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ねぇ、ミルクチョコレート


あ、まただ。
もらったピンクのマドレーヌを笑顔で受け取って、明るくありがとうと言った。

いつもそう。お菓子。
常識的な現代人は何かのちょっとしたお礼とか手土産に甘いお菓子を選択するらしく、そんな常識人からもらった甘い甘いお菓子たちは私の部屋にどんどん大きな山脈を築く。
このマドレーヌも山々の一部となりそうだ。
私に渡してもどうせ誰も食べないのに。もったいない。
手の中のマドレーヌがなんだか寂しそうにこっちを見てる気がして申し訳なくなった。

うんざりだ。
甘いものは嫌い。
ケーキ、カステラ、カヌレ、シュークリーム、エクレア、プリン、ドーナツ、キャンディー、変な色のフラペチーノ、人形焼も嫌い、九州醤油も嫌い。
コンビニの明るい棚には常に色とりどりのスイーツが並び、人々はケーキバイキングに集って目を輝かせる。

私は生まれる時代を間違えたのだろうか。
確かに沖縄で吸ったサトウキビの茎は美味しかった。おはぎも、よもぎ餅も、白玉も、きな粉餅も甘くないやつはすき。ぜんざいも甘すぎなければ食べれる。
しかし現代に溢れるいかにも人工的な甘味はどうしても受け付けない。
口の中に広がり、なかなか消えない甘味。
想像しただけで気持ち悪くなる。

親の仇とばかりに甘いものを毛嫌いする私だが、
この私でもどうしても食べたくなるものがある。
チョコレートだ。
いつも食べたいわけじゃないが2ヶ月に一口くらいどうしても食べたくなる。
チョコソースとか、チョコクリームとかではない。
純粋なチョコレート。なにかが混ざってないチョコレート。ポテチとかについてるやつは嫌い。あとホワイトチョコは気持ち悪い。
できればなんの装飾もない板チョコがいい。
板チョコは板チョコでも特に好きな人がくれる板チョコがいい。
ゴディバとかそういうブランドはいらないから、好きな人からもらう板チョコがいい。
なんか美味しい気持ちの味がする板チョコがいい。
あの日もらった板チョコがいい。
あの日もらったガーナの赤い箱がいい。
なんで大事な日に板チョコにしたのか聞いてみればよかった。
あの日からチョコを食べれるようになったことは、きっと知らないままだろうけど、わたしは今日も元気に甘いものが嫌いで、板チョコだけちょっと好き。
あの日チョコレートくれてありがとう。

ということで、
誰かわたしに板チョコを恵んでください



あなえより
すべての私の好きな人たちへ


ちなみにココアは大好き!



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