見出し画像

きんざいの後継本? 『1級FP技能士合格テキスト』レビュー

2023年6月17日に刊行された『1級FP技能士(学科)合格テキスト』(ビジネス教育出版社)についてレビューします。

『2023・2024年版 1級FP技能士(学科)合格テキスト』(ビジネス教育出版社)

  • 監修・執筆:梶谷美果氏(1級FP技能士 / CFP認定者)

  • 執筆:林繁裕氏(社会保険労務士 / 1級FP技能士 / CFP認定者)

  • 執筆:平下淳氏(1級FP技能士 / CFP認定者)

  • 執筆:船井保尚氏(1級FP技能士 / CFP認定者

きんざいの『合格ターゲット』の後継本として受検生の注目が集まる本書ですが、結論から言うと、章立てやページ構成などは『合格ターゲット』をほぼ踏襲しており、『合格ターゲット』2023-24年度版と言っても違和感がない作りとなっています。

本書の序文(「はじめに」)に、「できるだけ短期間で効率よく合格したい」受検者の一助となるよう、「いわゆる定番問題を確実に正解できるような学習」を重視したとあるように、頻出論点を中心の幹にしつつ、枝葉の知識もできるだけ拾っていくという執筆意図が感じられる内容です。

質実剛健で取っつきにくいイメージがあった『合格ターゲット』を、学習事項の配列やまとめ方、字体や字の大きさなどに工夫を凝らしつつ、理解しやすく、また記憶に残りやすい形に仕立て変えており、新刊書という新鮮味も加わって、FP1級の間口がぐっと広がる印象を与えてくれます。

一方で、令和5年度の税制改正事項を反映しながら、限られた紙面の中にFP1級分野の多岐にわたる複雑な知識をどう盛り込んでいくのか、何を取り、何を捨てるのか、取捨選択の苦労は尋常ではなかったことと推察されます。

ページ数を『合格ターゲット』よりも56ページ減らしてコンパクトにした分、カットや縮減を余儀なくされた事項や記述があるのは残念ながら否めません。

また『合格ターゲット』の巻頭にあった、年度別の出題傾向分析のページはなくなり、巻末の語句索引も付されていません。
※ 本書監修・執筆の梶谷美果氏の6月20日付けのツイートによれば、語句索引についてはビジネス教育出版社のサイトに近く掲載される予定とのことです。

さらに、本文に付いていた本試験の出題年月を示すアイコンもなくなり(頻出や改正のアイコンはあります)、利便性の点でやや物足りない面は感じますが、このあたりは今後の改訂による進化に期待したいと思います。

きんざいの対策本がなくなると知って感じていた不安と寂しさが、本書を手にしてページをめくるうちに、少しずつ和らいで行くのを感じました。

『合格ターゲット』 の流れを汲んだ、FP2級からFP1級への橋渡し役としても好適な、通読しやすいテキストが登場したと言えるでしょう。

ビジネス教育出版社からは、テキストにあたる本書と共に、対策問題集(基礎編288問、応用編32事例を収録)も刊行されました。

また、今後のラインナップとして、年3回の対策模擬試験のリリースと共に、本書の執筆陣による講義動画(分野別及び直前対策)の配信も予定されているようです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?