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オミクロンBA.2型 検疫が語るもの1

 2022/4/1を過ぎて、検疫のオミクロンBA.2型ピークがグラフ上に現れました。図1の右側の低く青い山です。この山は左側の高く青い山のBA.1型ピークを超えなかったので、ピークがもたらす厳しい感染状況がBA.1型より凌ぎ易かった経過を説明しているようです。
 図註。左スケールは検疫数目盛りで、右スケールは3~4月に感染者数最高値を示した10県(前回記事参照)の感染者数目盛りです。図中の赤文字「感染者数波形の移行」及び下方向矢印の直線は、波形から判断して、10県の感染者数がBA.1型からBA.2型へ移行した頃の目安としたものです。

      図1:検疫と3~4月に感染者数高値を示した10県  

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 3~4月に最高値を示した10県の感染者数波形(図中央の折れ線グラフ集合)は明らかな二相性を示し、検疫との相関性が視覚的に確認できます。 
 それにしても検疫がこれほど敏感に国内感染者数増と関連するとは思いませんでした。アメリカでは、オミクロンBA.2型は同BA.1型ほど強烈ではなく、感染状況も思ったよりも厳しくないことが報告されており、検疫両ピークの高低差からもその経過が伺えます。その検疫が日本の中小都市の感染者数推移と明らかな関連を示すとは思いませんでした。

 当然、大都市圏でのBA.2型感染者数推移が気になってきます。感染者数オープンデータで常に上位を占める9都道府県(東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、愛知県、兵庫県、千葉県、福岡県、北海道)の感染者数推移と検疫との関係を図2に示します。
 
      図2:検疫と大都市圏(9都道府県)の感染者数

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 図註。左スケールは図1同様の検疫数目盛りですが、右側の感染者数目盛りは大都会圏の感染者数に応じたもので、図1の約20倍です。
 図中、各都道府県の9本の感染者数折れ線グラフには、BA.1型ピーク後にどれも再上昇する気配が見えず、大都市圏ではオミクロン型BA.2検疫波形に反応する気配が無いといってよいほどです。

 10県と大都市圏の感染者数を日ごとに合計して、それぞれ一本の折れ線グラフとし、図3で検疫との関連を検討しました。
 図註。左スケールは図1同様の検疫目盛りで、右側はそれぞれの感染者数に相応したもので、大都市圏のスケールは10県の約10倍です。
 10県と大都会の感染者数推移(共に赤い折れ線)の違いは、10県のBA.1型ピークがBA.2型ピークより低いこと、10県では感染者数ピークが検疫ピークに並行して現れているのに対し、大都会圏ではBA.2型に相応したピークが認められないことの違いが一目瞭然です。そして、共にその右端に下降傾向を示しているのが注目されます。

        図3:大都市圏と10県の感染者数推移の比較

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 大都市圏と10県のBA.2型感染者数の違いが生じた背景に、BA.1型とBA.2型ウイルスの力関係がもたらした結果を推測しています。BA.1型ウイルスの支配地に侵入できなかったBA.2型ウイルスは、BA.1型の手薄なところ(東北や九州地方)に生存(繁殖)の機会を得たのではないでしょうか。
 検疫BA.2型の下降線がピーク前の上向線より急峻なのは、これからの感染者BA.2型の消退のスピードを示唆しているようです。

 大都市圏はもちろんですが、10県の感染者数BA.2型は、BA.1型のように日本全土を席捲する勢いを感じさせるものではありません。それはオミクロン株亜種のXEやXLにおいても当てはまるのではと推測しています。今のところ顕著な感染性を持った変異型コロナウイルスは見当たらないので、希望的観測ながら当COVID-19シリーズも先が見えてきたと思っています。
 沖縄県を始めとした基地関連県については、オミクロンBA.2型 検疫が語るもの2で述べます。

                    2022/4/19
                    精神科 木暮龍雄
 

 

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