スクリーンショット_2014-10-07_21.47.17

番外編レビュー トータル・ワークアウト 代表取締役社長、パーソナル・トレーナー 池澤智さん

『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』公開記念企画 番外編レビューをトータル・ワークアウト 代表取締役社長、パーソナル・トレーナーの 池澤智さんに頂きました。

 私の職業はPersonal Trainerと言って人のカラダを変えるためのTraining指導を行うものです。現実に目にしたものを改善したり、修正したりすることと向き合っているため、非現実のものをどのように現実として表現するか?という物の伝え方を考えたことがありませんでした。そのため今回の表現することを職業とした役者の方々が取り組んだこのタイトロープ『綱渡り』のレッスンは大変興味深くまたとても新鮮でした。

ほとんどの人が目にしたことのある『綱渡り』ですが、実際に体験したことがある人は少ないでしょう。ただその感覚、繰り広げられる想像は誰しもがトライできる題材だと思いました。

 我々が運営しているTraining GymではSLACK LINEという綱渡りのトレーニングを導入しています。体幹を強化し、バランス感覚を良くする効果があります。そのトレーニングを行っている時は、ただこの綱を渡りきること。その際重心をどこにもっていくべきか?足の裏のどこに力をかけるべきか?など意識するわけですが、周りからみてどう見えるか?ということは気にしません。ただ、演技となれば見る人から見てどう見えるか?が全てであり、演技する人は同時にその2つを考えなければなりません。

しかし、現実的に綱渡り事態が渡りきるために考えなければならない要素が多いため、相手に見える自分を考える余裕はありません。本当に人に何かを伝える!という事は、実はそういった自らの世界に入り込むことなんだとピーター・ブルックは伝えたかったのでしょう。 

「表現」を作るものは、空間の中に存在する「間」とそれを読み取れる能力を持ち合わせた演者。折り重なる「表現」が人に感動を伝える事になると改めて感じました。プロの俳優たちが、半信半疑で参加し始めたところから最終的には、どっぷりとピーター・ブルックの世界に引き込まれている様子に、その素晴らしさを知ることができ、映画全体のストーリーにこちらも引き込まれました。 

 そして、最後にこの世で「表現」というものをコントロールできる生き物は「人間」だけなのだと改めて感じ、その事に感謝できる作品だったと思います。   


次号もお楽しみに!

大ヒット公開中!渋谷・シアターイメージフォーラムほか全国にて
公式サイト www.peterbrook.jp