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【#2 裁判で心身が疲弊する理由】

 悩み、悲しみ、怒りなどを抱えた方は、最後の手段として法律の力で何とかして欲しいと思って、弁護士を訪ねて見えます。争って、闘って、勝利を得れば問題が解決するのではと期待されているわけです。
 しかし、必ずしも期待通りにはいきません。いや、むしろ心と体がいま以上に疲弊してしまいかねないのです。
 なぜそうなるのか?

 前提として、ざっくり言うと裁判には刑事事件と民事事件(ここでは離婚などの家事事件を含めます。)があります。
 刑事事件は、犯罪を犯した人に刑事罰を課すための手続で、民事事件は、損害賠償や借金など金銭の請求に関するもの、離婚など身分に関するものをはじめ、ありとあらゆる紛争について、判決や命令という形で国(裁判所)がオチをつける手続です。以下では刑事事件のことは一旦措いて、民事事件を念頭に、争うこと、裁判をすることは自身のココロとカラダを疲弊させるものであり、必ずしも幸せにはたどり着かないものであることを解説します。

 先ずは、依頼人がどのように疲弊していくのか、一例をお話ししましょう。
 依頼人は、家族に恵まれ、裕福で、品のいい話しぶりの女性。事件は兄弟姉妹間の遺産争いです。遺産分割調停、遺産分割審判、遺産確定訴訟、遺言無効確認訴訟、不当利得返還請求訴訟、損害賠償請求訴訟。数年がかりで遺産争いのフルコースでした。
 最初は、「お金をたくさん取りたいわけじゃなくて、いろんなことがオープンになればいいんです。」と穏やかにおっしゃいました。それが次第に相手のことを、「酷い」「許せない」「絶対許さない」、それが相手のみならず、相手側の弁護士の批判、調停委員や裁判官の批判と攻撃対象が拡大し、言葉遣いも過激になっていきました。穏やかな表情は消え、最後には時と場所を選ばず意味もなく涙が出る。自律神経失調です。事務所には昼夜を問わず膨大な量の相手に対する反論や主張したいことなどを綴ったファックスが送られてきました。
 裁判で負け続けたわけではありません。そもそも立証の難しい事件では主張の通らないこともありましたが、全面勝訴の事件もありました。しかし、やればやるほど依頼人は疲弊していったのです。そんな様子を見て、とことん争うのはやめて和解をした方がいいと、何度かお勧めしました。もちろん依頼人の心と体の健康を慮ってです。最後には、私が和解を勧めたのは、相手利益を図ろうとしたからだ!と私を攻撃するまでになってしまいました。

 このケース、別に特殊なわけではなく、程度の差はあれこうした負の変化が見られます。中には、明らかにうつ病になり、あるいは癌を発症してしまう方もありました。

 では何故このような変化が起きるのか。

 それは、ストレスによる免疫低下、負の氣(マイナスのエネルギー、波動)による影響が考えられるのです。

 裁判は対立構造で、いわば喧嘩です。双方が攻撃しあう。相手はこちらの言い分を否定し、あることないこと織り交ぜて攻撃を仕掛けてき、こちらはその都度反撃する。嫌な気持ち、悲しい気持ち、怒りの感情を煽るような文書のやり取りが続きます。相手からの攻撃がストレスになるのはもちろんのこと、こちらから相手を攻撃する際も負のエネルギーを発し、それもまたストレス原因となります。こうして長きにわたりストレスにさらされ続ける結果となります。
 ストレスは、細胞、血管を緊張させ、血流が低下します。呼吸は浅くなり、体内の酸素供給量が減ります。交感神経優位が続き、睡眠障害を引き起こすことも少なくありません。背筋を伸ばして元気にストレスを受ける人は無く、背中、腰は曲がり、首は前に出て俯き加減という姿勢になりがち。この姿勢は、内臓を圧迫し、血流が悪くなる形です。脳に充分な酸素が届かなけければ、心と体を整えるための正しい指令が出せなくなります。心のコントロールが効かず、循環器系、呼吸器系、免疫系の疾患を招きます。
 自ら発するマイナスのエネルギー(良くない氣)は、相手に届く前にまず自分の細胞にダメージを与えます。
 さらに、マイナスのエネルギーは、相手以外の周囲の人をも巻き込みます。人の悪口を言う人、怒っている人、自己否定の激しい人の側にいることは不快で、できれば関わらないでいたくないですか。家族であれば、心配をかけさせ、あるいは家庭不和に陥るなど、争う相手以外にも多大な影響を及ぼし、ひいてはそちらの人間関係もスムーズにいかず新たなストレス原因となります。因みにこうしたマイナスのエネルギーは、人間以外のものにも影響を及ぼします。当時、事務所の観葉植物が一斉に枯れてしました。世話の手を抜いたわけではないのに。

 疲弊の仕組み、お分かりいただけたでしょうか。

 これこそが、私が争わない解決法を推奨する理由なのです。

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