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アートにパリテは必要か?

演劇製作者・パリテ・キャンペーン実行委員 リボアルなみの


 フランス人脚本家トリニダードと女性をテーマにした演劇を製作しています。アートというと、絵画、文学、音楽いろいろとありますが、ここでは私がなぜ演劇製作に関わるようになったのかの経緯から紹介させてください。

 2017年フランス・パリに滞在していた時に、1950年代から2010年代にフランス社会での女性に関する新しい法律ができることで、女性の意識がどのように変化をするかを表現した演劇「シモーヌ・Et pendant ce temps, Simone veille !」を観劇しました。日本、ノルウェーで女性学、男女平等を学んで、フランスで演劇を観て気がついたことは、日本、ノルウェー、フランスと、男女平等社会に向けて、同じような流れがあり、女性たちの戦いがあり、共通の問題があることに気がつきました。劇中では1950年代、公園で5人目を妊娠させられたと嘆くマルセルに人工妊娠中絶を助言するフランス。青ざめ衝撃を受けるジョバンナ。「公園で中絶について話したら死刑になりますよ」と叫ぶシモーヌ。1970年代には仕事を得て看護師となった ジョバニーナがピルを配り、皆で自由を喜び...と続きます。そしてフェミニストの演劇でありながら、男性たちも大笑いしている姿に、感動を覚えました。
 観劇の最後にトリニダードと話す機会があり、日本で男女平等のための活動をしていることを伝えたところ「一緒に前へ進みましょう」と心強いメッセージをもらいました。
 日本の女性の歴史をテーマにした、男性も大笑いする劇を日本でも観てみたいと思っていたところ、日仏共同プロジェクトの募集をみて、トリニダードを誘ったところ、快い回答をもらい、私たちのプロジェクト「日本・フランス演劇文化交流プロジェクト」は始まりました。

 ちょうど同じ頃、ハリウッドの女性たちの上げた声をきっかけに#Metoo を知りました。長年記憶の奥底にしまいこんですっかり忘れていた私の経験したMetoo。私も話したら、涙が流れました。私にとって、Metoo 前と後の世界は、全く異なる世界です。Metoo について話す世界の女性たちの話を聞いて驚いたことは、露出して、いつも楽しそうに見えるハリウッドの女性たちも本当は嫌なことを、嫌だと言えずにいたんだということでした。そして個人的には過去のいくつもの事柄を「わたしは、悪くなかったんだ」と思うことができました。Metoo がフラワーデモが存在する今の世界は、声を上げることで、問題を可視化して、団結できて、対抗できるところがいいと思っています。

 20年ほど前にパリのグラン・パレで長い列に並び、偶然開催されていたゴーギャン展を見た時に、半裸の女性たちが笑いかける大きな絵画に囲まれて居心地の悪い思いがして、世界で評価されている作品に価値を見出せない自分を残念に思った記憶があります。けれど私も学び、その評価基準が、男性視点であったことに気が付きました。ゴーギャンは複数の少女たちと性的関係を持っていたことなどが問題視されて今後はフランスで展示がなくなるかもしれません。

トリニダードの演劇中のセリフに「すべての母は娘を売女とおもう瞬間がある!」というセリフがあります。一番最初にひどいと思いましたが、今は納得しています。真冬に水着で笑いかける、時に若すぎる雑誌の表紙の女性は、コンビニで支払う時にも、電車に乗る時にも、見たくなくても目に付きます。これは私の内面化された女性像でした。けれど最近ではトリニダードや「男も女もフェミニストじゃなきゃね」チママンダさんアメリカの国会議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスさんのファンになり、真っ赤な口紅が「素敵だな」と思う。私の女性像は変化しています。

アートに男女平等パリテは必要です!
男女不平等作品が溢れる社会から自分を守る必要があります。ジェンダーの専門家がいます。是非小学校からの男女平等教育を初めてほしいです。

最後に

 今まで見られる側にいた私は、演劇製作で表現する側へ渡り、新しい視点を創りだしたいと思っています。この社会には男性視点で作られた男性が見る側、女性が見られる側の不平等社会を反映する作品で溢れています。女性作家が一人でも増えてほしい、その願いから、私はトリニダードの強い協力を得て、日本の私たち女性が、どのように今の権利を手にしたのかというストーリーの演劇を製作します。先人の多くの女性たちのおかげで、今の私たちの生活があります。けれど、まだまだ男女平等社会のためにすることがあります。

最後に最近観た映画「ニーナ・シモン 魂の歌」のことばを紹介させてください。「こんな大変な時代に他人事でいられない。そのことを知っている若者は政治に参加してる。私たちが作りかえなければ、この国は崩壊する。アーティストが時代を反映するのは当然よ。」

世界での女性とつながろう!おすすめ。
-明日少女隊 様々な性別の 第4世代若手フェミニスト 社会派アートグループ
-Wiki+art Wikipediaの女性編集者はわずか10%以下。自分が女性だったり、女性のアーティストについて書いてみたい人々を募集しています。
-21days challenge フランス人フェミニストのオレリーと真の「力」について、21日間、毎日10 分の無料動画と簡単なチャレンジ課題で学びます。
-日仏女性の劇文化交流 1950-2010年フランス人女性の人権獲得の歴史を描いた演劇「シモーヌ」の日本版を、2021年上演予定。 
リボアルなみの
日本で「女性学」、ノルウェーで「北欧における男女平等」を学ぶ

「日本とフランス演劇文化交流による女性の人権架け橋プロジェクト」主催
演劇「あなたが貴方を再び愛するために」翻訳者
You Tube講座「21日間パワーアップチャレンジ  」翻訳者
「国際女性の地位協会」・「実現アクション・「クオーター制を推進する会」会員
「パリテカフェ」京都オーナー
パリテ・キャンペーン実行委員




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