【読書感想文】史上最強の哲学入門

今回の感想はこちらの本について。

哲学なんてものは生まれてこの方まったく興味の範囲外でしたが、以前下記の記事で「自己啓発をやめて哲学をはじめよう」という本の感想を書いたことをきっかけに徐々に関心が高まってきたことから、今回この本を読んでみました。

題名の通り哲学全般に関する入門書と言える内容ですが、Amazonでレビュー数が200以上あり、星4.6とかなり高評価であるため期待して読んでみました。
結果、期待を裏切ることのない面白さだったと思います。

よくこの手の本にありがちな内容として、哲学の基礎知識をただ教科書的に時系列に羅列するような退屈なものが想像されますが、本書はそれらの凡庸な書籍とは一線を画しています。
まず本の構成としては「真理」、「国家」、「神」、「存在」の4つのテーマ毎に、それぞれ古代から現代に至るまでの様々な哲学者の思想を相互に対比させながら紹介していますが、これにより内容がとてもわかりやすくスッキリ頭に入ってきます。

また、決して難解な言葉を使っていないことも、多くのレビュアーが述べている通りわかりやすさの要因だと思います。
哲学と聞くと、つい凡人の想像も及ばない難しい領域の事象を想像してしまいますが、この本を読むと様々な哲学者が考えていたことは決してそのような浮世離れした概念ではなく、多くの人が常日頃考えたり感じたりしていることの延長上に存在しているのではないかと思えてきます。
それくらい、具体例を用いて哲学を身近に感じさせてくれるような内容であり、納得の高評価だと思います。

本書では総勢31人もの哲学者とその代表的な思想が紹介されているので、全てについて述べるのは難しいですが、私がとりあえず今一番興味を持っているのは最初に出てくるプロタゴラスとソクラテスについてです。

プロタゴラスは「絶対的な真理なんてものは存在しない。価値観は人それぞれ」という主張をしたのに対し、ソクラテスは「この世界には命を賭けるに値する真理が存在し、人間はその真理を追究するために人生を投げ出す、強い生き方ができる」ということを信じた人として紹介されています。

自己啓発に興味がある私としては、人それぞれ自分に合った自己啓発法を追求することに意味があると常々主張していますので、その点ではプロタゴラス寄りだと思われます。
一方で、コアな部分で「万人に共通する有益な手法は必ず存在する」という信念のもと日々自己啓発について考えていますので、ソクラテスの主張にも十分共感できます。

また、ソクラテスは「無知の知」という有名な言葉を残しており私もこの考え方は好きなので、今後はまずソクラテス辺りからより深く哲学の世界に足を踏み入れていきたいと思っています。

ちなみに、以前読書感想文を書いた本「自己啓発をやめて哲学をはじめよう」の著者は、プロタゴラスの「価値観は人それぞれ」的な考え方は現代社会に蔓延していてポストモダンの時代とも言われているが、今後はソクラテスの様な絶対的な真理の探究への回帰の道を哲学界は辿るのではないか、と予想しています。

本書をきっかけに、哲学がより身近に感じられるようになることは間違いないと思いますので、お勧めの一冊です。

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