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都市規模に応じた感染経過へ配慮を

 感染者数あるいは死亡者数なるものは、医療や臨床場面で深刻な状況を生み出す直接的なカテゴリーになる場合があって、感染率や死亡率の高低に関わらず、このカテゴリーの絶対値増減は常に要注意と思われます。新型コロナ感染開始から現在までの両カテゴリーをグラフで表すとを図1の如くなります。図中の左スケールは感染者数を、右スケールは死亡者数を表します。

     図1:covid-19の感染者数と死亡者数、死亡率の推移

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 %で示した死亡率は、各波(株)の感染者ピーク、死亡者ピークをそれぞれ同定し、そのピークが形成する波形成分内の感染者数、死亡者数で算出したものです。全経過を振り返りますと、新型コロナの死亡率は基本的に減少一途と思われます。

 感染者数もさることながら、オミクロン株の死亡者数の多さはただ事ではなく、医療がよくぞ持ち応えたものだと思うくらいです。ところが、オミクロン株の感染者数と死亡者数の対比から推測しますと、第7波の死亡者数ピークは右側スケールの250を軽く突破してしまう可能性が推測されます。そんな感染状況が1~2週間以内に訪れるかと思うと恐怖を覚えます。新型コロナの死亡率減少一途に気を緩める余裕はありません。

 ところで、前回の当シリーズ課題の「検疫に代わる新たな視点、都市規模別の感染者数」で、大都市圏(9都道府県=東京、大阪、神奈川、愛知、埼玉、千葉、兵庫、福岡、北海道)の感染者数割合が減少していることを述べ、それはコロナ感染が大都市圏以外に拡散浸透している結果と推測しました。その拡散傾向を、オミクロン株から第7波に至るグラフ上で確認できないものかと思うのは当然です。
 図2は、大都会圏(9都道府県)とそれ以外の全てを中小都市圏(38府県)とし、感染者数で両者を比較したものです。実線は感染者総数ですので、その下にある大都市圏(9)感染者数と中小都市圏(38)感染者数を併せたものになります。ちなみに、大都市圏(9)と中小都市圏(32)の人口比は、1.2:1(=54%:46%)です。
 
      図2:オミクロン株→第7波・都市規模別の感染者数比較   

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 オミクロン型BA.1型と比較しますと、第7波の中小都市圏の感染者数は増大が明らかで、第7波の感染者数増は中小都市圏の感染者数増が後押ししていることを推測させます。当然のことながら、死亡者数推移にもこの経過が反映されていることが推測され、図3に大都市圏と中小都市圏での死亡者数を比較検討しました。

    図3:大都市圏と中小都市圏での感染者数と死亡者数推移

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 2022/8/16現在、第7波の大都市圏での死亡者数(赤折れ線)はオミクロン株のそれに及ばず、死亡者数減の可能性さえ推測させます。一方、中小都市圏の第7波の死亡者数(赤折れ線)はオミクロン株感染期のそれを超え、なお増加する気配さえ感じさせます。図3上下のグラフを併せますと図4下段となりますが、第7波の全死亡者数増は、中小都市圏の死亡者数増が強く後押ししていると推測されます。これに感染者数増を加えれば、医療崩壊はオミクロン株期より高まる可能性を感じます。

    図4:オミクロン株→第7波の都市規模別感染者数と死亡者数の全体像

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 第7波の感染者数、死亡者増に向けて今後の対応は、図4下段の全体像を通して対策が思案されることでしょう。その際は大都市圏と同等かそれ以上の配慮が中小都市圏にも向けられるべきと思われ、今回のシリーズの表題となった次第です。
                                                             2022/8/15 精神科 木暮龍雄

 *図4上段は、図3が分かり難かった可能性を考慮し、投稿翌日に追加したものです。




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