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1回の会話と曲が生む奇跡

15年前の話…

当時高校1年生だった松本〇〇は半年に1回、遠く離れた祖母の家に1人で向かう為電車に乗っていた

〇〇:この曲いいよな
いつも、祖母の家に行くときは
Mrs. GREEN APPLEさんの点描の唄を聴きながら向かう

いつ見ても綺麗だな
電車から見る風景は別格だな

ばぁちゃん元気にしてるかな

そんなこと考えていると目の前の席に1人の小学生の女の子が座ってきた

??:ねぇお兄さん。

〇〇:どうしたの?

??:どうしてお兄さんは哀しそうな顔してるの?

〇〇:そんな顔してたかな?

??:うん、外を眺めて辛そうだった。

〇〇:そっか…それはごめんね〜
今からおばぁちゃんの家に行くんだけど
いつも行くときは外を眺めてるんだ

??:ふ〜ん
外眺めてて楽しい?

〇〇:楽しいよ。毎回綺麗だなと思うよ
ところで君は1人なの?

??:うん!これから私もおばあちゃんに会いに行くんだ

〇〇:1人で?凄いね

??:凄いでしょ?ふふ🤭

〇〇:どこで降りるの?

??:森山駅

〇〇:なら僕も同じだからそこまで一緒に行こうか

??:うん!ニコッ

〇〇:お名前聞いてもいい?

私の名前は久保史緒里。7歳

〇〇:7歳なのにしっかりしてるね
僕の7歳の頃よりずっと大人だよ

史:嬉しいなぁ
お兄さんのお名前は?

〇〇:僕の名前は松本〇〇って言うんだ

史:〇〇さん!

〇〇:そうだよ

史:へへ
ずっと気になってたんだけど何聴いてるの?

〇〇:これは僕の好きな歌を聴いてるんだ
史緒里ちゃんにはわからないかもね

史:しーちゃんは大人だもん
絶対にわかるもん

〇〇:そっか。じゃあ耳貸して…

〇〇は史緒里の右耳にイヤホンを入れ、もう片方を自分の左耳に入れた

〇〇:聴こえるかな

史:うん!聴こえる
凄い綺麗な声だね

〇〇:史緒里ちゃんにもわかるか
凄いよ
ごめんね、本当は明るいの聴きたいよね

〇〇は今の流行りの曲をかけようとした
すると…

ガシッ

史緒里ちゃんは首を振った

〇〇:この曲でいいの?

史:うん!これがいい
この優しい声いいね

俺は凄い子に出会ったのかもしれない
小学生にも関わらずこの落ち着きといい、大人と対話しているかもと錯覚する程だった

2人は駅に着くまでずっとイヤホンをつけて外を眺めていた

そして、

まもなく森山に着きます。お出口は右側です。お忘れ物がございませんようご注意下さい。

〇〇:史緒里ちゃん

史緒里ちゃんはぐっすり眠っていた

〇〇:かわいいな

〇〇は起こさないよう抱っこして電車を降りた。

さて、史緒里ちゃんのおばあちゃんはどこにいるかな

〇〇が探していると…

あの…

〇〇:はい!

その子の祖母です。

〇〇:ああそうですか!すみません。知らないものが勝手に抱っこして

史祖母:いえ、ありがとうございます。
迷惑かけたんでしょ?

〇〇:いやいやそんなことはありません。
楽しい旅になりました。
それにしても、史緒里ちゃん小学生とは思えないほどしっかりしてますね

史祖母:そうかしら…
いつも暴れ回っているのよ

〇〇:そうなんですか
お利口に座って、これからが楽しみになる子でした

史祖母:あなたもいい青年ね。何かお礼したいんだけど…

〇〇:いや、大丈夫です。自分はこれから向かうところがありますので…
では、失礼します。
いつかまた逢えるといいねナデナデ

史緒里は微笑むようにして眠っていた

そして夕方

史:おばぁちゃん!〇〇さんは?

史祖母:あの人、〇〇さんっていうの?
史緒里を抱っこして電車から降りてきて私に史緒里を渡した後、行かれたわよ

史:う…うわ〜

史祖母:なんで泣くの?

史:だって…だって…
しーちゃん、〇〇さんにありがとうって言ってないもん!優しくて暖かくてまた会いたい…グス

史祖母:あの子はカッコよかったわ

史緒里!将来大きくなったらあの人みたいな人を見つけなさい!

史:うん!絶対見つけるグス



そして、現在へと…
史緒里は16歳で乃木坂46に入り、8年目、毎週ラジオを担当していた
いつものように野球の話をし、自分の最近の話をしていると…

スタッフ:史緒里ちゃんこれ読んで

史:あ、はい、分かりました。
ここで1通読ませていただきます


ラジオネーム、点描の唄さん

ありがとうございます。

〇〇:僕のこと覚えていますか?松本〇〇と申します。

史:えっ?

〇〇:15年前、私は高校1年生でおばあちゃんの家に行く為に電車に乗った際、小さい女の子が僕の前に座ってきました。

史:嘘でしょ?

