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コロナ感染の新たなステージを示唆する東京都医師会長の見解

 2023/9/12、東京都医師会尾崎治夫会長は、会見の席でコロナ感染に関して次の3点に及ぶ見解を述べられました。
 ①:第9波に入ったこと
 ②:都内で毎日15000人の新規感染者が認められること
 ③:新たな変異株に効果あるワクチンが2023年9月20開始になるので、出  
   来るだけ接種してほしいこと。
 ①と③については、様々な見解があることなので、いずれ当シリーズの考えを述べる予定です。②に関しては東京都だけが知る得る事実ですが、やっと出たかとの思いでした。それにしても感染者数15000には驚きです。'毎日続いている'との表現を見ますと、恐らく他の道府県の感染者増とは比べものにならないくらいにまでなり、堪りかねての見解に至ったと思われます。

 2023/9/15、2023/9/4~2023/9/10の「一医療機関の平均患者数」報告が、ネット上に紹介されました。開始以来16週目の報告となりますが、当シリーズでは時系列13の表示となります。東京都医師会長の見解は、9月12日会見時のことでしたので、同報告にこの患者数がどのように反映されているかを知っておかねばなりません。同報告は、日本ではコロナ感染者数に関する唯一の公報ですから、確めておかねばと思うのは当然のことです。

 同報告を加えたデータベースを基にして、「大中小の都市規模別の患者数」と「関東地方の都道府県別患者数」の2023/5/19~2023/9/10までの経過を、補正されない生のデータでフラフ化しますと図1となります。

  図1:「一医療機関の平均患者数」による都市規模別患者数、関東地方 
              の都県別患者数

*東京都は左右グラフの青の折れ線のカテゴリで、共に最下位に位置しています。

 左図の青い折れ線の大都市圏患者数は200以下、右図の青い折れ線の関東地方の東京都患者数も20以下で、両者とも平均以下の最低ラインに位置するのは毎度のことです。東京都で患者数15000を超えている波形とはとても想像できないグラフです。大都市圏の患者数は安定して低く保たれ、東京都患者数は都内の各県の患者数よりはるかに少なく、最低線を維持していますので、天下泰平以外のなにものでもないのです。
 はて、東京都医師会と国とで、どちらの情報を信じたらよいのでしょうか。

 新たな方法によるデータベースに、人口数比で補正した同報告を加え、都市規模別患者数、関東地方の都県別患者数をグラフで示します。以後、このデータベースやデータベースで得られた結果には、‘補正‘を冠することにします。

  図2:補正で得られた都市規模別患者数、関東地方の都県別患者数

*左右とも左スケールは全国平均、右スケールは個別の患者数のものです。

 左側の都市規模別の患者数を図1、図2で比較しますと、波形の違いもさることながら大都市圏と小都市圏がその位置を逆転していることに注目されます。図1左の人口数が少ない小都市圏患者数が大都市圏患者数を上回るのはなんとも不自然ですが、図2左の人口数多の大都市圏の患者数が小都市圏の患者数より多いのは自然と当シリーズでは判断しています。
 図2右の関東地方の都県別患者数は、東京都が最上段で、以下人口数順に下方に続きますのも、これも自然なことに思われます。

 東京都では、患者数は9の2023/8/6~2023/8/13以来増大一途を示し、12の2023/8/28~2023/9/3で最大値に至ってます。13の2023/9/15で若干の減少を見せていますが、2023/9/12の都医師会長の堪りかねたような見解が頷けようというものです。

 なんとなくですが、東京都はいろんなことを承知の上で、今頃になって3点に及ぶ見解を述べた気がします。何故なら、こまかなことにカリカリして当たり散らす当シリーズと違って、大人の対応で過ごし果せば、そのうち感染は済んだことで終わるかもしれないからです。わざわざ国とことを構えても得することはありません。しかしながら、感染者数15000は、そんな大人の対応では済まない現実を都医師会長は訴えたのではと推測しています。

 当シリーズとしても、補正による新たな患者数算定方法の試行を繰り返し、感染拡大の行方を見極めなければなりません。
 次回は、新たな感染波の可能性について、近日中に述べる予定です。

                    2023/9/216
                    精神科 木暮龍雄



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