アートとパリテ

鯨エマ(俳優)

みなさん、こんにちは。俳優の鯨エマです。 私が主宰する60歳以上限定のシニア劇団かんじゅく座では、今年の6月に「パリテ!」という芝居をします。これは、全国から集まる高齢者劇団の演劇祭「全国シニア演劇大会inTokyo」で上演するものです。この大会のテーマが「若いあなたに伝えたい!」に決まったので、みんなでどんなお芝居にしようかと話し合って、政治に興味を持ってほしい、選挙に行ってほしいという願いを込めた演劇をつくろうということになったのです。

 主人公の響子は、育休明けて職場に戻った途端、働きにくい雰囲気を感じ、ワンオペ状態の育児にも限界を感じて離婚、退職します。これはまさに、私自身が育児の中で感じたことでもあります。(離婚はしていませんが) 政治色のある演劇なんてタブーだという人もいますが、演劇には政治運動と違って、人の心に寄り添いながら社会を再現できるという面白さがあります。

「選挙をどうやってドラマにしようか」役者たちは当選経験のある女性と、落選経験のある女性から体験談を聞き、自分の役を、生い立ちから創作して演じています。 今でこそ、コロナのせいで、演劇を家で鑑賞することも可能になりましたが、本来演劇というものは、劇場で、価値観の違う人たちが肩を並べてひとつの演目を見るというスタイルが一般的です。観客は、ただ演目を見るだけでなく、同じ演目から、一人一人異なる感想を共有することもできるのです。

そして、実は演じ手も同じように、舞台の上で価値観の違うもの同士が対話しています。孤立しがちな現代社会の生活に中で、演劇が、コミュニケーションのきっかけになれるようにと、願いを決めて稽古に励んでいます。 かんじゅく座は出前公演もしています。よかったら、あなたの街にも公演に行きますよ!

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