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新曲”招待状”オフィシャルインタヴュー

★“招待状”の歌詞についてーー。

「小学校1年生の頃から、毎年スケッチ旅行で訪れていた大王崎という三重県の南の方にある島というか街があるんです。そこは絵描きの街と言われているくらいスケッチをしている旅行者が多くて。その大王崎に、小1から中3まで毎年のようにスケッチ旅行に行っていて、当時の自分にとって第二の故郷みたいな場所だったんです。そんな大王崎へのノスタルジックな思い出を曲に詰めて、いつまでも自分の中で忘れたくない景色を曲の中に留めておきたいなと思って、書き始めた曲です」

「大王崎は本当に景色も綺麗ですし、灯台がすごく有名なんですね。その灯台と海とのバランスがすごく綺麗だったり、街全体がとにかく美しくて。そこら辺に猫が何十匹も歩いていたり、まるでジブリみたいな世界観の街だなって個人的には思っていて。めちゃくちゃ魅力的な街で、すごいスケッチしがいがある景色というか。私がスケッチ旅行に行っていたのは、小学校の時から通ってた美術教室の一環で旅行があったんですけど。絵を描く以外にも自然に触れたり冒険をしたり、自由時間に真珠が売ってるお店に遊びに行ったり、近所でお店をやってるおじいちゃんおばあちゃんにこれも食べなあれも食べな!ってサービスして貰ったりとか、幼い時ならではの楽しみも沢山ありましたし、今みたいな世の中に揉まれたり邪念を抱えながら生きる事もなく、ただただ純粋に物事を見て楽しむみたいな事ができた時だったので、自分の中で大王崎っていうのがすごい綺麗な思い出のままるんです。そういう過去の綺麗な思い出、純粋な自分を忘れたくないなっていう思いを歌にしたかったんです。ちなみにこの曲のジャケットの背景にあるイラストは、当時の私が描いた大王崎の絵です(笑)」

★幼少期の自分と変わらないところ、変わったところ。

「冒険心? 野心というか好奇心とか、これがしたいあれがしたいと思ったら真っ直ぐになってしまうところは今も変わらないですし、ワクワクするものに目が眩むっていうのは今も変わらずあるもので。昔から美しいものと他の人が見ないようなところに惹かれがちだったりしていました。それこそみんなは海へ行くと泳ごうぜ!とか入ろうぜ!とかだったんですけど、私は『海のこのキラキラした波の部分は。なんでこの柄なんだろう?』とか、みんなが見ないようなところを夢中になって眺めて絵に描いたりして、そこは今も変わらないと思いました」

「変わった部分は、子供の時はただただ海が綺麗、空が綺麗、美しい、景色を見るたびにワクワクが止まらなかったんですけど、大人になってからはどこか哀しく感じたり寂しく感じたりするんですよね。子供の頃は純粋に物事を見れてたものが、大人になって複雑に捉え始めたりとかで、切なくなることがすごく増えたっていうのは、いろんなことを経験していく上で物事を重く捉えることが増えた結果なのかなって思います。いろんなことを経験したり積み重ねた結果、今まで純粋に綺麗に思えたものがどこか汚く見えたりだとか、切なく感じたりとかする、それは大人になった成長でもあるし、失ったものでもあるし、複雑な気持ちになる時もあります」

★“招待状”というタイトルに込めたもの。

「今の私が大きなステージで歌ったり、ファンの方にありがたく囲まれて歌っている。この最高の景色の中で過ごしている自分から、鼻歌でしか歌えなかった昔の自分に向けて今こんなに大きい所で歌ってるんだよっていう呼びかけであり、逆に過去の自分――空を飛んで鳴いている鳥を眺めながら「あ、歌ってるな」って思ったり、何も考えずに純粋に好きで歌を歌ってた当時の自分が、今の自分に繋がる招待状だったんだなっていう想いも含まれています。途中、『きっと私はいつか あの鳥のように歌い出す この予感にドキドキする』って歌うんですけど、当時の私は将来の自分がこんな風に歌うなんて思ってもいなくて。ただただ歌うことが楽しくて歌ってたはずだけど、今の自分が当時の自分を見て『これからこの子は音楽をやっていくんだな』ってドキドキするみたいなことも、一つの招待状だと思ったんです。今の自分がここにいるのは、当時の自分からもらえた招待状なんだなっていうのが、題名への想いですね」

