ドラマ『女子高生の無駄づかい』のエキストラに参加させて頂いたときの話

女子高生の無駄づかい(以下「女子無駄」)は、ビーノ先生原作の、さいのたま女子高等学校(通称「さいじょ」)に通う個性派ぞろいのJKたちが女子高生活を無駄に浪費する日常学園コメディです(Wikipediaから引用)。一度は打ち切られたものの、その後連載再開、アニメ化、ついにはドラマ化まで果たし、原作は今もなお(2022年5月現在)連載中という大変すばらしい漫画でございます。

このドラマ版女子無駄ですがエキストラを募集していた時期があり、あまり大っぴらには言っていませんでしたが、それに応募して1度だけ参加させて頂いたことがあります。
もう2年も経ったしいいだろ…と思うので、当時の思い出を振り返りながら、エキストラに参加したときの様子を覚えてる範囲で書いていこうと思います(本当は書いちゃいけない部分もあるのかもしれないけど、怒られたら消します)



エキストラに応募するまで

2019年の年末、我々女子無駄ファンはまさかのドラマ化の一報を受け、期待や不安で浮足立っていた。
そんな中、ドラマのホームページではエキストラの募集をしていた。
当時は「まぁ参加できるかわからんけどとりあえず記念に応募だけでもしてみるか…」という軽い気持ちで、参加フォームに入力をしていたと思う。

そんな応募したこともすっかり忘れていた数日後、携帯に知らない番号から着信があった。出てみると、なんとテレビ局のドラマを作成している部署の方からだった。
「来年2020年1月×日に女子無駄の撮影をするけどエキストラとして参加して頂けないか(要約)」という内容だった。
すぐにスケジュールを確認し、予定がない(仕事を命じられても休む気満々だった)ことを確認した俺は快諾した。
その時、テレビ局の方からはこう言われた。
「内容は道路の歩行者役です。大学生かサラリーマンになって頂く予定ですので、よろしくお願いします。また撮影の1週間前にご連絡しますね」

なんと、大学生かサラリーマンということだった。
いろんな人に「ぴあすさんは童顔だよねー」とか「若く見えるわー」とか言われてはいるが、流石にもう30を越えているオッサンである。
それに服はどうする。サラリーマンだったら普段着てるスーツでいいが、大学生役だったらそうもいかない。まぁ普段着てるユニクロのジャケットでも着ればいいか。
なんとかサラリーマンにしてくれないものだろうか、そう思いながら年を越した。

参加が決定して困ったこと

2020年1月上旬。まだコロナウイルスというものが世に出回る直前のことである。前に連絡をくれたテレビ局の方から電話が来た。

「朝○時(ちゃんと覚えてないけど6~7時くらいの早い時間)に××駅に集合です。内容は歩くだけですが、一応役は男子大学生です。また、作中の季節は春ですので、春服での参加をお願いします(要約)」

なんてこった。大学生の役か。
しかも、サラっと言ってくれたけど春服が必要ということだった。

とても困った。超困った。当時、今時の男子大学生が春に着るような服を全く持っていなかったのだ。
冬服ならまだジャケットで誤魔化せたけど、春服だとそうもいかない。学生時代に着てたような服は全て実家に置いてきてしまった。
しかも、ドラマでの撮影ということで、キャラクターやメーカーのロゴが描かれているものはNGということだった。

俺と親しい人はわかると思うけど、当時は(今もだけど)面白い絵が描いてあるTシャツや、ゲーム実況者とコラボしたパーカーなど、そんなものばかり買っていた。元々の手持ちの服不足もあり、選択肢はかなり限られたものになった。

苦肉の策として、少し前に買ったゲーム実況グループ「ナポリの男たち」のイベントで販売していたTシャツの上に薄目の黒いジャケットを羽織るという暴挙に出た。

参考:ナポリの男たち オシャレTシャツ(アニメイトより引用)

これならまぁ、キャラクターの絵じゃないし、何よりちょっとおしゃれだし、ギリギリ大学生が着ていてもおかしくはないだろう。
こんな素敵なちょうどいいTシャツを作ってくれたナポリには本当に感謝したい。

