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タイが呼んでいる

月に一回、リンパマッサージに通っている。セラピストのHさんはタイが好きだ。会社員から今の仕事にキャリアチェンジした頃にタイへ旅行し、好きになったらしい。部屋には木彫りの象のお香入れが置いてある。

もう一か所、2~3ヶ月に一度行く、マッサージ店がある。こちらは中国推拿式というやり方で、背中を中心に筋肉をほぐしてくれる。そこのSさんもタイが好きだ。「空気がおおらかで、人が優しくていいんですよね」と言っている。

数ヶ月前、一日瞑想会へ行った際、そこにタイ帰りの女性Aさんが参加していた。リトリート(:観光を目的とせず、日常から離れた場所で自分に向き合う旅)に行ってきたらしい。「タイ、すごく良かった~」とお話されていた。

私は西洋の都会が好きだ。NY、ロンドン、ベルリン…。だからタイでゆったり過ごすことには全く興味が無い。上記お三方の話を聞いても「人は癒しや安らぎを求めてタイへ行くんだなぁ。まぁ、私は行かないけどね。」と思っていた。

ある日、仕事でMさんという人と出会った。その日が初対面だったが、歳が近いこともあって親しくなり、ランチを取りながらおしゃべりをしていた。話題が”お互いが今まで行ったことがある外国の話”になったとき、Mさんが言った。「そういえば、私、この前初めてタイへ行って…」。Mさんもタイ!Hさん、Sさん、Aさん、Mさん、みんなタイ!私は「タイが私を誘ってきているようだ」と思い始めていた。

そして一昨日、仕事が終わって、駅の居酒屋で遅めの昼ご飯を食べていたとき、隣席の女性2人の話が聞こえてきた。断っておくと、私が聞き耳をたてたわけではない。席と席の間隔が近いため、心ならず聞こえてしまっただけだ。その20代の友人同士と思しき2人は、どうやら大麻の話をしているようだ。「人生経験として面白いよ…」「感覚が敏感になって、食事とか5倍くらい美味しく感じた」とかなんとか言っている。そして次に言ったのは「タイは合法だから日本に帰る前に抜ければいいから…」(後で調べたところ、娯楽目的の大麻の使用は規制されようとしているらしい)。

Googleによると日本からタイへの渡航者は、年間約80万人程度らしい。日本の人口が約1億2.5千万人なので、1年で日本人の0.6%強がタイへ行っていることになる。延べ人数にしたらもっとパーセンテージは高くなるだろうが、あちこちでタイ帰りの人に遭遇するほどの数だろうか?私には、タイが私を呼び寄せようと包囲網を張っている気がしてならない。でも小学生の子どもを日本に残してフラッと行くわけにもいかず、「そんなに誘われても、今すぐにはまだ行けません」とお断りしている次第である。

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