「この曲自体のテンポ感がポップな感じで、重くないし弾んだリズムになってるのも、懐かしさがある中に当時の自分の好奇心だったり天真爛漫な姿に重ねることができて、いい意味で幼い自分も表せられているような気がするんです。子供の頃にしか出せないステップってあるじゃないですか。足取りの軽さとか、そういうものがめちゃくちゃ含まれてる気がして、すごく幸せな気持ちになりました」

★青木慶則とのコラボレートについて。

「今までとは楽曲との向き合い方や作り方が全然違ったんです。今までは全部が自己流でやってきたもので、誰かと一緒に何かを作ったりとか、そういう経験がほとんどなかったんですね。青木さんは知識だったり技術だったり、とても素敵な感性をお持ちの方だったので、私に本当にないものをたくさん持ってらっしゃって。その都度その都度。提案をいただく度にすごく刺激になりましたし、新しいことをたくさん吸収できて、こういうふうにメロディーに移ってもいいんだとか。ここでこのコード進行が来るんだとか。そういう学びもたくさん得られて、今後の自分の活動に活かせるような、そんな時間になりました。私自身すっごい温かい音楽が好きで、青木さんのユニットであるHARCOの作る楽曲ってすっごい温かい優しく包んでくださるようなものが多くて。特に“世界で一番頑張ってる君に”って曲が一番好きで、学生の頃からずっとずっと聴いてきた曲なんです。青木さんの楽曲って、これは私が音楽をやり始めてから感じたことなんですけど、いい意味で普遍的じゃないというか、ジャスっぽさもあったり、ここでこういうコードの行き方をするんだとか、改めて青木さんのメロディーの遊び心とか曲の世界観にすごく惹かれていくものがあって。日常の一つの出来事から10も100も広がる楽曲があるというか、そこが自分になかった部分だったので魅力的だなって思っています」

★今後の自分への希望、そして可能性。

「初めての取り組みだったり、今までに作ったことのない作り方でソングライティングしたり歌っていく中で、すごく苦戦することがあって。これは自分にとっての成長でもあったと思うんですけど、今までにない作り方をしたからこそ、過去の作品に物足りなさを感じたこともあったんです。勿論、過去の作品は過去の作品ですごく自分らしさがが出てたとは思うんですけど、そこに物足りなさを感じられてるってことは自分のものの見方が変わったり成長できてる証なのかなとも思っていて。自分の特に一番欠けていたものが情景文写というか、曲の中で抽象的な表現が多くて結局何を伝えたいのかわからないことが多かったんです。多分私は今まで万人受けを狙ったり、抽象的なものを歌うことで聞く人の層を広げられると思っていたんですけど、むしろ聴き手を限定することで、自分と同じ立場の人が聴いてくれるのが一つの繋がりになるんだなって感じて。限定した思いの曲を作ったり具体的な情景を歌うからこそ、むしろ聴く人が増えるんだなっていうのを、ここ数ヶ月学ばせていただいたんです。もっともっと自分が伝えたいことを表向きに感情むき出しに歌ってもいいんだって今回すごく思えたのが本当によかったんです。私は今、新しい挑戦を迎えたなって思っているんですけど、今までの自分を丸々変えるんじゃなくて今までの自分の良さをより引き立たせるためことに繋げられたらなって思えるようになって。変わるんじゃなく、過去の自分から今の自分、そしてこれからの自分へと繋げられる表現を生み出せ始めたのかなって感じます。ほんの少しだけ、私は私を肯定し始めているのかなって思います」

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