッチしているのです。

それはきっとビルが平凡な人生の中の美しい時間のかけがえのなさを誰よりも的確に歌えた人だったからでしょう。

彼の音楽もハトさんのビデオもボクの人生の歩みをずっと照らしてくれるはずです。

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