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日記未満 #10

東京に、愛を探す。

ストレスから離れて何も考えずリラックスするために、私はよく東京を散歩する。その時必ずと言って良いほど、Superorganismのオロノがパーソナリティを務める、InterFMの「oh wow, very cool!」を聴いている。オロノは自分が世の中に感じる違和感を言葉にするのがとても上手で、そして目を背けず正直だ。noteを読むような人には、きっと同じような感覚があると思う。YouTubeで聴けるので、ぜひ聴いてほしい。

東京の街には、それぞれ特有の雰囲気がある。時間が贅沢にある日は、そのときの気分で散歩する街を選べるが、最近は目黒−新宿−高田馬場辺りによく通っている。喫茶店やカフェ、美味しいご飯屋さんが多く、煙草を気持ちよく嗜める場所が多い。そしてとりわけ行くのが東新宿の「喫茶アルル」。店員さん、メニュー、ご飯、お客さん、猫、何を取っても愛に溢れている喫茶店だ。21時まで営業しているので、夜遅い用事が終わった後でも歓迎してくれる。今や猖獗跋扈の商業の街にも、まだまだ人々の愛が集まる場所がある。

私たちは人たり得る生活のための人権を持ち、そして不平等な格差をなくすために、司法国家を手に入れた。そしてそのために用意されたルールは何人の間にも適用される。それは我々をより治安良く高レベルな文化に導いたかもしれないが、同時に我々の間から社会を維持するために必要だった“思いやり”を差っ引いた。してはいけない事が明確に決まっている現代では、皆自分がルールに触れないことの方が重要だ。他人を思いやり続けられる程、簡単な生活では無くなった。それは善し悪しでは無く、単に今がそういう時代だということだ。

そしてだからこそ、送り合う思いやりの伝達純度が増している。愛が無くとも動き続ける社会の中で、それでも誰かから誰かへと発された愛には、現代特有の温かみがある。強要されていない思いやりには、得も言われん居心地の良さがある。そういったものは伝播しいずれまた集まる。喫茶アルルはその基地局だ。出来るだけ長く、その場所に残り続けていて欲しい。

2023/2/22

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