〇〇:そして、その子は私に向かって「どうしてそんな哀しい顔してるの?」って聞いてきました。
私は「いや、してないよ。外を眺めて考え事をしているだけさ」と返しました。
それから少しお話しをした後に、お名前をお聞きしたら久保史緒里さんという方でした。7歳!と大きな声で言ってくれました。小学生とは思えない程しっかりしていて自分も高校生ながら驚いたのを覚えています。今でも祖母の家に帰るときは電車の中で思い出します。あの時は大変お世話になりました。

史:グス
こちらこそグスお世話になりました

あの時電車で曲を聴いたのを覚えていますか?

Mrs. GREEN APPLEさんの点描の唄を一緒に聴きましたね。小学生ながら申し訳ないなと思いつつ曲を変えようとすると止められました。

それを今でも聴いています。史緒里さんも聴いてくれていたら嬉しいです。
実はラジオに送ったのにはちょっとした経緯がありまして…

史:もうなんなの?涙止まんないよ

私は高校を卒業して社会人になりのんびり暮らしていました。ふと、テレビをつけたら点描の唄を歌っている方が目に入り、見ていると久保史緒里さんでした。なんか聞き覚えのある名前だと思って考えてみると「あの時の小学生の女の子だ」ってなりました。
嬉しくてつい涙が出てしまいました。

"大きくなったね"

調べるとラジオをやっているという事だったので今回送らせていただきました。

史:グス

〇〇:あの時、凄い子になると予想していた事が的中しました。今は、夢を追っているんですね。
頑張ってください。陰ながらいつまでも応援しております。

大変長い文章、リスナーの皆様には申し訳ありませんでした。
では、失礼いたします。
松本〇〇


史:あぁ"、これはダメだよ

まず、わざわざ送ってくださり、〇〇さんありがとうございました。

リスナーの皆さんこれは私情の話で申し訳ありません。許して!

これは〇〇さんにずっと感謝しないといけなくて言えるタイミングがなく15年経ちました。
あの時は、1人の私を優しく、暖かく包み込んでくださりました。
本当にありがとうございました。
この言葉をずっと言いたかったんです

私も一度もあの時を忘れたことはありません。

実はそのテレビで歌っていた点描の唄はこれがきっかけです。

私も今もこれからも一番好きな曲です。

いつか直接言える日が来ることを願ってこれからもお仕事頑張ります。〇〇さんもお身体に気をつけて頑張ってください

リスナーからは感動の嵐だった…

何だよ夜中に泣かせんじゃねぇよ

このメール最高かよなど

そして、放送が終了

史:また来週〜


史:はぁ

スタッフ:あのメールよかったですね

史:はい、まさか15年越しにこの話が出てくるとは思いもしませんでしたよ

スタッフ:そう言えば、メール送る際電話番号を記載するので電話番号持っておいて時間がある時、電話してみたらいいんじゃないですか?

史:そうですね!ありがとうございます。

そして、史緒里は帰宅

史:会いたいなぁ

ピロン!

史:ん?

おばあちゃんからだ

ラジオ聴きましたよ。
あの子が送ってくるとは私も驚きました。
私もまた会ってみたいですね
今日もお疲れ様でした。

史:どうしようかな


次の日

梅:史緒里ラジオおつかれ!
面白かったよ

史:ありがとう…

梅:なんか浮かない顔してるね

史:うん…
昨日のラジオでさ、私の昔話あったじゃん

梅:私もうるっときちゃった
それがどうしたの?

史:そのときのメールに電話番号が書いてあったの

梅:うん

史:電話しようかな?どうしようかなって

梅:そういう事ね

史:寝れなかったの

梅:それなら今野さんにしていいか聴いてみたら?

あ、今野さん!

今:梅どうした?

梅:史緒里がですね、昨日のラジオで…

今:そういうことか
こちらから連絡取ってみようか

史緒里の日程も調整するから一回会ってみたらどうだ?

史:えっ!無理ですよ。緊張して可笑しくなります

今:なら会わなくていいのか?
これが最後かもしれないぞ

史:う〜〜
ならお願いします

今:わかった。状況が分かり次第連絡するよ


それから数ヶ月が経ち…

〇〇:ここで合ってるよな?

今:君が松本〇〇さんかな

私は、お電話で話した今野と言います。わざわざ遠い所からありがとうございます。

〇〇:いえいえ、こちらこそお忙しいはずなのに時間をとっていただきありがとうございます。

今:史緒里には内緒にしております。
会議室で今、お話しをしておりますので
そこに行きましょうか

これは私からのお願いなのですがカメラも同行させてもらってもよろしいですか?

〇〇:あ、全然いいですよ
思い出になりますし。

今:〇〇さんは今は何を

〇〇:私は音楽関係をしています
作詞とか作曲とかですかね
乃木坂さんの曲はいつも聴かせて頂いています。

今:どなたのとか聞いても大丈夫ですか?

