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【家族がアル中?と、思ったら】

アルコールについて書いてみようかな。
家族さんや身近な人に「アル中」っぽい人、当事者がいたらどう接したら良いかというハナシ。


アルコール使用障害の学びと理解がキーワード

「アル中」と聞くと、本人の根性が無いとか、気持ちが弱いから飲むなど、負の印象を持ちませんか。
実は、アルコールの使用は、人の「根性」や「決意」を駆逐するような根深いカラクリがあるのです。

アルコールの問題がある人の家族さん、身近な人には、まずはその理解が助けになるはず。
第1部はアルコールの正しい知識を振り返ってみます^^


アル中→『アルコール使用障害』の概念へ

『アル中』という言葉が一般的ですが、正しく言うと『アルコール使用障害』。医療での「アル中」は、世間のアル中と少し意味がちがうのです。

アル中とか、アルコール依存症は、メディアでもたびたび報道されますが、多くは深刻な状態となった人の話ですよね。
実は、アルコールの使用には、それ以前の軽度の状態があります。

・アルコールが手放せない
・アルコールのストックが無いと不安になる
・無性に飲みたくなる
 などなど。などなど。

この段階では、よく耳にする「犯罪した」とか「手が震える」などの現象は無いですが、アルコールに振り回されている状態ですのでアルコール使用障害と判断されることがあります。

アルコール使用障害は、なにも珍しいことではなく、ワタシたちがみんな、背負う可能性のある障害なんですね。


ところで、アルコールとの正常な付き合い方とは?

アルコール使用障害を深掘りする前に、アルコールとの正常な付き合い方を見てみます。
その違い見てみましょう〜


アルコール使用の正常な状態

◆機械飲酒
飲み会や週末のイベントなどでお酒をたしなむこと。

◆習慣性飲酒
晩酌など習慣的にお酒をたしなむこと。


アルコール使用の異常な状態

◆少量分散飲酒
仕事の合間など、一日の中で飲酒を繰り返すこと。
テレワークが広がりましたし、この機会は増えていそうですよね。

◆持続深酩酊飲酒
飲んで眠り、目が覚めると再度お酒を飲むこと。


自分は大丈夫?
アルコール使用障害のチェック

アルコール使用障害は、前述の通り「程度」が異なり、軽度であってもアルコール使用障害に該当することがあります。
チェック項目を引っ張ってきました。参考文献は最下段に残しますね。

<チェック>
次のチェック項目のうち当てはまるものを選び、その数次第で次のように判断します。

2つ当てはまる=軽度
4つ当てはまる=中度
6つ当てはまる=重度

1.少しだけのつもりが大量にお酒を飲んでしまう

2.飲む量を減らしたり止めたりしても、飲みたいと思う or 再び飲んでしまう

3.飲酒のために時間がかかる or 飲酒後の回復に時間がかかる

4.お酒を強く飲みたい

5.飲酒のせいで、仕事や家族に問題が起こる

6.飲酒のせいで社会的 or 対人的な問題を起こすけど、それでも飲む

7.飲酒のせいで、社会的な活動や仕事、娯楽が減っている

8.危険な状況でも飲む

9.健康上の問題が生じていても飲む

10.酔うために必要な量が増えている

11.飲まないと離脱症状が起こる

精神診療プラチナマニュアル第2版

この中で2つ当てはまるだけで診断に引っかかるとすると…アルコール使用障害の定義は広いことがわかります。


アルコール使用障害のカラクリ

アルコール使用障害はなぜ起こるのか。
それは、アルコールによって頭の中にとある『回路』ができてしまうことが原因と考えられています。

その回路とは、このようなイメージ。

A. アルコールを飲む

B. 快楽を覚える

C. 脳の中に「アルコール=快」という学びができる

問題なのが、C.の学び。

正常だと、C.で得た快楽はいずれ消退しますが、大量に飲む、繰り返し飲むなどしていると、C.の段階から勝手にA.にリスタートされる『回路』ができあがることがあります。

これが、アルコール使用障害の正体。

この回路ができると、人は「根性」で回路を止められません。
頭でわかっていても、回路が勝手に動くため、アルコールを飲み続けます。

一度この『回路』のカラクリに迷い込んでしまうと、アルコール使用障害は『完治』することができません。回路は残るのです。
『寛解』と言い、回路のスイッチであるアルコールを避けることが、現代医療でできるゴールです。


ちょっと長いので、ここで第1部はおしまい。
第2部に続きます^^


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