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永遠のハクナマタタ

子供の頃、ディズニーアニメ「ライオンキング」の“ハクナマタタ”という曲中で、シンバが恐る恐る幼虫を食べて「喉越し、爽やかだね!」という箇所が大好きで何回も見ていた。

それと同じように俺は「紋舞らん」の“完全攻略紋舞らん”を何回も見ている。

俺は多分「ライオンキングのハクナマタタ良いよね!」くらいの感覚で、色んな人に「紋舞らん良いよね!」と20年くらい言い続けてきていた。

昨日、新潟が誇る唯一無二の存在、ザ・クラミジアアフターケアというバンドのボーカルギター「先輩」さんと初めて長く話す機会があって、当たり前のように俺は「紋舞らん好きなんですよ」と言った。

自分にとっては「宜しくお願いします」の挨拶というか“名刺”みたいな、いつも通りの流れだったんだけど、先輩に「普通は言わないよ!」と言われた。

え?そうなの?そんなことないだろと思ったんだけど、続けて先輩は
「俺は全然大丈夫だよ!でもそれでPARさんが今まで損してないなら良いけど、不快に感じる人もいるからなー!損してないなら良いけど!」と。

少し人生を振り返ってみた。
紋舞らん
よく考えてみたらめちゃくちゃにAV女優だ。
ずっと「ハクナマタタ」「ミスチル」「ドリカム」くらいの感覚で言い放っていたけど、AV界のゴリゴリのスーパースター、天使。

ところ構わず「紋舞らん」を放っていたが、発射後は会話が野郎とのマンツーマンになっていた…なんてことが多かった気がする。

その時はどうしても「紋舞らん」話に集中してしまうので、周りの反応を全く見ていない。
損していたのか?多分していたのかもしれない。
急に不安になってきた。

最近は「モン、ブランてなんですか?」と聞かれることもあったな、そうだ。
その時、俺は元気よく「AV女優だよ!」と答えていた。
今書いていても思う、とてもよくない。

俺はいつも自分の楽しかったことを何でも共有したがる癖があって、妻にもニューハーフバーでアフターまでいった話をしてガチギレされ、2ヶ月ほど口を聞いてもらえなかった。

その時妻に
「お前は楽しかったのかもしれないが、私がそれを聞いて楽しいと思うか?お前が楽しいと思ったことを全ての人が楽しめると思うな。場と相手を考えて発言をしろ、クソが」
と言われたのをフッと思い出した。

そうだったのか、そうか。

俺はこの一件があったにも関わらず、「紋舞らん」を“AV女優”ではなく“ハクナマタタ”と認識していた為、今まで沢山の人を不快にさせてしまったのかもしれない。

これはAV女優だから不快になるというわけじゃなくて、場と相手を見ないでそういった話題を出したら良くないだろということ。
それに気付けていなかった。

俺は、今、この場で、また“ハクナマタタ”をしてしまっている。
場は大丈夫なのか…恐る恐る顔を上げて周りを見ようとしたその時、先輩が

「まあ、その、俺はシュチュエーション系が…」という話を振ってきた。
何かのスイッチが入り周りそっちのけで盛り上がってしまい、その会の8割は2人でAVの話、そして気がつけば獣姦ものにまで話が及んでしまった。

最悪だ。

「紋舞らん」を放ち続けて20年。
あまりにも長い。
俺は多分沢山の場を壊してきたんだろう。
沢山の人に「なんだあいつ」「常識ねぇな」と思われてきたのだろう。

申し訳ない。
今後はとてもとても気を付けていきたいと思った。

ただ、
俺の中で「紋舞らん」は永遠に「ハクナマタタ」であり、喉越しは、爽やかなんだ。

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