コント「三回見たら死ぬ絵」
美術館の一枚の絵とスタッフ
客が歩いてきて絵を訝しげに見る
客 「あの、この絵って。」
ス 「あ、こちらは1960年代のロシアの画家の作品でして、通称『三回見たら死ぬ絵』です。」
客 「ですよね。びっくりした。この絵って実物存在するんですね。」
ス 「そりゃあ存在しますよ。」
客 「ネットでしか見たことなかったので。」
ス 「まあそういう方多いですね。」
客 「でもちょっと見れて嬉しいかも。」
ス 「この美術館の常設展示なので、これ目当てにここに来る方もいらっしゃいますよ。」
客 「三回見たら死ぬ絵を見にですか?」
ス 「はい。人生の全てに疲れてるんですかね?」
客 「そんな本気で死にに来ないでしょ多分。面白がってる大学生とかYouTuberだと思いますよ。世界で1番暇な人間しかこれ見に来ないでしょ。」
ス 「ああ、なるほど。まあ実際には何回見ても死なないので安心してください。」
客 「ですよね。僕もネットでは何度も見たことありますし。」
ス 「はい。大丈夫です。この後の順路にこの作品のレプリカが2枚ありますけど、誰も死んでないので。」
客 「なんでちょっと殺そうとしてるんですか」
ス 「はい?」
客 「わざわざ三回見ないと出られないようにしなくていいでしょ」
ス 「いや、まあ、せっかくなので。」
客 「『せっかくなので』?え、本当に大丈夫なんですよね?」
ス 「もちろん大丈夫です。変な噂がついちゃってますけど、ちゃんといい絵なんで良かったらじっくり見ていってください。」
客 「まあ、はい。この絵ってどういう背景で描かれた絵なんですか?」
ス 「いやあ、ちょっと、わかんないですね。」
客 「あ、じゃあこの絵って」
ス 「ごめんなさい。この絵について質問されても全く答えられないです。」
客 「え?なんでですか。スタッフですよね?」
ス 「まだここの担当になって一回目なんです。この絵の担当は二回やったら交代なんですよ。」
客 「え、スタッフだけ対策してるの?」
ス 「対策、、、」
客 「三回見ないように対策してるじゃ無いですか2回で交代って。」
ス 「ああ、まあ、念の為。」
客 「この絵の効力を結構信じてる人が運営してるじゃんここ。じゃあ順路に三つ置いてるのはもう明確な殺意だよ。」
ス 「殺意というか…」
客 「なんかもう怖いですねここ。せっかくここに来るの楽しみにしてたのに。」
ス 「ちなみにお客さんは何を目当てに来られたんですか?」
客 「ツイッターでバズってた『芸能人にそっくりな彫刻』を見にきました。」
ス 「世界で2番目に暇そうですね。」
終わり