撮影当日、早朝に××駅前に集合する。
ADっぽい人が出欠を取っていた。既にエキストラに参加するであろう人たちが集まっていた。
結果的に、全員で20人くらいは集まっていたと思う。中には知り合い同士もいたのか、談笑してる人たちもいた。
時間となり、ADの方に先導され撮影場所へ向かう。2分ほどで現場に辿り着く。そこは商店街の一角の、テニスコートくらいの大きさの広場だった。
現場は既に撮影の準備が始まっていた。エキストラの人数と同じくらい、もしくはそれ以上の人が忙しそうに(けど楽しそうに)動いていた。
エキストラの面々は、説明を受け、しばらくその場で待機することになった。

演者の登場

1時間くらい待っていると、現場に1台のバスが到着した。いわゆるロケバスとよく呼ばれているタイプのバスだ。
そこから出てきた人たちを見て目を疑った。出てきたのは、、、

バカ役の岡田結実さん

ヲタ役の恒松祐里さん

ロボ役の中村ゆりかさん


誰が出てくるシーンとかは全く聞かされていなかったけど、なんと今から撮るシーンはメイン3人のシーンだったのだ!!

当時、まだ第1話も放映される前で(確か予告編はYoutubeに上がっていたとは思うけど)ちゃんと動く実写版バカヲタロボを見るのはこれが初めてだった。
この3人の撮影に参加させてもらえるのは、とてもラッキーだった。


役者さんたちを間近で見て感じた印象は以下のような感じである。

岡田結実さん:お前のようなバカがいるか
※超綺麗な人!これで彼氏いないとか嘘やろお前!でも演技中の言動はマジでバカだった。すげぇ。

恒松祐里さん:ヲタだ!!!ヲタがいる!!!
※3人の中で1番原作に近いイメージ、というかまんまヲタが現実化した姿だった。すげぇ。

中村ゆりかさん:美しすぎる…
※次元が違った。前世でどんだけ徳を積んだらこうなれるのか。存在が尊い。マジメや高橋が惚れるのも無理もないと理解した瞬間。すげぇ。

テレビに出て活躍されてる方のオーラは全然違った。そこにはスタッフさんやエキストラの人がたくさんいたが、やはり彼女らは別格だった。本物の役者さんは存在感がまるで違った。一般ピーポーが何人いようが、あの3人のオーラにはかなわないだろう。マジで後光出てたよ。後光。
3人が現れたことで、現場の空気が一変した。別世界の人間だというのをひしひしと感じた(いい意味で)
特にロボ(中村ゆりかさん)は本当にべっぴんさんだった。いやもう美人すぎる。この人のこと推そうと思った瞬間だった。

撮影開始

撮影は滞りなく進んだ。
エキストラはまずAグループ、Bグループといったようにいくつかのグループに分けられ、Aグループが撮影に入るときはBグループはお休み、または「Aの人たちは向こうからこっちに歩いてきて、Bの人たちはこっちから向こうに歩いていく感じで!」という感じで指示が来るのでその通りに動く、という段取りだった。

動き自体は、本当にただ歩くだけだった。監督(あるいは監督の指示を受けたアシスタントさん)がどう動けばいいか指示を出してくれるので、スタートの合図が出て終わりの合図があるまでひたすらその方向に向かって歩き続ける。本当にそれだけだった。マジでバカ(田中)でもできる。
中には、写ってはいけないもの(関係ない会社の看板とか。多分スポンサー絡み)を写さないために「そこに立ってて。スマホいじってる風で」と言われている人もいた。なるほど、エキストラにはこういう使い方もあるのかと感心した。

自分たちのグループが休みのときは、撮影の様子を見学することができた。
内容はバカ、ヲタ、ロボの3人が「いいイケメンいないかなー」とか言いながら道を歩いて、見かける男たちを観察していくというような内容だった。
プロの演技を生で見れたというのは貴重な機会だった。さっきまで凄い綺麗で「本当にこの綺麗でめっちゃモテそうな人がバカをやるの…?」と思ってた岡田結実さんは、本当にバカになった。カメラが回りだすと岡田さんじゃなくなったのである。テレビに出てる人オーラ全開だった人が、なんとバカになったのである。
恒松裕里さんはヲタだし、中村ゆりかさんは綺麗にロボになった。ガチの俳優さんの演技力に、ただ圧倒された。

