Crossroad Blues


2024年5月にローリング・ストーンズのライブを観るべくラスベガス旅をして、その最終日にシルク・ドゥ・ソレイユのMichael Jackson: Oneを観たよ

ダンスがメインだから誰でも楽しめるしMJ好きなら絶対オススメです

会場のMandalay Bayホテルは外観も内装もゴージャスで観客みんな幸せそうだったし、何度も感動の涙が溢れたよ。

終演後、俺はひとり会場を後にして宿泊先のホテルへ帰るべく夜のバス停へ。

帰ったら荷造りして、早朝のフライトに向けて深夜には空港へ行かなきゃな…

そう、間もなくベガスともお別れ。
数時間後には機上の人となる予定だ。

やがて1台のバスが到着。乗り込もうとすると黒人のチャーミングな女性ドライバーが何やら注意事項を発してる

途中でガソリン給油して裏道を進むけど良い?みたいな事を言ってたけど英語でよく解らない。

ベガスの観光客向けバスはとてもシンプルで大通りを南北に往復するだけなのだが
どうやらこのバスは違うっぽい

念のため宿泊先のホテル名を伝えて停まるかどうか?を尋ねると女性ドライバーは"YES,Come in."と手招きしてくれた

次のバスを待つ手もあったが
旅の最後にちょっと冒険してみたい気持ちが疼いてしまい、乗ってしまってさぁ大変。

給油後バスはどんどん郊外へ進み、なかなかホテルに着かない。
途中はるか遠くにそのホテルのネオンが見える停留所に停まったのを最後に、更にひと気の無い地域へと進むバス。

2〜3つほど停留所をやり過ごしただろうか?見渡すと乗客は地元民ばかりで観光客は俺ひとり。すると後部座席に座ったマダムが話しかけてきた。

明らかに俺を心配そうに見ている

「何処に行くんだい?」

「◯◯ホテルだよ」

「それもう過ぎたよ、あなた乗り過ごしたんだよ…運転手に伝えたほうが良いよ」

マダムは俺の様子から、先ほどのネオンが見えたバス停で俺が降りない事を気にかけてくれてた感じだった。

俺は次のバス停で停車したタイミングで運転席へ向かう。

おい、さっきのバス停ってホテルの最寄りだったのか??
降車ボタン押さなかった俺も悪かったけどな、観光客の俺がさ、あんな暗くて遠そうなトコで降りようと思う訳ないだろ!◯◯ホテルに行きたいんだって伝えたよな?通過する前にちゃんと知らせてくれよ、なあ

と英語で伝えることが出来ず「
…passed the Hotel?」と俺。

するとドライバーは「…いやいや、私は悪くないよ規定通り運行してるんだから」みたいな感じで捲し立ててきた。そして思案する俺に
「…あそこにマクドナルドあるでしょ?すぐ近くに反対方面のバス停があるの。でも乗車する前に◯◯ホテルに向かうかどうか?は一応ドライバーに確認して頂戴。私と同じ制服を着てるはずよ」

と少しバツが悪そうに伝えてくれた
なるほど窓の外にマックが見える。
俺は笑顔でドライバーとマダムにさよならした。

もうすぐ深夜に差し掛かる頃

俺はネバダ州のよく判らん十字路に独りポツンと立っている

確かにバス停はあるがマックの灯りの他は真っ暗、そして歩道にはホームレスらしき男の二人組が寝転んだり座ったりしていた。

不意にその一人が立ち上がり、車道の真ん中へフラフラと歩き出すと
そこへ通りがかった車がクラクションをけたたましく鳴らしながら猛スピードで走り去って行く。

(当たり屋か?単なるイタズラ…?)

するとそいつは踵を返し歩道へ戻って来て、スタスタと俺の方へ向かって来た。

(カツアゲだった〜)

でもこういう時、俺は性格的にへっちゃらなタイプで幸いだったと思う。

狼狽える素振りを見せれば付け込まれるし、こっちが堂々としていれば向こうも面倒は避けるものなのだ。

よく見りゃヒョロい奴だし素手ならなんとか…まぁ話せば判るっしょ?
最悪2人がかりで来られたらマックにでも駆け込むか…好きなもん奢ってやってもいいぜ。

男が近づく
俺は胸を張って立つのみ。

すると男は無言で俺の目の前を通り過ぎて何処かへ消えて行く…

やれやれと男の後ろ姿を見送った次の瞬間、眼の前に1台のベンツがやって来た。

車内から「Are you Shibuya?」とドライバー

そう、Uberである。

反対方向のバス?そんなの乗ってられっかよ!

とばかりにバスを降りてすぐアプリで手配していたのだ。

俺は車に乗り込み、ドライバーと行き先を確認し夜のハイウェイへ。

ドライブ中、俺は考えに耽っていた。

あのバス運転手め、なんて不親切なんだ!
…でも彼女も緊張感もって夜勤の仕事してるんだよな。
戻りのバス停のこと、丁寧に教えてくれた。

あのマダムにも、もっとちゃんとお礼を言えば良かったな…お陰でダメージ浅かったよ

あのホームレス達、シルク・ドゥ・ソレイユって観たことあるのかな?
大通りに出かけたことは?
1日に何百ドルもかけて繰り出す事なんて、今まであったのだろうか?

そもそもホームレス=悪って決めつけてた俺ってなんなん?

いつしか俺は自身のこれまでの思考を顧みていた

「君どこから来たの?困ってる?」
なーんて、話しかけようとしてくれてたのかも知れないじゃん

そう考えると、この短いバス旅で出会った人達がみーんな心優しい人ばっかりに思えてきた。

世界中から観光客が集まるラスベガス。

だからといって、よそ者の俺がローカルエリアにまで来といて身勝手に振る舞っちゃダメだよね

俺は自分の傲慢さを少し反省しながら、Uberは無事ホテルに到着。

数時間後、飛行機は離陸し俺はアメリカに暫しの別れを告げる

俺は眠らない街ラスベガス大通りを飛行機の窓から見おろした

早朝でもキラキラしていて綺麗だね

色んな思い出をありがとうラスベガス
さぁ日本へ帰ろう
#MichaelJacksonOne
#CirqueduSoleil
#MandalayBay
#LasVegas

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