今年のあちこちオードリーオンラインライブについて思うこと

少し前の話にはなるが、若林さんがnoteにアップロードしたエッセイ『オープニングトーク』を読んだ。
若林さんのnoteは口外厳禁なので具体的な内容については触れないが、自分はそれを読んで今までたぶんこうだろうなと思っていた部分に対してやっぱりそうだよなと感じた部分と、少し違っていた部分があった。
若林さんのエッセイはいつも読み応えがあり時に考えさせられることも多いが、特にこの回は個人的にとても興味深かった。

今年もあちこちオードリーのオンラインライブが開催される。今回は発表の直前にオドオド×ハラハラの終了報道が出たことから、X(旧Twitter)を中心にオドハラの話が出るのではないかという期待の声が多く見られた。
過去に若林さんは番組名は伏せていても明らかにそれだとわかる形で某クイズ番組に対して厳しい意見を言うことも多くあり、そんな若林さんが今のオドハラに対して何も思っていないはずがないとは皆が考えることだろう。
さらにハライチの岩井さんが自身が出演するラジオにて迷走し続けるオドハラについて苦言を呈したこともあって若林さんへの期待は強まったと思われる。

また、あちこちオードリーのプロデューサーである佐久間宣行さんがオドハラの演出も務めていることもさらにそれを助長した。
これまで佐久間さんは立場的なこともあってオドハラについて発言することは特になかったが、オンラインライブでは演者からの振りで思わず本音が飛び出してしまうこともあるかもしれない。視聴者としてはそのような生配信らしいハプニングにどうしても期待を寄せてしまうものだ。

そんな最中に公開されたのが先ほどの『オープニングトーク』だ。それまでは自分も他の視聴者と同様の期待を寄せていたが、このnoteを読んで自分の考えは180度変わった。
そもそも若林さんは以前から“期待されすぎると逆にやりたくなくなってしまう”タイプの人である。自分もこの考えには少し共感できる部分がある。決して期待を裏切りたいとかそういうことではなく、期待されすぎるとなんだか萎えてしまうのだ。
自分で「これは話したい」と決めていた話題があったとしても、そこに誰かの期待が乗っかることで、途端にそれは“誰かの期待”へのアンサーになってしまい、当初の純粋な「これは話したい」という気持ちとは微妙に変わってしまう。
若林さんは特にそれが大きく表れるタイプの人だと思う。

先ほど挙げた通り以前の若林さんは某クイズ番組に対しての苦言に近い内容をよく言っていた。しかしここ最近はそのような内容のトークがほぼなくなったように見られる。
若林さんはその番組の最終回の収録にて、スタッフと和解したことを明かしている。きっとその時にいろいろと考えることがあり、表でスタッフのことを悪く言うような発言はしないと決めたように感じる。

視聴者に見えるのはカメラに映っている範囲だけであり、その中ではどうしても演者の立場が優位になってしまう。テレビではなくオンラインライブであってもそれは一緒だ。
当然スタッフにもスタッフなりの思いや苦労があるはずだが、裏方という立場上基本的にそれが表に出てくることはまずない。
そのような場所で番組に対しての意見を言うことはズルい、ならばお互いの立場が平等な場所で言おう、ということではないだろうか。

2週間前ほどに今年のオンラインライブの企画が『それ言ってどうすんだ祭り』となることが発表された。
あちこちオードリーのオンラインライブといえば地上波では話せない過激なトークを繰り広げることがお馴染みであった。
しかし、年々それを繰り返していくうちに視聴者も前年以上に過激な内容を期待するようになり、それを合わせて内容もどんどんとエスカレートしてしまっているようにも感じていた。
そのような状況下でのオドハラ終了報道、そして若林さんのnoteと続き、この『それ言ってどうすんだ祭り』で全ての点が繋がった気がした。

今年の『それ言ってどうすんだ祭り』というタイトルからは“地上波では話せないトーク”ではなく、“地上波で話してもどうしようもないトーク”が中心になることが予想される。これはつまり例年のような過激な内容よりももっとくだらなくてしょうもない内容になるということであろう。
やはりここも視聴者から過激さを求められすぎた結果辿り着いたひとつの答えなのだと思う。恐らく佐久間さんも若林さんと近い考えを持つ人であり、だからこそラジオでもほとんどオドハラの話をしていないのだろう。

もうひとつ今年のオンラインライブについて気になるのは、佐久間さんが「これまでの集大成」と言っている点だ。
あちこちオードリーといえばトーク一本勝負のストロングスタイルでお馴染みの番組だったが、ここ最近は自作自演占いなどの企画ものの回も増えている。また、先週のOAでは今までなら絶対にありえなかった街頭インタビューのVTRを入れており、ここで自分はオドハラほど激しいものではないものの、同じ空気を感じとり一抹の不安を覚えた。

仮に番組終了ではないにしても今あちこちオードリーはひとつの分岐点に立っているのかもしれない。自分はオンラインライブの方向転換には賛成だが、通常放送はこれまで通りの「裸のトークバラエティ」であってほしいと思う。
テレビというのは視聴率やスポンサーなど様々な事情が絡んでいるため、視聴者の「こうあってほしい」という想いだけではどうしようもないこともわかっているが、1つ言えるのは演者もスタッフも視聴者もみんながハッピーな形で1日でも長く番組が続いてくれることだろう。
それを願いつつ8月20日を楽しみに待ちたい。

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