語りたがる識別データベース
5月中旬、知り合いの医療従事者から、巷の噂ですがと前置され、最近コロナ患者数が増えていると耳にしますが現実はどうなのかと訊かれました。表1の識別データベースを見ますと、確かに直近の2週間、赤色の都道府県が連続しています。新たな脅威の変異株情報は聞いてないし、連休は例年より長目だったこともあって、当シリーズとしては、人の移動に伴う一過性の患者数増の故ではとお答えしました。
人の移動に伴う感染者数変化は、丁度年末年始と重なった第8波で経験済みのことでした。
表1:識別データベース(2023/9/25~2024/5/19)
識別データベースだけですと、新たな感染を疑いたくなりますので、念のため、直近の2024//3/4~2024/5/19(2024年の10週目から同20週目)の全国行政地方別の患者数推移をグラフ化しますと図1左となります。患者数推移は、同図では2024年5月に入って全般的増加傾向に転じ、特に九州地方(濃赤色線グラフ)での増加が目立っています。更に九州地方だけをグラフ化してみますと(図1右)、14週目(2024/4/1~2024/4/8)辺りから沖縄県で患者数急増を認めました。
図1:行政地方と九州地方の直近10週間の平均患者数推移
オミクロン株感染が、デルタ波終了と同時に沖縄米軍基地から始まったことを思い出します。患者数増が気になるのは当然ですが、米軍基地のある広島県では認めませんので、基地関係ではなく国内事情によるものと思われます。同図の患者数スケールを見ますと、新たな感染勃発を疑うには少な過ぎる気がします。沖縄県は日本最大の観光地の一つですし、例年より長かった今年の5月連休を考えねばと思われました。図2の東北北海道、関東地方、関西地方のいずれでも、緩やかですがほぼ同時的ながら患者数増をグラフ上認めます。新たな感染の可能性は常に注意しながらも、連休による人の移動がもたらした社会的現象を推測しています。
図2:東北北海道、関東地方、関西地方の平均患者数推移
2024/5/28
精神科木暮龍雄
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