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サマーフェスト

週末(8/31、9/1)は病理医の夏フェス=第13回 診断病理サマーフェスト-病理と臨床の対話-に勉強に行ってきました。この診断病理サマーフェストというのは、毎年8月末ないしは9月初週の土日2日間で行われる座学の勉強会で、毎年一つのテーマが決められ、そのテーマの日本のエキスパートの先生方(ということは必然的に世界的にも有名)が講演をしてくれるという何とも贅沢な勉強会です。今年のテーマは

ということで、婦人科腫瘍の病理と臨床でした。婦人科病理は大きくわけて、卵巣子宮体部子宮頸部と3つの領域に分けられます。今回はそのすべてを網羅するということで、非常に長丁場かつボリューム満天の回となりました。第1部が卵巣腫瘍、第2部が子宮体部腫瘍、第3部が子宮頸部腫瘍となっており、各部では病理医、放射線科医、臨床医のそれぞれの先生方が、それぞれの分野の重要事項やトピックスについて解説をしてくれます。

副題に病理と臨床の対話とあるように、病理医だけではなく、放射線科医や臨床医の話が聞けるので、とてつもなく有益です。普段、病理的な観点からしか考えていないことも多いので、なるほどそういう視点もあるのか、と新鮮な気持ちになります。放射線科って医学生の頃からすごいな、と思っていましたが、実際に医師として仕事を始めてから改めて接してみると、「うわぁ、読む人が読めばこんなに正確に診断できるんだ・・・」と度肝を抜かれます。こんなに放射線画像を見たのも久しぶりでした。

臨床医の先生が、こういうところを気にしているというのを直に聞くことができるので、それも非常に有用でした。治療については、知っているつもりでも、「おお、こんなに進歩してるんだ」とか「えっ! そんな治療もやってるんだ」とか自施設ではまだ導入されていない治療やそのエビデンスについても知ることができます。

そして、なんといってもエキスパートの病理医が惜しむことなく、診断技法の要点について講義してくれるのが、贅沢の極みですね。また、エキスパートの先生でもこんなところで困っているんだとかいうこともわかるとちょっと安心(というと変ですが・・・)します。特に、世界的なガイドライン作成にかかわっておられる先生方も多いので、日米欧などの考え方の違いについての話も聞けて、興味深かったですね。

ざっと300人くらいはいたでしょうか。会場は満員でした。

病理というのは、絶対数が極度に少ない業界です。そこには以前書いたようなデメリットもあるのですが、最大のメリットのひとつは、下から上までの距離がいい意味で近いことです。世界的に高名な先生方が、こんなに気安く講演してくれるのを頻繁に聞けて、なおかつ、丁寧に質問にも答えてくださるというのは、他の業界ではなかなか実現できることではないでしょう。最先端の知識を手に入れやすいという点では、成長速度がとても速い分野です。早く1人前になって、ばりばり医療に貢献したいという方にはおすすめの診療科です。

今年は第13回でしたが、実は第1回のテーマも婦人科病理だったようです。ちょうど干支が1周するのと同じで、テーマも1周したということですね。つまり、今年は新たなスタートとも言える年であり、次回、次々回も日常診療で非常によく出会う臓器がテーマのようですので、毎年楽しみです。

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