病理医になろう

病理医になるにはどうしたらよいでしょう。

まずは医学部医学科に合格しなければなりません。ここが最もハードルが高いかもしれません。これに関しては僕がアドバイスできることはさしてありません。とにかく受験がんばって!現役でダメでも僕みたいに再受験という道もあるよ!

医学部に合格したらあとは、ほぼ自然と医師になります。もちろん医師国家試験を受けて医師免許をもらわないといけませんが、合格率は高いので、大学受験よりはまだ楽だと僕の経験からはいえます。

晴れて医師となったらすぐ病理医・・・にはなれません。最初の2年間は初期臨床研修制度というのがあって、その制度通りに研修を受けねばなりません。僕の頃と少し変わっているかもしれませんが、内科系6か月、外科系3か月、小児科1か月、産婦人科1か月、精神科1か月、救急1.5~3か月、地域医療1か月、自由選択8~10か月といったところではないでしょうか。厚生労働省が科のローテートの仕方を厳密に定めている(内科~地域医療は必須)いるため、大体は上記のようにローテートする研修医が多いと思います。

何にせよ、各科での経験が病理の仕事に役に立ちます。そもそも外科系とは親和性の高い科ですし、内科での検査所見の解釈は診断の大きな補助となります。救急で学ぶ臨床推論は病理にも通ずるところがあります。

自由選択は限りなく幅広いオプションです。ここで何を選択するのも自由です。例えば、放射線科を選んでラジエーションハウスの雰囲気に浸るのもいいですし、もう一度以前回って興味を持った科を再度回ってもいいです。もちろん病理に自由選択のすべてを使って2年目の途中から病理医としての人生をスタートというのもありです。とにかく最初の2年は自分の好きに自由に使って思い切り楽しみましょう。

3年目からついに病理医を名乗れます。しかし、この時点ではまだ「病理専門医」ではありません。名称がややこしいですが、「病理専門医」とは日本病理学会から公式に認定された医師のことです。驚くべきことに、医師は何科を名乗ってもよいことになっています。極論を言えば、僕が明日から眼科を名乗ってもいいというわけです。怖いですね。だから各学会は専門医制度を設けており、学会の規定に従った研修をクリアし、試験に合格した医師だけをその学会の専門医として公式認定します。こうして日本の医師の質は担保されています。循環器専門医や消化器専門医などという名称を聞いたことはあるかもしれません。

病理専門医になるにはどうすればよいでしょうか。まずは病理専攻医(見習いみたいなもの)となって、後期研修を修了しなければなりません(研修が終わったのにまた研修!)。そして、その後、病理専門医試験というのを受けて(また試験!)合格して初めて「病理専門医」として認定してもらえます。詳しくは日本病理学会のHPを見ていただくと、専門医までのロードマップがわかります。『目指せ病理医!』という無料でダウンロードできる秀逸な冊子があるのでぜひご一読を。

ここまでで医学部卒業後、最短でいって5年です。最近は研修制度がしっかりしているので、最短あるいはそれにプラス1~2年で専門医になれます。

その後は色んな働き方があります。そもそも医師というのは働き方のバリエーションがめちゃくちゃたくさんあります。初期研修後すぐに大学院に行って研究してから専門医を目指す人もいますし、専門医取得後大学院に行く人もいます。専門医をとって、民間病院で診断をしまくるのに情熱を燃やす人もいます。ゆったりやるもよし、生き急ぐもよしです。働き方無限大です。上に書いたものはあくまでもごく一般的な進路の一例にすぎません。

病理医はかなり息の長い職業です。診断も切り出しも座ってやれます。さすがに解剖は座ってできないかもしれませんが、それほど長時間にはなりません。70代でも現役のご高名な方もいらっしゃいます。とてもコスパのいい科だと思っているんですがどうでしょうか。

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