見出し画像

「なんでもいい」と言いながら

「なんでもいい」って言う人、いますよね。でも、ぜんぜん「なんでもいい」わけじゃないの。私の父(70代後半)が、そうなんです。父は旅行が好きなので、よく一緒に旅行へ行くのですが、毎回のやりとりで、この「なんでもいい」があります。

私「お昼、なに食べる?」
父「なんでもいい。」
私「じゃあ、イタリアンでもいい?スパゲティーとか、ピザとか。」
父「それは嫌だ。」
私「(なんでもよくないじゃん・・・。)じゃあ、あのカフェは?ランチプレートがあるよ。いいじゃん?」
父「う~ん・・・。あのラーメン屋にしよう。」
私「・・・まあ、いいけど。」

最初から「ラーメンにしよう」と言えばいいのに・・・と思います。でも「ラーメンは、どう?」と聞いたら、多分「う~ん、ラーメンかあ~。」となるんですよね。

私は、このやりとり、そんなにストレスを感じていません。なんていうか、コミュニケーションなんですよね。「ラーメンにしよう。」「うん。」で終わりじゃなくて、ああでもない、こうでもないと話すのが楽しいというか。まあ、血が繋がった父親だから許せるのでしょう。

仕事でも、この「なんでもいい」を言われることがあります。

上司「この内容でチラシ、作って。」
私「どんなかんじにしますか?」
上司「なんでもいい。」
私「いつまでに作りますか。」
上司「なるべく早く作って。」

「なんでもいい」から「早く」と言われたので、その通りに作ります。そして作って持って行くと、こう言うんですよね。

「う~ん、こうじゃないんだよなあ。」

そしたら、先に言えばいいと思うんですよね。なんでもよくないんですから。上司だけでなく、外注する仕事も、そうですよね。まあ、私は依頼する方になることは無くて、依頼される方なので、ストレスがかかります。

私が、たとえばチラシ作成を依頼するのであれば、

1)まず、誰に向けて、どこに置くチラシかを伝えます。
2)それによって、チラシを、どのように目立たせたいのか(キャッチコピーなのか、金額なのか、写真なのか)を伝えます。
3)全体の雰囲気のイメージ(暖色系で明るくするのか、ダーク系で落ち着かせるのか)について話します。その理由を説明します。
4)落とし込みの方法(電話なのか、メールなのか、注文まで結びつけるのか、QRコードの大きさだったり、HPのアクセス方法など)を相談します。チラシを作る目的は、チラシを見た人に、どうさせたいか、なので。
5)納期の相談をします。

だから「なんでもいい」なんて、絶対に言わないと思うんですけど、私は。

昔、オリジナルTシャツを企画制作、販売したことがあります。その時に、社外の人からコツを教わったんですけど、「捨て色を作るといいよ」とのことでした。たとえば、ホワイトとネイビーのTシャツなら必ず売れる。だから、1000枚を作るなら、一番売れるホワイト700枚、確実に売れるネイビー300枚を作る。私は、そう考えていました。でも、そうじゃない、と。

「洋服屋さんに言っても、こんな色、誰が買うんだろう?って、変な色が時々あるでしょう?あれは、売りたいから作ったんじゃなくて、捨て色として必要なんですよ。あれがあることで、売りたい色がよく売れるんです。だから、ホワイト600枚、ネイビー350枚、捨て色50枚で、3種類を作りましょう。その方が結果的に、ホワイトが売れると思います。まあ、捨て色は余っちゃうけどね。それは、安くさばいちゃいましょ。」

お客さんは、自分で選びたいんですよね。ホワイトをどうぞ、と言われるより、悩んだ結果、ホワイトを買いたいんです。「これがいちばん素敵」という、自分のジャッジにウキウキと楽しみたいから。

企画提案のプレゼンも同じで、「細かいことには拘らないから、なんでも提案してみて!」なんて言われて、真に受けて「これでいきましょう」と提案しても、結局「う~ん、なんでもいいとは言ったけどさ、これじゃねえ・・・。」みたいに、意見を言いたがる人がいます。これは、私が思うに、仕事ができない人ほど意見を言いたがる。それも曖昧で根拠のない意見。

これを防ぐには「捨て案」を用意することです。A案(これを採用させたい)、B案(捨て案)、C案(捨て案)を並べて「どれがいいでしょうか?」と選ばせるんです。

でも、選ぶということしか考えない人だと、中身をよく把握せずに、捨て案を選ぶこともあります。すごく簡単に作った捨て案を「シンプルでいい」と言われたり。「あれっ、困ったな。A案がいいに決まってるのに・・・。」と焦ることもあります。まあ、捨て案を選ばれても、こちらは知ったこっちゃないんですけどね。それがいいとなれば、「気に入った案を選んでいただいて、よかったですう~」とでも言っときます。

まあ、「なんでもいい」というのは、「なんでもいい」わけじゃないという意味の言葉ですね、という雑談でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?