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親愛なる姉妹たちへ

脚本家・女優 トリニダード TRINIDAD


美しく、華麗で、威厳があり、立ち向かっている、海の向こう側の、親愛なる姉妹たち。あなたの国に期待されている変化に貢献をするために、このメッセージで参加をさせてください。

男女平等パリテへ向かって進む先には、女性の権利が認められ尊重される国が待っています。みなさんの戦いを見ていると、鏡のように私たちの戦いを思い出し、その成果を実感します。それがたとえ私たちにとって後退の恐れがあり、常に壊れやすいものであったとしても。

前回の来日の際に、「女性は政治とつながりがなく、政府にもいない。どうしたら物事を動かせるのか?」という言葉を聞きました。それはフランスの歴史と重なります。

ここフランスでは、パリテ法(男女平等法)は2000年6月6日、約20年前に可決されました。 それでも、現在においても、重要な地位はいつも男性によって占められているので、私は女性によって統治されるという印象はありません。これまでのところ、共和国の女性大統領はまだいません。 女性首相エディット・クレソンが1人、1991年にフランソワ・ミッテラン政権時代にいましたが、11か月後に辞任し、彼女が受けた性差別的批判を除いて、私は彼女の任期中のことを思い出せません。明らかに、国の大多数はそのような地位に、女性を迎える準備ができていませんでした。

初めて政府の若返りを望み、女性を多く登用したのは1974年のヴァレリー・ジスカール・デスタンで、その後私たちの人生を変えた、中絶の権利の法律を議会にかけるという重荷を背負ったシモーヌ・ヴェイユを保健省大臣に任命しました。侮辱と議員ヤジ攻撃の洪水の前のシモーヌ・ヴェイユに、ジスカール・デスタンはジャック・シラクを説得し、討論で彼女を応援するよう支援しました。そして法律の裁決を果たしたのです。

1995年ジャック・シラクは共和国大統領に選出され、アラン・ジュペを首相を任命し、12人の女性大臣で最初の政府を結成しました。6か月後の再編成後は4人を残しただけでしたが・・

人数としては同数、パリテ、政府に女性がいることは真実なのですが、いつも2番目の地位、局長が多く、大きな省には任命されていません。
マクロン政府は「女性の権利」省を部局に格下げました。

反対に自治体などの地方では、男女平等パリテによって、女性の参加が増え、公共生活に積極的に改善が進んでいるようです。実際に市長に女性が多く、本当の意味でのパリテでが進んでいます。

一部の女性の政治的な試みを制限しているように見えるのは、男性の行動です。一部の女性国会議員は、スカートをはいた時に男性国会議員からの不適切な発言や口笛のヤジを受けたことを訴えました。

2015年にヨーロッパ・エコロジー=緑の党の副書記を務めたサンドリーヌ・ルソー(2016年から2017年まで)は2011年に彼女が国会副議長のドニ・ボパンに性的暴行受けたことを書いた『Parler』を出版しました。他にも数人の女性がセクハラや性的暴行を受けていたと告発しました。それでも2017年3月にその後不起訴相当となりました。

私の個人的な意見としては、平等は重要ですが、政治の場において、女性はしばしば男性のように行動する以外に他に選択肢がないので、男女平等がすべてを解決するわけではないということです。数では男女平等になってるけど、女性はマイナーなところにしか登用されないし、数だけでは平等になれません。私は2019年、2020年に演劇文化交流プロジェクトのために来日し、多くの女性と出会い、インタビューを行った際に、権力闘争に巻き込まれたり、マイナーな地位に就くのであれば、私たちの日々の生活の状況を変えるために女性の政治参加は必要なのかと自問することもありましたが、シモーヌ・ヴェイユ、クリスチャーヌ・トビラ、週35時間労働制を規定したマルティーヌ・オブリーなど、際立つ女性の存在が、政治に男女平等が必須だと思われることに疑問を投げかけません。同時に、私たち女性の特徴や、世界観などの別の方法で、日々の生活をより良くでいないものでしょうか。フランスにおいて、避妊のための戦いは男性のリュシアン・ヌーヴィルトが主導しました。相互同意の離婚と親権の法律については、ジスカールの下で男性によって投票され可決されました。

哲学者エリザベート・バダンテールが、Me Too問題の後で、それはジェンダーの問題ではなく権力の問題だと言った意見に同意しています。権力を持つ女性が政権を握ると、男性と同じくらい危険または有害な場合があります。たとえば、アルゼンチンで、女性議員が中絶の法案に反対したことで否決したことや、鉄の女と比喩されるマーガレット・サッチャーを通して私たちは知っています。権力の背後には、恐怖や迷いを隠すための支配欲が隠されています...日本の女性たちに会って、あなたの話を聞いて、歴史の少しを垣間見たことによって私が理解したことは、男は支配をすることで自分の弱点を隠すことだけを求めているということです。
私たち女性はその男性の優位性を見るのではなく、女性が持つ強さや特徴を再発見する必要があるのではないでしょうか。

いつの時代でも、様々な体制下でも、フランスにおいては、パリテ法律が可決される前にも、女性は男性に国を左右する影響を与えてきました。「政治につながりがない女性が、ではどうして物事を変えることができるか?」女性をサポートし、物事を変えられる「力」がある男性と共に変えていくことです。 すべての男性が権力を求めていません。私たち女性は、お互いに支え合える素晴らしい能力を持っています。

長年にわたり、フランス政府がこの男女平等問題に関心を持つようになる前に、虐待を受けた女性を支援するために多くの団体が設立されてきました。私たちは暴力的な男性を監視するための体制を築き始めたばかりです。
女性には、逆境や男性の狂気に直面しても、絆を持ち、共に前進し、団結するこの能力があります。

私の場合、多くの女性と同様にフェミニストとしての取り組みは、まず第一に、私が育った家庭環境にあります。 私の両親でよりフェミニストだったのは父でした。そして、自分の声を広め、変化を起こそうとするために政治に乗り込むことができたでしょうが、私に自分を課したのは舞台と芸術でした。 私は戦うというよりも、伝承したいと思いました。 その意味で、アートは素晴らしい空間的要素だと私には思えます。おだやかにメッセージを送ることができるからです。

物事を言葉とユーモアで翻訳することにより、別の視点から考え、見ることを可能にしてくれます。私は30年間、演劇の脚本を書き表現してきて、男性と女性はまず自分自身を良く知った上で、お互いをよりよく知り、そして共に歩む道をつくることがどれほど重要であるかを示してきました。私がこの道を選んだのは、政治的スピーチではなく、力強い女性や女性に近い男性が登場する小説、映画、個々の物語の影響です。

アートは法律を変えるよりも時間がかかると思いますが、表現する私たちの深い誠実な表現方法により無意識を意識に変える力があると思います。

トリニダード– 2020年4月4日 (翻訳 リボアルなみの 協力 アリーン・コザ)


参考
経済、教育、保健、政治の4分野14項目における男女格差の状況を指数化し、国別に順位をつける「ジェンダー・ギャップ指数」。2006年日本は79位フランスは70位でした。そして2020年版では日本は過去最低の121位。フランスは15位です。





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