【ブライトンビーチ回顧録】感想~ユージンこそ希望~
佐藤勝利くん主演舞台ブライトンビーチ回顧録をみてきたので感想ブログをかきます
『わたし、よく若くみえるって言われるんです~』
と言っている女たちが、床下コンクリートをぶち抜いて灰塵に帰す機会があるとするならば、それはいましかないのではないか
と思った。
それくらい、10歳も若い年齢を演じているのにもかかわらず、佐藤勝利くんは圧巻の14歳だった。
14歳にしか見えなかったといっていい。
若くみえるなんて程度ではない。若い。若い少年特有の特徴が彼にはある。
ちょっと若くみられるなどというアイデンティティーが恥ずかしくなるくらいに14歳である。(※特定の団体や個人への誹謗中傷ではありません)
縦に伸びていない顔
華奢な腰
無駄な肉のついていないのに、筋肉もりもりではない体…
しかしよくいるガリガリな成人男性ではなく、成長期の少年の体…
って、あたしゃヘンゼルとグレーテルの魔女か?
ユージン(佐藤勝利)がもし私がバイトするコンビニエンスストアでお酒を買ったとしたら
私は年齢確認を怠らないし、会話をするために無限にナナチキをおすすめし続ける自信がある。
わたしなら彼にiPhoneは持たせない。
キッズケータイ一択である。
それくらい、彼は14歳そのものだった。
【ストーリー】
めちゃくちゃ簡単にストーリーを説明する
本作はユダヤ系のお家に生まれた14歳ユージンという男の子の回顧録という体描かれた舞台であり、
とある一家がめちゃくちゃもめながらも『ん~⁉️やっぱ家族最高じゃん』となる話である。
ユージンの家は四人家族(父、母、兄、ユージン)だが、同じ家には、旦那を病気で亡くし未亡人となった母の妹(叔母)が、娘二人をつれて同居している。
つまり、計7人が暮らす大きな家だ。
叔母は目が悪く、家族で生きていくのに十分な収入を得る仕事につくことが難しい。
そのため、家事のほとんどはユージンの母がやっている。
そして、叔母の上の娘そこその美人で、高校生だがめちゃくちゃ高い月謝のダンスに通っている。
彼女はある日プロデューサーに声をかけられて、ブロードウェイのオーディションを受けたいと考えている。
一方、下の娘は心臓病とかで、1日本ばかり読んでいる。(しかも、母親からそういわれただけで、特に本人が直接診断を下されているわけではないらしい。)
病気のせいでお手伝いはほとんどできないため、いつもお使いにだされるのはユージンである。
ユージンの父(神保悟志)は、そんなたくさんの家族をたべさせるために無理をして働き、ユージンの兄も、大学には行かず、高卒で就職し懸命に働いている。
主人公であるユージンは14歳ということで、家庭のごたごたやお金のことを、まだよくわかっていない。
ニューヨークヤンキースと小説に夢中で、女の子のおっぱいのことや、自分の回顧録をノートに残すことに一生懸命なのだ。
登場人物の抱える問題は、時期に絡まりあって、この平和な一家に大きな台風をもたらす。
ダンサーになるオーディションを受けたい高校生の川島海荷(姉)。
会社をクビになりかけたり、ポーカーで給与を全額失う入野自由(兄)
隣の男と恋人になりかけるも、その男が警察に捕まる須藤理彩(叔母)
自称心臓病の妹(岩田怜華)
そしてついにたおれる神保。
不安のあまりついに叔母にぶちギレる松下由樹(母)…
ブライトンビーチ回顧録は、そんな問題が、次々に起こる物語なのである。
【言いたいことをいわせてくれ】
まずもって、本作はすごく素敵な舞台だったということを言わせてもらう。
舞台セットが、シルバニアファミリー赤い屋根のおおきなお家のように、家をパカッと開けたようなセットだったため、舞台転換は一切なく、観客はいろんな部屋を一気にみることができる仕様になっていた。
そのため、各家族の動きや別の部屋での出来事への転換などがスムーズにおこなわれて、観客は気持ちが切れることなく舞台を鑑賞でき、感情移入がしやすかった。
メインのやりとりの別の部屋でも、登場人物が日常を過ごしているので、きっと何回みても視点を変えれば新鮮で、すごく面白いんだろうなとおもったのである。
お芝居もみんなすごくうまくて、感情移入がしやすかった。
しかし言いたいことは無限にある。
まずこの物語の中でまともなのは最初に言っておくがユージンと神保だけである。
それ以外はわりとやばい。みんなやばい。
①まじで叔母と姉妹
まじで叔母と姉妹がすごい。
まずこの環境で姉のダンスに高い月謝払ってるのが謎なのである。
母親の働いているお金の多くは、この謎のダンススクールに消えている。
まじで家族のために入野自由は大学に行かず高卒で働いてるのに、居候の川島海荷はダンススクールなんか通っているのだ?どういう優先順位?
