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キリンの組織風土改革

11年ぶりにキリンビールがシェア1位となったようです。

大手4社の2020年上半期のビール類推定シェアで、キリンビールがアサヒビールを11年ぶりに抜き首位となった。巣ごもり消費の加速で、業務用に強いアサヒが苦戦し、家庭用に強いキリンが優位に立っている。ノンアルコール商品の需要増など、新型コロナ危機の下で消費に変化が見える。酒類市場の構造転換が始まった。(2020年7月15日「日経ビジネス」より引用)

上記のように、コロナの影響もありますが、実はこれまでに布施社長がリードして組織を改革してきたことが土台としてあるようです。大きな会社を改革するということはかなり難しいことです。布施社長も以下のように振り返っています。

―改革の成果が見え始めたのはいつごろですか。
「新商品が出ないのはビール会社の社員にとっては苦しいこと。しかも、お客さま機軸というのは当たり前のことで、改めて社内に浸透させるのは難儀だった。最初から協力的だったのは少数だったが、本麒麟のヒットや一番搾りのリニューアルで結果が出てくると、様子を見ていた中間層が改革に寄ってきた。社内で徐々に確信に変わり、組織能力が上がった」(日刊工業新聞2020年8月18日より引用)

キリンでは「真にお客様のことを一番考える」テーマとして掲げ、社内に浸透させる施策を打っています。浸透施策は以下のようなフレームワークで実施しています。トップが語り掛ける機会をきちんと設けています。

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(キリンホールディングスHPより引用)

色々な会社で「組織変革がうまくいかない」という声を聞きますが、よくよく話を聞いてみると現場だけが頑張っていてトップが表に立っていないというケースが多く見られます。「発信しているんだけどなー」と仰る社長に具体的な取り組みを聞くと、社内報的な媒体で一方的に伝えているだけだったりします。

キリンの場合はしっかりと社長自らが現場を巡回して、自分の声を伝えています。

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(KIRIN Investor Dayプレゼン資料より引用)

また、評価ツールであるMBO-Sをしっかりと運用することにもこだわっています。MBO-Sの運用を現場任せにせず、きちんと会社としてのガイドラインを設けて運用することで、経営の意思を現場レベルが理解して行動するためのツールとして活用しています。

いくらVisionやMissionで良いことを言っていても、普段の業務で意識できなくては意味がありません。意識して行動してもらうツールとしてMBO-Sを活用すること。地味ではありますが、意外と効果があり、きちんとできている会社は少ないのかもしれません。

組織を変えたいけど、トップがコミットしてくれないと嘆く人事の方も多いのではないかと思いますが、MBO-Sなどの評価ツールをしっかり運用するように、意外と人事からできる事もあるのではないでしょうか。

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