「平和なくして平等なく、平等なくして平和なし」——市川房枝 の提唱を想う


赤松良子(クオータ制を推進する会(Qの会)代表) 

4月10日です。

これは、日本の女性が、初めて選挙権を行使して、39人の女性代議士を誕生させた記念すべき日です。1946年のことですから、その日投票に行った人はもう90台半ば、すっかり少数派です。でも若い人々も考えましょう。参政権というものが何故大切なのか。

もし、これがなかったら、男女雇用機会均等法もできなかったでしょう。政治の場における候補者均等法だって勿論です。女性がいくら差別されていると腹をたてても、文句を言う手段がないのです。ブーブー言ってみても犬の遠ボエでしかありません。

でも参政権があれば、自分が国会議員になって、あるいは、自分の考えを代弁してくれる人(多くは女性)を国会や地方議会に送って、自分の意見を反映させることができるのです。

「あると無いとでは大違い!」という言葉がありますが、参政権ほどそれにピッタリなものは、とても見つかりません。そして「パリテ」というのは50:50という意味ですが、これは、政策決定の場で、男女半々というイミです。女性の政治参画を推進するための言葉であり、これは参政権あってこそ、そしてそれを有効に行使してこそ実現できるものです。

この女性参政権を日本で実現するのに非常に大きな貢献をした人といえば、市川房枝さん。長かった人生の前半は参政権獲得のために、そして後半は自ら国会議員になって活躍されましたが、晩年、男女平等を実現するためには戦争をしてはいけないという根本的なことに気がつき、「平和なくして平等なく、平等なくして平和なし」という、明快にして切実なスローガンを提唱して全国を回られました。まさに「平和とパリテ」です。

私は大学を卒業し(1953年)、初めて就いた仕事が労働省婦人少年局での「婦人の地位向上」のキャンペーン。4月10日からの一週間を「婦人週間」として、全国から女性を集めて大会議を開き、日本では、いかに、女性が抑圧されてきたか、それを改善するには何が必要かを、朝から晩まで、議論をしました。女性の権利をうたうスローガンを考え、ポスターを作るのが仕事でした。長い職業生活の第一歩が4月10日からの婦人週間キャンペーンだったことに、言いしれぬ深い縁(えにし)を感じています。


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