見出し画像

日記未満 #17

塩塚モエカ×高井息吹

なかなか晴れない春、桜だけがどんどんと咲いていく。曇りのお花見もなかなか悪くない、なんて口では言うものの、本心からそう思うにはまだまだ未熟らしく、雨や曇りマークだらけの天気予報に結構うんざりしている。桜日和、いつ?

そして最近の天気のぐずり具合なんか全く気にならないほどに、研究室での新生活に向けた不安や就活全般でメンタルが限界。私は限界を迎えると急に旅に出てしまう癖があるらしく、この間2社目のESを書き終えたあと、気づいたら神津島への行き方を調べていた。金がなかったから途中で高速船のチケットは諦めたものの、限界症状が明確に出るほど限界である。今日もドトールの喫煙所で奇声をあげそうになった。これから就活を迎える人、頑張れ!
えらいのは、この大変さを予想していたかのように、1月ごろの私は3月末の新宿MARZの「塩塚モエカ×高井息吹」ツーマンを予約していた。本当に偉い、ありがとう。

イブさんは以前ソロライブでお会いしたけど、羊文学ではない、ハイジさんのソロを生で聞いたのは今回が初めてだった。入り順を見失って後ろの方から見ることになったが、比較的コンパクトなハコだからか、想像していたより遥かに近く、大きくて、登場したとき先程とは別の意味で奇声が出そうになった。そしてその距離感によって、ライブで誰しもが受ける「本当に生きて存在しているんだ」という感覚(言ってしまえば当たり前だけど)がより強烈だった。そんな狭い空間で、2人からたくさんの感情を昇華したであろうエネルギーが次々放射され、それに当てられた私は終始頬が熱かった。

「筆舌に尽くしがたい」と形容するのが一番だろう。言葉自身が使い古されすぎて最早用いるのが恥ずかしいけれど、その表現が廃れない理由がわかるほど、素敵なライブだった。ハイジにもイブさんにも、どちらにも私は勝手にとても救われているということもあり、二人の生き方やそれが滲む言葉が至る所から感じられたステージは心底幸せであり、忘れないようにと心に刻む必要がないほどに光が充満した場所だった。

二人の言葉には、誰しもが持つ自分の弱くずるい部分、それらから目を逸らしたりせず正面から向き合った生き方にあるような強さを感じる。決して本人たちが弱い人間だと思ってるわけではないと補足しておくが、弱さを持った人間の取り繕わないそのままの強く精一杯の“生”が曲を通して伝わってくるようで、彼女たちの生活には全く関係がないけれど、声を聞くたび生きるためのエネルギーとして私の中に流れ込んできた。

アンコールが終わって終演後、2人とお話しした。私の中でお二人の存在が大きすぎて緊張し、本当にどうでもいいようなことばかり勝手に喋った。それにも優しく丁寧に接してくれたが、あんなに幸せなステージは私にとって音楽を続けている唯一の意味だし、次は横に並んで話したいと思った。

こんなにいつも怒り続けている私に、いつか叶うのだろうか。冷静に考えたら嫌になるだろうことも、今の火照りの中では前向きになれる。それが私にとっての塩塚モエカと高井息吹。心から感謝します。

2023/3/29

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?