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風81話・みかこちゃん(03)・SM嬢に恋しちゃった

 他の彼氏ができたようで縁遠くなっていた、みかこちゃんと、2017年5月8日、ひさしぶりにラブホへ行く流れとなった。以前にも記したように、SM嬢みかこちゃんは、風俗嬢ではないので、ラブホ内でのことの詳述は、この連載では避けときます。
 みかこちゃんは、4年以上交際していた彼氏と別れ、今は他の男性からアタックされていて、その彼と、彼氏彼女の状態になりつつあるが、まだ確定して交際開始になっているわけではない、つまり今のボクとの状態は、裏切り行為ではない。
 とはいえ、みかこちゃんとしては、後ろめたさはあるようで、ボクの風俗通いにはなにも突っ込んではこない。ボクとみかこちゃんの関係は、この「お互いに相手の暗部を黙認する」距離感がいい。
 しかし次の、5月25日のラブホで問題は起こってしまった。ラブホに入ってからしばらくして、いつものごとくボクは「おんぶして・・」と彼女の背中から迫ると、
「今日はおんぶはしない」と断られてしまった。まあ、その日の体調もあれば気持ち的のこともあるので、仕方ないと諦めることにしたのだが、ボクとしては「おんぶしてほしいのにしてもらえないでワガママ言う男の子」という妄想ストーリーを組み立ててからベッドインしたかった。
 というわけで、ワガママ男のこのセリフとしてボクは「えーっ、おんぶしてくれないなんて、ひどいよー」と言う。すると、みかこちゃんは、怒り全開モードになってしまい、冷ややかなトーンで「わたし帰る」と言うと、自分の荷物をまとめてラブホから出ていってしまった。ボクは、ラブホから女に逃げられて1人で一泊する寂しい男ってのを初体験することに。
 後日、電話で和解して、ボクは5月29日に、みかこちゃんの家に会いにいった。みかこちゃんは「あのときなぜあんなに怒りと悲しみの感情が湧いたのかわからない。だけど・・」と言いながらも、おクチで、あんなことやそんなことをしてくれた、その光景には「お別れの○○」的な・・・なんとも芸術作品のような妖麗さ。別れると決めた男に最後にしてあげる・・という女性の心ってどういうものなのだろ、などと想像しながら「ありがとう・・」。ボクは泊まらずに帰ることにし、みかこちゃんもそうしてほしそうな表情で見送ってくれた。

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