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自然災害大国における政治の役割を考えてみる(短文)

13年前の3月11日、14時46分。東北地方を中心に東日本は未曾有の大地震に襲われた。
その時僕は震源地から遠く離れた大阪市内にあるビルの7階で商談をしていた。大阪市内は確か震度3ぐらいだったはずだが、長い周期の不気味な揺れが長時間続いてオフィスの中が軽いパニック状態になっていたのを覚えている。
この観測史上最大の地震によって2万2318人が犠牲になった。

言うまでもなく日本は自然災害大国である。

https://www.ibousai.jp/disaster/saigai_japan.html

以上に加え今年は年に一度家族がお茶の間に集まる元日早々、能登半島を震度7の地震と津波が襲い、2024年2月29日時点で死者241名、負傷者を含めた人的被害は1,540名、住家被害は107,075件に上っている。

日本の国土面積は全世界の0.29%だが、全世界で起きたマグニチュード6以上の地震の18.5%は日本で起きている。そして全世界の活火山の7.1%は日本にある。
活発に蠢くプレートの狭間に位置する日本列島は、その真ん中を背骨のように急峻な山々が貫き、国土の3分の2は山林となる。

https://www.jice.or.jp/about/services

その急峻な山々に向けて世界平均の1.4倍の雨が降る。

<出典>上に同じ

しかも一年を通して満遍なく降るのではない。初夏から秋口にかけて集中的に降るのである。急峻な山々に振る雨がわずかな海岸沿いの人口が密集した居住地に向けて一気呵成に滑り落ちるのが日本の国土構造である。

だから日本の災害史をざっくり概観するとだいたい地震と水害である。それらの災害に対して先人たちが諦めずに対処をしてきてくれたからこそ、今の日本、GDP世界3位の繁栄はある。例えば今世界最大の都市圏を形成している関東平野は江戸時代初期まではまったく使い物にならない湿地帯であった。土壌は肥沃だが水害が多すぎて農地としてまったく使えなかったのである。この地の治水に成功したことが現在の繁栄につながっているのである。

生命・身体・財産を守る政治の役割は何か。それは一にも二にも防災減災である。
日本には度々、防災減災を軽視する政治家が現れる。日本人の特長は過去の悲しみを忘れて前へ進む力である。自然災害による度重なる悲しみを引きずっては生きられないというある意味でのライフハックなのだと思う。その前向きな心性に付け込んでしばしば日本には「100年に1度の災害に備えるよりもっと先にやるべきことがあるのではないですか?」などという軽薄な演説で人気を集めるポピュリストが出現する。昨今で代表的なのは元明石市長の泉房穂氏であろう。彼は先日プレジデント誌上で自らの発言としてこんな発言をしている。

https://president.jp/articles/-/78466?page=3

ちなみに東日本大震災は一説によると1,000年に一度、能登半島地震は3000年に一度の地殻変動だとされている。彼の価値観によれば、そのような地震なんかどうせすぐには起こらないんだから今を大事にしようぜ、ということになる。国民の生命身体財産を守るという責任を微塵も感じない言葉である。

いつ起こるか分からない自然災害のために我が国は投資をして命を守ります、と。
これが言えない政治家には僕は絶対に投票しないし批判をしまくる。2024年3月11日の今日、あらためて僕はその決意を新たにします。


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