そしてみんな神保に感謝しろ。神保倒れてるんだぞ?
しかも、海荷が高校をやめてブロードウェイのオーディションに参加したいといいだすときのことである。
『高校は出た方がいい』と海荷は神保に反対されたんだけど、
『ママが決めて。ママが言った通りにするから!』
と海荷はダダをこねるのである。
しかし結局ママにも反対される海荷。
そしてなぜか海荷は、はめちゃくちゃ夜出歩くようになるのである
そんな風になるなら、最初からママに任せるなよ…
他人に生殺与奪の権利を奪わせるな‼️‼️
とわたしの中の冨岡義勇が怒りを露にした。
ていうか、そもそも人んちに住んどいて夜中にふらふら出歩く姉やばい。もうどうかしてる。
『鍵はあります…』
とかいって制止をふりきって出てくんだけど
『ありますので』じゃね~よ人ん家だぞ
というかんじである。
妹も心臓を理由になにも家のことを手伝わないし…
唯一神保さんだけがこの妹にすこしだけきびしくて、
『すこし働かせたほうがいい。こういうのは動いた方がいいんだ』といってお手伝いさせるが、この娘、当て付けのように『あ~ぁ、心臓がばくばくしたわ』とかいう。
うるせぇ、神保に謝れ!
もうよくわからないけど神保がかわいそうでかわいそうでみてられなかった。
【ユージンの兄】
ユージンの兄はめちゃくちゃいいやつなのだが、基本めちゃくちゃバカである
差別される黒人を庇い会社をクビになりかけるまではかっこよかったが、その後すこしでも給与を増やそうとして給与を全額ポーカーにかけてすってしまう。
典型的なヤバいやつである
しかも、給与をすったあと、父や母に言い出せない彼は『軍人になるために入隊してくる。そして実家に金を入れる』とユージンに告げ家を出ていくのだが、
その際ユージンの貯めていたおこづかいを巻き上げる。
そして翌日だか(翌々日?)だかに『家族を思って入隊手続きの名前をかけなかった…』とすんなり帰ってくるのである。
そして『すこしだけ足しにしてほしくて…』といってボーリング場でピンを立てるバイトを夜な夜なしていたという3ドルをわたし、ユージンには『金を貸している友達から担保で受け取った』という女体のあられもない写真を渡すのだ。
ちなみに母親には『昨日はぐっすり眠れた』という。
ここで気になるのは、こいつほんとに軍隊に入ろうとしたのかである。
わたしは正直、兄はユージンから借りた金を返していないし、友人に貸した金とユージンから借りた金たして、自分の小遣いをちょっと盛って『アルバイトをした』と渡したのではないかと疑っている。
ユージンは兄をめちゃくちゃ尊敬しているため、なんかよくわからないが兄はいいかんじに描かれているが、怪しいところである。
兄は普通に友達のところで寝て、金を用意して帰ってきたのではないか?
女体の写真をもらって喜ぶユージンはなんやかんや巻き上げられた小遣いを忘れているし…
もはや私は神保とユージン以外信頼していないのである…‼️‼️
というのはまぁ冗談で、兄も普通にいいやつだ。多分ボーリング場で働いたのも本当だろう。
それにしても、苦手なレバーを食べたふりしたり、ごはんを食べてないのにクッキーをくすねたり、野球選手の真似をして遊んだり、女の子の体をおもってどきどきしたりしてるのに成績だけはめちゃくちゃいいユージン、オタクの妄想みたいな佐藤勝利だったな……
【まとめ】
この物語は、ユージンという14歳の少年の目線で描かれた家族の物語だ。
第二次世界大戦を目の前に控え、ブライトンビーチの一家も、ポーランドからの難民家族を受け入れ、さらに大人数の家族となって、戦争を乗り越えていく。
ユダヤ系の一家である彼らは、アメリカにいるものの、お第二次大戦下のホロコーストで同じユダヤ人の人々が受けるひどい出来事に胸を傷めるだろうし、兄と父は戦争に赴くかもしれない。
オーディションを受けるつもりの姉も、おそらく受けることはできないだろう。
多くのこれから訪れる不幸を、この作品は予見させる。
戦争は不幸だ。しかし、彼らが家族の絆をを強固にしたことが、これからの物語の救いとなるだろう。
そして、この回顧録が物語になっているということは、(ニールサイモンの自叙伝的小説ということを差し置いても) ユージンは家族の期待通り大学を出て、作家になるわけである。
ユージンという少年こそが、この世界の希望であり、そして家族の愛を、必要性を尊重する存在なのだと、そう思う
とてもいい舞台を観れてよかった。
そしてこれから私は神保悟志を応援します
おしまい
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