Nagoya Juggling Carnivalに出た話

※はじめに
・動画はありません。公開予定もありません。

----

「一旦、1年半寝かせておきました。なんとなく幸せになりたかったあの頃を思い出しながら頑張ります。」

MCの困惑した様子、会場のなんとも言えない反応。
まあ落ち着いてくれ。別に病んでたわけでは…………やっぱり病んでいたのかも。
何にせよそれなりに訳があるんだ。昔話になるが少し聞いてくれ。

----

2年くらい前のお話。色々な事が立て込んでいて生きるのに必死だった頃。
ちょうどこの曲がリリースされた。発売日に買って毎日のように聴いた。それこそ、カセットテープが擦り切れるまで聴いた。日々の暮らしの中で辛い事が沢山あっても、この人のおかげで何とか生き延びる事が出来た。大袈裟ではなく、心の支えだった。救いだった。

それから何ヶ月か経った頃。人生を賭けて挑んだ色々が終わった頃。大好きなこの人の事すらも頭から抜け落ちていた頃。
その頃の僕は本当に荒れていた。自暴自棄になっていた。絶望して前を向けなかった。何も出来なかった。毎晩毎晩、酒に溺れていた。自殺未遂もあった。とにかく生きるのが辛かった。希望なんて無かった。人生を終わらせたかった。

そんなこんなで荒れに荒れていた時、ふとこの曲の事を思い出した。時を同じくして、この曲についてのインタビューを見つけて読んだ。
これが大きな転機だった。荒れていた僕に物凄く刺さった。
それから「なんとなく幸せになりたい。」という気持ちをそのままこの曲にぶつけた。当時何を考えていたかなんて全く覚えていない。もしかすると何も考えていなかったのかもしれない。とにかく必死だった。

そうして1年半前、荒削りながらも出来たものを提げて遥か遠くの地へ向かった。
何かと評判は良かったが、半ば黒歴史だと感じてしまい、終わってからしばらくして、自分の中にカギかけて仕舞う事にした。

----

2019年 夏

新しい環境、研究の事、自分のダメ人間さ。やはり色々重なって疲れ切っていた。
見切り発車でエントリーしたじゃぐろり発表会とaffareの2つのステージ。出すものなど何も無い。だけど新しいものを作る元気なんてなかった。

そんな中ふと蘇る1年半前の記憶。
最初は興味本位だった。怖いもの見たさだった。

「今、この曲でやるとどうなるんだろう?」

そうして僕は黒歴史を掘り返した。

----

いざ手をつけてみると、1年半前の原型なんて無いくらいに変わった。新しく曲を探して作るのと労力は変わらなかったと思う。

1年半で技から構成から色々変わる中、当時から変わらない事といえば「『なんとなく幸せになりたい』という気持ち」だけ。これだけは一切ブレなかった。なぜかはわからないけど。だけど、これが僕にとって大切な事だったのは間違いない。

結局、今回もただただ必死だったんだろう。ある程度の目標を立てた以外は、例によって何も覚えていない。行き着く先が違うだけで、根本的にやっている事は1年半前と同じだった。

そうして9月、完成したものを提げて2つのステージに出演した。これを基に、少し変えて学祭にも出演する事にした。
そしてNagoya Juggling Carnivalの話が舞い込んできた。動機なんて覚えていない。気がついたらエントリーしていた。

それから当日までは死にたさがマシマシになった以外、大きな変化もなく過ごしていた。「なんとなく幸せになりたい、幸せって何なのか知らんけど」とぼんやり考えていた。

当日は絶好調だった。それこそ、過去一番の出来だった。
終わってから色々な感想を貰った。中には泣きながら伝えにきてくれた人もいた。「そんなにかよ」と思っていたが、素直に嬉しかった。

----

終わってから1週間。
結局、幸せの形はわからないままだ。当日は過去一番のものが出来た。だけど「それか?」と言われるとなんか違う。
打ち上げや、後日別の場所で聞かれることもあったが、答えは出せなかった。
1年半前は「全てから解放された」というのが答えだった気がするが、今回はどうやら違うらしい。

答えが出ないまま年末だ。モヤモヤではないが、似たような何かを抱え、ぼんやりぼんやり、なんとなく考えながら年を越すのだろう。

----

まあ、でも、答え出なくてもいいんじゃないかな?

「『なんとなく』幸せになりたい」なんだし。


おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?