飛行機の搭乗券を無くすまで(12時15分発)

飛行機に乗り損ねた。空港まで行って乗り損ねた。荷物まで預けたのに。

11時17分羽田空港第一ターミナルに到着。電車到着後はまっすぐ受付カウンターへ行き、9桁の確認番号と学生証を提示する。学割使えなくなると飛行機代高くなるな。映画も1800円だ。

もらった搭乗券を左手にスーツケースを預けに行く。1年くらい前に登場したスーツケースを預かってくれる機械がかっこいい。重さやラベルを確認する模様が画面上でぐるぐるして、チェックマークに変わるのを見ていると、難しい機械を使いこなしている気になってとても気分がいい。荷物預けられると安心するし。搭乗券をポシェットに入れる。11時35分。

保安検査場の込み具合を確認しつつエスカレーターを降りていくと展示されているベンツが見える。車はよくわからないけれど、ベンツはどれもかっこいい。この前買ったベンツマークのテディベアはベンツを買ったらついてくるのかな。12345678と価格の桁数を数えて慄きつつ本屋に入る。

前回のフライトで川上未映子の「きみは赤ちゃん」を機内で読んでぼろ泣きしたらめちゃめちゃ耳が痛くなった。このままこの閉鎖空間で聴力を失っていくのかもしれないと一瞬絶望した。聴力大事。何冊かぱらぱらと立ち読みすると三浦しをんの「人生激場」がよさそう。表紙からして泣けなさそうだ(読んで日韓W杯の選手の体毛に詳しくなった)。

レジに並ぶと11時55分。あれ、搭乗まで20分しかない。ポッシェットをレジ前の机に置いて背負っていたリュックをおろす。surfaceが入っているから重い。594円ぴったり出してレシートいりませんカバーもいりませんと言いながら財布をリュックに戻す。本を入れる袋って固いよな。なかなかリュックに入らない。ありがとうございますと言い終わるころには身体はすでに本屋の外でべンツには目もくれずエスカレーターをのぼりながらリュックのチャックを閉める。検査を優先してもらうやつだこれはと焦るものの充電機類をまとめてきたから搭乗には間に合うとまだ余裕。12時03分。

12時05分、保安検査場の列に並び列の前の人が取りだしているのを見てそうだ搭乗券、と気づく。ない。そもそもどこに入れたのかを思い出せない。すぐに取り出せるし無くしようがないと思ったのは思い出せるけれど、どこに入れたのかを思い出せない。ない。リュックも財布も全部開けたけどまったくない。そもそももっと分かりやすいところにいれたはずなんだ。リュックの一番小さいチャックをあけると昨夜入れた腕時計が出てきた。12時10分。諦めよう。カウンターの人に声をかけた。

てことで搭乗券を無くして飛行機に乗れませんでした。優しいグランドスタッフさんたちに助けられて次の便には乗れたけど、心と時間に余裕を持って行動します。反省、以上!

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