FP1級実技面接2021/10/10 PartⅡの別解を推理してみた
※この記事は『FP技能検定1級実技(資産相談業務)対策問題集【2021年度分収録】』の内容に関するものです。
FP1級実技面接2021年10月10日 PartⅡについて、対策問題集(通称ピンク本)の解説に少し違和感があったので投稿します。
256ページ <PartⅡ>第6問 2021年10月10日の設例をご覧下さい。
まずは、誤字の指摘から。
257ページの図(Ⅱ案)
甲土地(b部分)となっていますが、
甲土地(d部分)が正しいですね。
すぐにわかりはするものの、肝心な部分に誤字があると戸惑ってしまい、何度も設例や図を見比べたりしてしまいますよね。
編集者の方、くれぐれもお気をつけ下さい。
と、軽くジャブを繰り出したところで、本題です。
相続上有利になる理由が難しすぎ
それでは、260ページのQ4(交換後の土地が相続上有利になる理由として、どのようなことが考えられますか)の解説部分をご覧下さい。
相続上有利になる理由として、甲土地と乙土地を一体化すると、評価額は「二方路線影響加算」の対象になるものの、「不整形地補正」と「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価」による減価を行うことができるから、としています。
う~ん。
不整形地の補正ですか。
このあたりの財産評価の細かい算式の知識は、もはや税理士試験の相続税法レベルですよね。
そんな知識を踏まえて、「二方路線影響加算」による評価増が別の補正により評価減されるだろうから有利という推論を導き出すのは、相当に無理があるように思います。(仮にきちんと計算しての結論ならまだしも、あくまでも推論ですから尚さら難しいですよね。)
もっとFP1級受検生にも手の届くような範囲の知識で答えられないでしょうか?
以下、設例に記載されたデータを順に追ってみますので、皆さんもご一緒にお考え下さい。
甲乙の土地があるのは、東京都S区内である。(設例1行目)
甲土地は普通商業・併用住宅地区、乙土地は普通住宅地区に属する。(図Ⅱ案の末尾※印の注釈)
交換前の甲土地の地積は700㎡、指定容積率は300%である。
交換後の甲乙一体となった土地の地積はⅠ案900㎡、Ⅱ案870㎡である。
交換後は指定容積率300%の甲土地に指定容積200%の乙土地が加わったことになる。
5.について、還暦過ぎの迷探偵ラスパーの推理。
「交換前は指定容積率が300%だったけど、交換後は指定容積率が200%の乙土地が加わったんだから、甲乙一体では指定容積率が300%未満に薄まったんじゃないかなあ・・・」
あっ!!
あれか・・・
伏線回収
そうです。
東京23区は三大都市圏。
地籍500㎡以上で、指定容積率が300%未満であれば、「地積規模の大きな宅地」の評価が使えそうです。
そして推理の核心部分、甲乙が一体となった場合の容積率が本当に300%未満となるかどうかという点ですが…
ここで証人をお招きしましょう。
「地積規模の大きな宅地の評価-指定容積率の異なる2以上の地域にわたる場合の容積率の判定」
実際に計算してみると、
Ⅰ案:300%×400㎡/900㎡+200%×500㎡/900㎡=244.44%
Ⅱ案:300%×450㎡/870㎡+200%×420㎡/870㎡=251.72%
いずれもめでたく300%未満となります。
ありがとう、国税庁!
今まで、指定容積率が300%だったために適用できなかったこの評価減が、交換によって200%の土地が加わることによって適用できるようになったわけです。
これなら、立派にFP1級受検レベルの知識と言えますね。(瞬時に気づけるかどうかはかなり問題ですが)
実際に規模格差補正率を計算してみると(三大都市圏で1000㎡未満はA)0.95、B)25)
Ⅰ案:(0.95×900+25)/900×0.8=0.78
Ⅱ案:(0.95×870+25)/870×0.8=0.78
路線価の約2割減ですから、相続上有利になる理由として、それなりにインパクトがあるのではないでしょうか。
以上、あくまでも私見による別解でした。
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