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自創作を振り返る#3『カミングアウト』

 概要
3本目『カミングアウト
 本編・・・歪んだラクリマ
 更新日・・2021/07/27
 注意事項・本編ネタバレ有/BL

 タイトルからお察しの識×一樹のCPのカミングアウト話。
 これに関して一つ追記させて頂くと、これを書いてる時は実はラクリマの本編がプロット段階でちょっと違いました。3章はもう出してるんでネタバレなんですが、色々な路線変更の末に結果的に柊は死にました。
 結構ギリギリまで「いやでもやっぱ生かしておいた方が……」「意識は無い状態とか」「柊は死なねえ」みたいにがっつり考えまくって現在の本編になりました。
 つまりどういうことかというと、これは本編ではない、正史ではないってのを大前提に読んでもらわないと「は?」てなるところ多いかなって。


あらすじ
 恋人になった識の様子が最近おかしい。聞いてみれば、識は家族に一樹と付き合ってることを伝えたい、カミングアウトしたいということだった。
 識に押されて挨拶をしに行くことが決まったが、一樹はどうしても気乗りしない理由があった。
 何せ、識の母を奪ったのは冬木組の人間――一樹の身内であり、同時に、一樹には次期組長の椅子が用意されていたからだ。


振り返り・技術
 自分で言うのはどうかと思いつつ、一人称視点を書くのが結構上手い方なんじゃないかという自覚があります。
 幼少期の愛読書が一人称視点だったり、小学生の頃に買った小説の書き方講座みたいなやつが一人称視点を得意としている作者さんのものだったので、それに影響を受けて。
 そもそも、三人称で小説を書くようになったのが中学生くらいの話で、ずっと一人称で書き続けていたが故に一人称視点の表現だとか、描写と気持ちのバランスは丁度良い方なんじゃないかなって。
 強いていうなら根本的な書き手の語彙が貧困なのでキャラクターにも似たようなことばかり言わせてしまうこと、だろうか……。もっといっぱい本読まないとね。
 それから、言い合いのシーンというか、感情を激しく出すシーンの書き方は悪くないんじゃないかな……。もう少し切羽詰まった間とか、地の文いれて感情ぐちゃぐちゃ~って描写があっても良かったかなぁ。


振り返り・内容/キャラ
 橘家と冬木家の対比は本編でもよく出してるんだけど、この時から対比構造がしっかり作れてると思う。
 特に識くんにも一樹くんにも共通する部分に「姉」の存在があるわけで、寛容で理解があって、自分の好きにしたら良いよって言える伊織と、子供みたいに不貞腐れて自分勝手もいい加減にしろという如一様。
 まぁ~冬木家が一筋縄でいかないのは他にも複合的な要因があってこそではあるけど、正直一番の関門が如一様だったようにも思うな。今読み返していると。
 結局、如一様が弟を許したというか、識くんや伊織への罪悪感で折れて、悪い言い方をすれば犠牲になってやるかって腹を決めたから上手くいったわけで、もしも意地でも如一様が譲らなければ一樹くんの説得は上手くいかなかったと思う。
 それこそ、相手が識くんだったからうまく行ったとも言えそう。これ一人で定期的に思ってることだけど、ラクリマはいろんなものがかなり不安定な状態で積み上げられた関係性が多いから、ボタン一つの掛け違えで大惨事になってただろうなって……。
 その不安定なバランスを表す作品としても完成度は結構高いかも?


裏話とか思い出話
 六合亜留斗…冬木組に在籍する科学者兼闇医者。噂によると探偵業もしているとか? と~っても頭が良いので如一の一個下という年齢で冬木組の幹部くらいの立ち位置にいる。如一と一樹、あるいは親子の橋渡し的役目をする時もあるのに今回に限っていないのは何故か?
 めちゃくちゃシンプルに「流石に面倒くさいことになりそう」だったので。亜留斗は基本的に合理主義者かつ超自己愛者なので、自分にとって益が無いことはほとんどしません。するとしたら、自分のしたことに後ろめたさがあったり、このままじゃ不味いだろうな、自分の身に危険が及ぶなって判断をしたとき。
 時々そういうのを度外視して首を突っ込むこともあるけど、大抵は首突っ込んでも野次馬でいられるものだけ。今回のような下手に首突っ込んだら表に引きずり出されかねないようなことは黙認。
 ガチの裏設定で後に一樹くんに「逃げやがって」と文句言われています。
 射水「子供にとって家はあくまでも育つ場所だ。君たちの全てじゃない」…これは射水が理解のある良い父親であると同時に、父として息子を突き放してるセリフという二重の意味を意図して書いた記憶がある。
 突き放すと言っても、それが恋人に男を連れてきたから、というものではなくて、識くんの母親は隣に居る一樹くんの身内に殺害されているため、母親を失ったことを昇華できないまま年を重ねてるわけです。
 それに関して父親としても思うことがあって、いわゆる「母親離れしなさい」という父親なりの釘刺しでもありました。家はどうしても家族の思い出があるから、家族の思い出に母親を消すことなんて当然できないので、識を呪縛から解き放ちたい親心。もちろん、家に囚われてる一樹くんを救うための意味もあったとは思うけど、家に囚われてるのは識くんも同じだからね。
 柊「一樹、お前のことは可愛がってやってるが、なんでもかんでもわがままを聞いてやれるわけじゃあないんだぞ」…とか言いつつ大抵のわがままは実は結構聞いてきた方。ただしそれはご機嫌取りの側面もあって、それこそ一樹くんが「後を継がない」なんて言い出したら柊からすればブチギレ案件のため、そうなるのを回避するために結構甘やかしてきた。
 ただ、柊が一樹くんを良く思ってないことに一樹くん本人に自覚があったし、何よりも一樹くんは柊に対して恐怖の感情の方が強かったので、言うタイミングを失って「後を継がない」と言えなかっただけでもある。そこで識くんっていう、まあ最悪の場合が起こったとしてもどうにかなるパートナーが居たことで切り出せたってことでした。
 橘家が古くからある武道家かつ大地主で、柊は所謂余所者。橘家そのものに由緒正しいアレコレだったり、土地に関するちょっとした権威だったり、そもそも本家のアグリフォーリオ家に事前に釘を刺す用意周到さだったりなんだりで、柊が唯一日本で頭の上がらない家の子だったのも要因の一つ。射水さんの先見の明が神がかってるとも言う。


感想
 意外と書いてる時のこと覚えてるもんだな~っていうのが率直な感想。結構思い入れ強いのかもな、自覚ないだけで。
 センシティブな話題だからどうやって扱うかもちょっぴり悩んだけど、自分の書きたいものを書きたい気持ちを優先して書いた。というか、ラクリマは作中の8割くらいはセンシティブな話題になるから、その辺はもう避けようがないかなって。
 ただまあこんだけ色々語っても正史じゃないんですけどね……。正史カミングアウトもそのうち。


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