”事業価値”の追求から逃げてはいけない
ユーザー価値偏重のPMが増えている?
みなさんこんにちは。クライス&カンパニーの山本です。
みなさんは、ユーザー価値、事業価値という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
最近、CPOやシニアPMの方々と懇談会の場などでお話しすることがあるのですが、
という声を複数聞く機会がありました。
もう少し詳しく伺ってみると、
・ユーザーのためになる開発をすること自体は問題ない
・ただその改善でどれほどの収益が事業にもたらされるかを考えられていない
・ユーザー価値だけでなく、事業価値も同時に達成してほしい
という憂いがあるようです。
これは、ある意味経営レイヤーを担う方々からの叱咤激励なのだと思いました。
なぜこのような声が挙がるのか。
今回は、様々なPMの方とお話ししている我々だからこそ見えてきた仮説をお伝えしたいと思います。
↓このあたりもご参考ください↓
そもそもユーザー価値、事業価値とは
書籍「プロダクトマネジメントのすべて」でも取り上げられていますが(多少表現は異なる)、PMのミッションはこの2つの価値を同時に満たしたプロダクトを作ることにあります。
・ユーザー価値:ユーザーの抱える課題を解決している状態
・事業価値:事業として収益が成り立っている状態
しかし、この両方を同時に満たすことは簡単ではありません。
ユーザーを優先しすぎるとお金になりづらい開発が続きやすく、事業(収益)を優先しすぎると、ユーザーのためにならない開発になることは珍しくないでしょう。
これを読まれている多くの方がユーザー価値と事業価値の狭間にはさまれて、苦しい決断や心境になったことがあるのではないでしょうか。
※Product led growth戦略がとれれば、同時に満たしやすくなります。
キャリア相談の場でも、
「目先の売上ばかりに気を取られてしまっている。もっと既存ユーザーを大切にしたいのに、開発方針が新規のユーザー獲得ばかりになっている」
という話をよく聞くことがあります。
もちろん事情はわかるのですが、本当にそれはまずいことなのでしょうか。
古き悪き”職人”になっていないか
大前提として、プロダクトマネージャーはボランティア職ではなく、資本市場の中に存在している職業です。そのため、「良いものだけを作っていればいい」という存在ではなく、その創作物によって収益を生み出していく必要があります。
そこを履き違えてしまうと、「僕らはユーザーのために良いものを作っている。それのなにが問題なのか」というプロダクトアウト型の古き悪き職人になってしまう可能性があります。
いくら良いものを作ったとしても、そしてそれがユーザーのためになっていたとしても、収益が上がらなければその事業に継続性はありません。
「ユーザーのため」という言葉を人質にとるのではなく、ユーザーにも満足され、かつ収益も上がる状態を目指さなければならないのです。
そのためには時に、既存ユーザー向けの開発の優先度を下げるべきかもしれませんし、エンタープライズ向けの開発を優先すべきかもしれません。
とはいえ、エンタープライズ向けを優先するあまり、単なる受託開発になってしまっては元も子もありません。
大事なのはユーザー価値と事業価値のバランスであり、そのバランスがユーザーに偏り気味のPMが増えてしまっているとしたら、それは日本のPM危機なのかもしれません。
シニアPMはみんな事業価値向上を考えている
私の個人的な感覚ですが、ジュニアなPMの方ほどユーザー偏重型になっているような気がします。言い換えると、PMという職業に対して、やや理想を描きすぎている状態かもしれません。
一方、シニアPMの方は、みなさん事業価値を考え、追い求め続けています。
目の前のユーザーが困っていることは百も承知。
そこは重々わかった上で、ユーザー価値と事業価値の双方を最大化するための戦略を練り、ロードマップを描き、優先順位を意思決定しているのだと思います。
特にシニアロールになると、より組織運営、経営目線でのパフォーマンスが求められます。自社のプロダクトのことさえわかっていれば良いわけではなく、競合を見据えた中長期戦略、GTM戦略など、かなりビジネス側の素養が求められてくるでしょう。
「自分はエンジニアあがりだからビジネスは苦手」と言っている人はいません。出身職種がなんであろうが、ビジネス側の知見や考え方を学び、実践しているからこそ、シニアPMとして会社が認めているのだと思います。
事業価値を考えられるようになればもっと強くなる
PMのキャリアは一般的に、ジュニア→ミドル→シニアと上がっていくものですが、年功序列のように上がっていける訳ではありません。
経営目線を持ったシニアPMになるためには、事業価値を向上させる視点をより強く意識して経験を積んでいくと良いでしょう。
具体的には、会社の業績目標に基づくKPIを自身の活動に紐づけるところから始めるのが良いかもしれません。
自らの関わる開発が、一体いくらの収益を生み出すのか、どれほどの事業価値をもたらすのか、その視点を持って日々のプロダクトマネジメントに臨んでいければ、きっと日本のプロダクトマネジメントがさらに伸びていくと思います。
おわりに&告知
いかがでしたでしょうか。
我々もよく「ユーザーが大事。プロダクトに愛を持てるかが肝心」という発信をしてきましたが、事業価値に触れることが今まではあまりありませんでした。
そのため、CPOの方々から言われた冒頭のセリフは「ガツン」と響くものがありました。
このnoteで、少しでも事業価値の重要度が伝わっていけば幸いです。
最後に告知です!
実は弊社PMチームで書籍を出版することになりました!
タイトルは、「プロダクトマネージャーになりたい人のための本」です!
未経験者~ジュニアPM向けの内容となっていますが、広くPMのみなさんに読んでいただきたい内容となっています!
弊社顧問の及川さんにも監修いただき、なんと300ページ超え。
及川さんには「ビルドトラップになってますよ」と指摘されたり苦笑、書籍づくり(ちょっとしたプロダクトづくり)がこんなにも大変とは、、想像以上でした。
発売日は6月14日(水)を予定しています。
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