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FP1級実技|直前ラスパーlog 気になる学科の問題(2024年9月受験用)

2024年9月8日実施のFP1級学科試験の基礎編の問題のうち、実技面接目線から気になる問題をピックアップしてみました。

まずPart I関連で、《問43》 相続時精算課税に関する問題。

R5税制改正で新たに設けられた基礎控除に関する論点が中心です。

最も適切な選択肢はどれでしょうか?


選択肢1)

相続時精算課税適用者が、同一年中に複数の特定贈与者からそれぞれ200万円の贈与を受けた場合、特定贈与者ごとの贈与財産に係る贈与税の課税価格から相続時精算課税に係る基礎控除額としてそれぞれ110万円が控除される。

→不適切です。

相続時精算課税の基礎控除額は「受贈者1人につき年間110万円」です。

そして、2人以上からの贈与の場合は、基礎控除額110万円は各贈与者の贈与税の課税価格で按分します。

選択肢のケースでは、200万円ずつの贈与なので、それぞれ110万円÷2=55万円が基礎控除額となります。

一方、相続時精算課税の特別控除額は「贈与者1人につき2,500万円」です。

また、住宅取得等資金の贈与の非課税ですが、こちらは「受贈者1人につき最大1,000万円」である点にも注意しておきましょう。


選択肢2)

相続時精算課税適用者が、同一年中に特定贈与者および特定贈与者以外の者からそれぞれ200万円の贈与を受けた場合、特定贈与者から受けた贈与財産に係る贈与税の課税価格から相続時精算課税に係る基礎控除額として110万円が控除され、特定贈与者以外の者から受けた贈与財産に係る贈与税の課税価格から暦年課税に係る基礎控除額は控除されない。

→不適切です。

「特定贈与者」という言葉が出てきますが、これは相続時精算課税の適用対象とした贈与者を意味します。

従って、「特定贈与者以外の者」とは、暦年課税の適用対象とした贈与者のことになります。

選択肢の趣旨は、同一年内で、2人以上からの贈与があり、一方は相続時精算課税、もう一方は暦年課税の場合、それぞれの基礎控除額110万円は併用できないとしていますが、両者は併用可能なので、基礎控除額は合計220万円となります。


選択肢3)

相続時精算課税適用者が特定贈与者から現金の贈与を受けた場合、その金額が相続時精算課税に係る基礎控除額以下であっても、当該贈与について贈与税の申告書を提出しなければならない。

→不適切です。

基礎控除額110万円以下であれば申告不要です。

また、基礎控除額は相続財産に加算されません。


選択肢4)

養親から相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた養子が、当該養親との養子縁組解消後に養親であった者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税制度が適用される。

適切です。

養子縁組の解消前の贈与について、相続時精算課税の適用を受けている場合には、養子縁組の解消後の贈与についても、相続時精算課税が適用されます。


次は、《問49》 です。

FP1級実技面接Part II頻出の2つの論点(借地権と使用貸借)が絡んでおり、「土地の無償返還に関する届出書」と共に、マークしておくべき2つの書面について問われています。

最も不適切な選択肢はどれでしょうか?


選択肢1)

子が、親から建物の所有を目的として使用貸借により土地を借り受ける場合、借地権の設定に際し、その設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払う取引上の慣行がある地域においても、当該土地の使用貸借に係る使用権の価額は、ゼロとして取り扱われる。

→適切です。


選択肢2)

子が、親から建物の所有を目的として土地を借り受ける場合、子と親との間に当該借受けに係る土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものは、土地の使用貸借に該当するものとして取り扱われる。

→適切です。


選択肢3)

子が、親が有する借地権の目的となっている土地の所有権(底地)を地主から購入し、親が無償で子から土地を借りることになった場合、「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出しなければ、子から親に借地権の贈与があったものとして取り扱われる。

不適切です。

最後の部分、「子から親に借地権の贈与があったものとして取り扱われる」は、「親から子に借地権の贈与があったものとして取り扱われる」が正しいです。

この場合、「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」の提出がなければ、親が借地権を放棄し、それが子に移転された(=子に贈与された)ものと解されてしまいます。

子は底地の購入のみで自用地(借地権+底地)を手に入れ、それを親に無償で(使用貸借で)貸しているとされてしまうのです。

「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出すると、

  • 親は借地権を放棄していない。

  • 親子間で賃貸借関係は維持されているが、地代の授受は行わないこととしている。

以上の2点が認められ、子に課される贈与税を避けることができます。


選択肢4)

子が、借地権を有する親からその借地権の目的となっている土地を使用貸借により借り受け、その土地上に建物を建築して「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出する場合、当該確認書には、子、親および地主の署名が必要とされる。

→適切です。

親の自用地を子が使用貸借で借り受ける場合は税務署への書面提出は必要ありませんが、借地権を使用貸借で借り受ける場合は、使用貸借に係る借受者、借地権者、地主の3者でその事実を確認し、3者の署名による「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出する必要があります。

※)
以上、一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定1級学科試験2024年9月から選択肢部分を抜粋しています。


▶︎ 「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」と「借地権の使用貸借に関する確認書」については以下の記事でわかりやすく解説しています。


▶︎ 前回試験(2024年6月)の直前期に投稿したラスパーlog集①〜④もチェックしておきましょう。



Image by Mudassar Iqbal via Pixabay



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