バート・バカラックに育てられて

音楽系のサイトのひとつで大好きな音楽コンポーザーのひとり,バート・バカラックが15年ぶりに新譜を発表するというニュースを見て少し怖くなりました。


だって,御大は92才。数々の名曲を世に出してきた20世紀後半のアメリカンポップスの歴史そのもののであるような作曲家。もしかして,これが彼の白鳥の歌になるの?という危惧です。


ボクはアメリカが文句なしに世界で一番リッチだった時代の音楽・ファッション・トレンドなどに無邪気に憧れて育った世代ですが,バカラックはまさにその時代のアメリカ的な洗練を音で体現してきた人。


いまはそのアメリカの「洗練」が数え切れないほどの欺瞞や差別の上に成り立っていたことを痛感せざるをえない時代ですが。


でも,人は誰しも自分が生まれた時代の制約の中でしか生きてはゆけないし輝くこともできないのですね。


ボクが彼の音楽にはじめて惹かれたのは10才か11才の頃。たぶん帝人かなんかのアパレルのCMのBGMを聴いてからでした。


オリジナル曲を歌うジャッキー・デシャノンでも,大好きなディオンヌ・ワーウィックでもなく,いまは現代を感じさせるサラ・バレイユの歌でその曲を聴いています。


NYの夕焼けを背景に時代を越える普遍性をしみじみと感じます。


やっぱりあの時代のアメリカの文化は省みる価値があるなあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?