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何時まで続ける気ですか?・都道府県数47に基づく定点観測

 2023/9/28のNHKの新型コロナと感染症・医療情報サイトで、東京都は「都内の新型コロナの感染者数は、1医療機関当たり8.89人で、前の週のおよそ55%と大きく減少した」とし、埼玉県も、「県内の新型コロナウイルスの新たな感染者数は、1医療機関当たり12.62人で前の週のおよそ半分に減少しました」との報告を載せました。念のために上記報告を、2023/9/18(前週)、2023/9/25(今週)付の定点観測による「一医療機関の平均患者数」報告とを並べて比較しますと、下記の如くなります。

 東京都(今週) 8 .89、「一医療機関の平均患者数」(先週)16.36→(今週)16.04
 埼玉県(今週)12.62、「一医療機関の平均患者数」(先週)26.95→(今週)24.98

 東京都、埼玉県が、その患者数が共に55%半減と報告したのは、ピークを過ぎた変異株エリスが感染者数を減らしつつあるためと思われます。同時に、両都県が実情に則した患者数算定に迫られた以外のなにものでないと思われます。ところが、定点観測による「一医療機関の平均患者数」には、そんな感染実情を反映した形跡は全く認められないのです。上記の患者数推移は誰が見ても不思議としか言いようがありません。
  8.89、12.62は、両都県が、独自で算出した患者数を、定点観測による「一医療機関の近患者数」方式に換算した数値と思われます。両都県が自ら得た患者実数を換算しなければならなかった労力を思うと、なんと無駄な時間を地方に強いているのかと思わざるを得ません。
 今後予測される新たな変異株BA.2.68を思うと暗澹たる気持ちです。

 問題はそれにとどまりません。インフルエンザも定点観測による「一医療機関の平均患者数」方式で感染状況を報告していますから、同じ過ちを拡散するようなものです。

 更に問題なのは、過去のオープンデータで示された事実の感染者数経緯を、定点観測による「一医療機関の平均患者数」方式に換算し、自らが得た感染状況結果に都合のよい説明をしていることです。過去の感染実績を改竄するに至っては、フェイクニュース顔負けの非常識としか思えません。

 「一医療機関の平均患者数」に問題があるのは、当シリーズの「定点観測における定点設定への疑義」で明らかにしてあります。コロナ感染者数報告は、多くの国民が真剣に関心を向けることですから当然公費(税金)の事業です。意地や面子で維持されるものではありません。厚生労働省のきっちりとした指導を行うべき事態と思っています。

                    2023/9/29
                    精神科 木暮龍雄




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