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FP1級実技|2024年2月試験に向け、直近の設例を振り返る

2024年2月のFP1級実技面接まで、あと2カ月余りとなりました。

今回は直近の2023年9月度出題の設例を振り返りつつ、現時点で特に念頭に置いておきたい学習対策上の留意点についてコメントします。

Photo by Valentin via Pixabay

PartⅠ対策の留意点

2023年9月のFP1級実技面接に向けて書いた記事では、PartⅠの出題傾向に関して次のように指摘しました。

  • (★1)M&Aの出題は一巡したが、今後も焦点が当たる可能性は十分ある。

  • (★2)親族内承継は、長男に事業承継税制(特例)を使って承継するパターンが定番だが、最近は事業承継税制が使いにくい例(弟や甥などへの承継、非親族の役員や社員への社内承継)が目につく。

  • (★3)令和5年度税制改正事項は要注意。

さて、2023年9月試験の出題内容は実際はどうだったのでしょうか?

9/23 PartⅠ

  • 代表取締役Aさんの株式70%を息子Cさんへ移転:事業承継税制(特例)の適用(★2)

  • 取締役副社長Eさんの株式30%を息子Fさんへ移転:配当還元価額による贈与または譲渡(★2)

  • M&Aの検討(★1)

  • iDeco+の仕組みについて

9/24 PartⅠ

  • Aさん急逝後の代表取締役選任方法

  • 事業承継税制(特例):相続発生後の適用(★2)

  • 2人の孫への教育資金の一括贈与について残余財産が相続財産に含まれる可能性について(令和5年度税制改正事項)(★3)

9/30 PartⅠ

  • 「比準要素数1の会社」の評価

  • M&Aの検討(★1)

事業承継については、事業承継税制(特例)の適用、配当還元価額による社内承継、M&Aが満遍なく問われましたが、今後もこの傾向が続くものと思われます。

事業承継税制(特例)の特例承継計画の提出は2024年3月31日が期限となっており、令和6年度税制改正大綱でこの期限が延長されるのかどうかは要注目です。

※ 追記(2023/12/28)
令和6年度税制改正で、特例承継計画の提出期限が2年延長され、2026年3月31日までとなりました。

9/24 PartⅠの教育資金の一括贈与の非課税に係る令和5年度税制改正ポイントについては、6/10 PartⅠに続いての出題となりました。

また、9/30 PartⅠの「比準要素数1の会社」の評価は、前回6/18 PartⅠで問われた「株式等保有特定会社」の評価の隣接論点です。(両設例の作りはよく似ており、同じ出題委員が作問したもののように思われます)

後述する PartⅡも同様ですが、最近の設例で問われた論点については、その再現や隣接分野の出題に注意しておく必要があります。

2023年6月と9月は出題がなかった医療法人については、そろそろ問われてもおかしくはない状況です。

PartⅡ対策の留意点

2023年9月のPartⅡは、傾向と対策の記事でも指摘した頻出論点(★)の「税制特例」「借地権」「使用貸借」「土地の有効活用」が問われました。

また、直近の既出論点の再現や隣接・類似論点の出題(◆)が目につきます。

9/23 PartⅡ

  • 借地権付き空き家の売却
    →借地権の譲渡承諾料(2022/6/4 PartⅡで借地権の更新料や承諾料が問われた)(◆)
    →「空き家の3,000万円特別控除」(譲渡対価限度額、耐震化・除却の要件)(★)

  • 「借地権と底地の交換」、「固定資産の交換の特例」(★)

  • 交換で取得した土地に長男の住宅を建てる方法
    →「住宅取得等資金の贈与の非課税」の活用(★)
    →土地が「使用貸借」の場合の相続税評価額(★)

9/24 PartⅡ

  • 「筆界」と「所有権界」、「筆界特定制度」

  • 占有による取得時効の成立

  • 「空き家の3,000万円特別控除」(譲渡対価限度額、母屋と離れの場合は母屋部分のみ適用)(★)

9/30 PartⅡ

  • 「前払地代」の課税関係(2023/2/12のPartⅡで問われた)(◆)

  • 「土地の有効活用」(事業用借地権・建設協力金方式  / 建設協力金方式の途中解約がポイントだが、これは前回2023/6/18 PartIIでも問われた。また類似の複数案比較問題は2022/10/2 PartIIで出題された。)(★)(◆)

最近の傾向を見ると、一度出題された事項が、近々で再び問われることはないと決めてかかって、論点切り(=勉強を省略)してしまうのは少々リスキーと言えます。

TAC本に収録されていない直近の2023年6月と9月の各設例についても、当サイトの論点解説の記事などを参考に、しっかりと学習を進めておきましょう。

また、「住宅取得等資金の贈与の非課税」は、PartⅠ・PartⅡを問わずよく狙われる論点ですが、適用期限は2023年12月31日までとなっています。

面接実施時点で、この特例が終了しているのか、期限延長されているのかを明確にしておく必要があります。

※ 追記(2023/12/28)
令和6年度税制改正で、この特例の適用期限が3年延長されて、2026年12月31日までとなりました。

前述の事業承継税制(特例)の特例承継計画の提出期限と合わせて、12月中旬発表予定の令和6年度税制改正大綱の内容には十分注意しておきましょう。


また「その伏線を回収せよ!」シリーズは、直近2年間の設例分析に基づくシンプルな確認問題やミニ事例問題によって、重要な論点や紛らわしい論点を一気に復習することができますので、直前対策にお役立て下さい。

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