出演者の演技だけでなく、それを支える裏方の存在もまた素晴らしかった。
撮影場所にはもともとベンチがないんだけど、多分スタッフの人が作ったであろう持ち運べるベンチを置いて雰囲気を作っていたのが印象的だった。
(そこのベンチは後で、全然関係ない通行人のおばちゃんが普通に座っていったのが更に印象的だった)
カメラに写っていないところでは、大勢のスタッフさんが動いていた。
監督やカメラマンはもちろんのこと、レフ板をもって光を当てる人、カメラが回り始めるまで大きな日傘を持って3人のそばにずっと立ってる人、近くのパチンコ屋に「撮影の瞬間だけのぼりを倒しても構わないか」と交渉する人、撮影時にちょっと離れたところで一般の人に少し待ってくれと説明する人、などなど。。
1つのシーンを撮影するだけでも、演者の人だけでなく、スタッフやエキストラも含めて本当にいろんな人が動いていた。
実際のドラマの撮影現場を見ることができたのは、本当に貴重な経験だった。

後から気付いたことだけど、エキストラには大きく3種類あった。
1つ目は、自分らみたいな一般応募のエキストラ。スタッフさんには「ボランティアの皆さん」と呼ばれていた。
2つ目は、エキストラの派遣会社から人たち。後で調べたけど、いろんなドラマの撮影に参加できることを謳い文句に、人材を募集してた。当然女子無駄の枠もあった。こういうのは給料は出ないか、あっても安いのがほとんどらしい。でもプロの演技を近くで見れるのはいい刺激になるので、役者の卵とか暇な主婦とかが応募するんだろうなぁと思う。
3つ目は、簡単に言うと役名のない出演者の人。物語に深く関わるわけじゃないけど、主要な出演者との絡みがあったりするような人たち。今回の例でいうと、バカたち3人から「あの人(イケメン)はどう?」と指をさされるイケメンたちが該当した。
上2つとの違いは、おそらく「こういう人材が欲しい」という制作側のオファーの有無だと思う。派遣会社が出してるのかもしれないし、どっかのプロダクションが俳優の卵を送り出してるのかもしれない。実際、彼らはエキストラの中でも特別待遇だった。


早朝に集合してから4時間くらいで商店街のシーンの撮影は終了した。
休日の商店街なので、日が高くなると通行人も増えるだろうから、こういう撮影はきっと朝早くにやらないといけないのだろう。
ドラマ用に使われる映像としてはおそらく合計で5分にも満たないけど、撮影中も試行錯誤を繰り返しながら何度も撮り直しをしていた。1つの映像にかける制作陣の熱い思いが伝わったし、好きな作品をこうして大事に作り上げてくれるのは本当に嬉しかった。

ボランティアのエキストラはここで解散となった。派遣の人たちは近くの場所でまた別のシーンの撮影があったらしい。

最後に記念品を頂いた。

記念品

女子無駄ノートである!中身は白紙(自由帳)だった。
こういう1点ものの記念品にノートやメモ帳を貰っても、正直何かを書くというのは自分にはできない。
今は家に大事にしまってある。

そして・・・

ここまで書いておいてアレだけど、悲しい出来事が起きた。
自分は女子無駄大好き人間なので、当然ドラマも全話チェックした。都合でリアルタイムで見れなかった日は、TVerで見返したくらいだ。

しかし、自分がエキストラに参加していたシーンが丸ごとカットされていたのである。
あの日あの時あの場所で撮影した映像は、1秒もテレビで映ることがなかったのである。

尺の都合かもしれないし、映り込んではいけない何かが映ってしまってたのかもしれない。
ドラマなんだから、撮影したシーンが丸々お蔵入りになることだって理解している。
しかし、自分がエキストラに参加していたシーンが丸ごとカットされていたのである(大事なことなので2回言った)
もしかしたら自分がただ見逃しただけかもしれない。ちょっと目を離した隙に、該当シーンが流れてたのかもしれない。
でも、どんな風に撮られてたのかなーと確認したかったので、ちょっとショックだった。

なお、撮影に参加した直後、イベントでビーノ先生と直接会話する機会があり、あろうことかこんな会話をしてしまった。
『ドラマのエキストラに参加してきたんすよーwwまだそのシーンは放映されてないんですけどそのうち出ると思いまーすwww(意訳)』

願わくば、とっくに忘れていることを願う。


自分が参加したシーンを見ることはできなかったが、とても貴重な機会に参加させて頂いたのは本当にありがたかったし、嬉しかった。
普段やらないようなことをやるのはいい刺激になるので、ちょっと最近暇してて刺激が欲しいなぁという人には、エキストラ参加はオススメです。


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