〇〇:いいですよ
Adoさんやミセスさんとかさせてもらってます

今:それは凄い。
乃木坂もいつかお願いします

〇〇:いやいや、私には重過ぎますよ

今:ならこれはどうですか?
…………

〇〇:えっ!
私は構いませんけど…

今:ならその話もこの後しましょうか

まず行きましょう


〇〇:緊張する…

今:私が先に入りますのでその後呼んだらお願いします。

〇〇:わかりました。

ガチャッ

マネージャー:あ、今野さん

今:どうだ?

マネージャー:それがですね。この後も史緒里は忙しくなりそうです。CMとか番組からも声がかかってましてどうしようかと

今:そうか、
史緒里、少し話をしよう

史:はい。
(何言われるかな?)

今:1・2期生が抜けて今、正直キツイと思う

史:はい…

今:でもよく頑張ってくれてる
ありがとう

史:いきなりなんですか
怖いですよ

今:そんな史緒里にご褒美をあげたいなと思って

史:えっ!ホントですか
嬉しい

今:それじゃあお願いします!

史:何?

ガチャッ…


スタ…スタ…


〇〇:久しぶりだね史緒里ちゃん

史:!?

〇〇:覚えているかな?
松本〇〇だよ

史緒里は突然のこと過ぎて頭がパニックになっていた

史:えっ!えっ!え〜〜
ガタン!

史緒里は椅子から落ちてしまった

〇〇:大丈夫?

今:史緒里驚いただろ

史緒里は自然と涙が溢れていた

史:これはダメですよ
しかもカメラもあるじゃないですか!

今:それはこんな感動の再会を撮らないわけにはいかないだろ

史:今野さんのバカ

〇〇:僕も緊張したよ

史:〇〇さん…グス

〇〇:泣いたら前が見えなくなるよ

史:だって…だって…
ずっと〇〇さん会いたかったんですよ

〇〇:それは嬉しいな

ギュッ

〇〇:!?

今:あらあら

〇〇:今野さんすみません

今:いや、構わないよ
これはご褒美とさせてやってくれ

〇〇:わかりました。
大きくなったね。史緒里ちゃん
僕も会えて嬉しいよナデナデ

史:一生会えないと思ってました〜

〇〇:泣いたら可愛い顔が台無しだよ

史:そんなのどうでもいいです〜

今:よかったな史緒里
でも、ご褒美はまだあるんだ

史:えっ!

今:2人とも席に座ってくれ

さぁ何だと思う?

史:なんだろ?〇〇さんとの時間をくれるとか

今:あながち間違いではないがもっと凄いことだ

史緒里にソロ曲を歌ってもらう

史:えっ?
ホントですか😱

今:そして、曲を作ってくれるのは〇〇さんだ

史:え〜〜〜〜〜

〇〇:今、音楽関係の仕事をしていてね
さっき今野さんに頼まれちゃって
史緒里ちゃんさえ良ければなんだけど

史:歌います!
歌わせてください!

今:それじゃあ話をしようか
〇〇さんは今、Adoさんやミセスさんの作詞、作曲をされているんだ

史:凄すぎる

今:次のシングルで出そうと思う
だから申し訳ないが頑張ってくれるか?

史:頑張ります!
初めてのソロ曲を〇〇さんから貰えるなんて
最高じゃないですか

〇〇:僕も頑張るよ

それからというもの〇〇は作詞をして作曲をした

〇〇:ふー疲れた〜
これはいいのができた

歌入れの日

〇〇:事前に渡してたけどどうだったかな?

史:泣きました。
最高過ぎます
今日はよろしくお願いします

〇〇:こちらこそ

そして、曲が完成。

史緒里は同期のメンバーを会議室に呼んだ

ごめんね

与:全然いいけどどうしたの

伊:史緒里が呼ぶなんて珍しいじゃん

梅:なんだろう🤔

史:私、久保史緒里…


ソロ曲をもらいました!

全員:え〜〜〜〜

梅:凄いよ!おめでとう

与:良かったね!

伊:卒業すると思った

向:心臓バクバクだったよ

史:ごめん。みんなには先に伝えようと思って

曲名は「……………」

梅:どんな歌なんだろ
想像できない

史:そこでみんなに最初に聴いてもらおうと思って持ってきました!

梅:え〜

与:嬉しい!

史:後、もう少ししたらMVも公開されるから見てね

全員:はーい

史:作詞作曲は秋元先生じゃないんだ

吉:誰なの?

史:梅はわかると思うけど松本〇〇さん

梅:もしかして…

史:そう!15年前に一度だけ会った人

梅:凄いじゃん!会えたの?

史:うん!今野さんが会社に連れてきた

それも配信中で明日公開されるらしい

佐:その人知ってるよ。有名な人
ヒット曲ばかり出す人

全員:凄すぎる

史:そんな人に作ってもらっちゃった!

全員:いいな〜

史:じゃあ流すよ

♪🎶


曲が終わった

すると…

グスグス

みんな泣いていた

梅:良すぎる。ティッシュ欲しい
史緒里良かったね

与:史緒里にピッタリ

史:みんなありがとう


そして、MVが公開された
曲名は…





「Trajectory(15年の軌跡)」

end…

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