#労働とパリテ

瀬山紀子

パリテ議会であれば、違ったのではないか。一体、どういう考えに基づく提案と議論があって、こんなおかしな法制度ができてしまったのだろうという問題にぶつかるたびに、そう思う。法制度が議論され、決定されていく場が、パリテが達成された場であれば、このように、理不尽で、女性に大きなしわ寄せがくる法制度はできていなかったのではないか、と。
私は、ここ数年、非正規公務員の課題や民間委託化について考え、仲間と共に学習会や集会を開いてきた。公務職場の中には、安定して働く正規職員以外に、不安定で低い待遇で働く非正規職員が大勢いる。いまや、地方自治体で働く公務員の約 3 割が、非正規だ。その割合は町村、市区などの基礎自治体ほど高い。そして、その非正規公務員の約 8 割は女性だ。女性であれば不安定で、低賃金でもよいだろうという前提がそこにはある。
非正規公務員のなかには、DV 被害者支援や児童福祉の現場で働く相談員や支援員、また、消費生活相談員、保育士、図書館司書、公民館職員などの専門職も含まれている。こうした、住民の暮らしに直に関わる大切な仕事が、女性非正規公務員によって担われてきた。
2020 年度、地方自治体の現場では、改定された地方公務員法に基づき、新たに、会計年度任用職員制度が導入された。担う業務は 1 年で終わる仕事ではないにも関わらず、年度をまたいで仕事を続けられる保証がない働き方が制度化されてしまった。
国のマニュアルによれば、会計年度任用職員は、例え、1 年を超えて働いた場合でも、あくまでも、同じ職の任期が延長されたのではなく、新たな職に改めて任用された人として整理されるべきだと書かれている。現場の実態に合わない、とてもおかしな理屈だ。
公務職場では、長く働く非正規職員が、数年で異動する正規職員と共に、事業の根幹を担っている。そうした人たちの働きがなければ、公務職場は回らなくなっている。いま必要なのは、こうした、非正規職員の働きを認め、真っ当な職に位置付ける道筋を考えることだ。働き手の安定は、私たちの暮らしの安定に直接つながってくる。
法律や制度を議論し、決めていく場が、“パリテ”になる必要がある。加えて、ジェンダー不平等の課題にセンシティブな場になる必要がある。そして、女性が性別に関わらず、当たり前に、ひとり分の人生を自分で決めていける未来をつくる必要がある。
先ごろ開いた緊急集会「官製ワーキングプアの女性たち コロナ後のリアル」を土台に、緩 や か な つ な が り と 声 を 広 げ て い こ う と 、 新 た な プ ラ ッ ト フ ォ ー ム(http://www.nrwwu.com)を作った。またここから一歩、歩を進めていきたい。

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