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きっかけは書籍の出版差止運動から NPO法人ぱっぷすの結成ストーリー

東京都若年被害女性等支援事業の一角であるNPOぱっぷす、
その結成の裏にあった出版差止要求事件についてご紹介します

本noteは下記動画の再編集となりますのでどちらかを御覧ください

きっかけは書籍の出版差止運動から
NPO法人ぱっぷすの結成ストーリー
【東京都若年被害女性等支援事業4団体】

ぱっぷすについて

NPO法人ぱっぷすは

・AV被害に代表される性的搾取を無くす
・被害女性のAVの販売停止につながる活動
などを主に行っている団体です

https://www.paps.jp/

私としても本人の意にそぐわない契約は違法ですし
その被害を無くす活動は意義のある事だと考えています

ただその結成の際にAVではなく
「書籍の出版停止」を要求していた事が引っかかり
本noteを執筆します

なおこの記事をご覧の方はもうご存じの方も多いでしょうが
何度も記事にしているcolaboさんと同じく
ぱっぷすは東京都若年被害女性等支援事業を受託しています

では結成ストーリーを見ていきましょう

きっかけは2008年、バクシーシ山下

全ての始まりは2008年、AV監督のバクシーシ山下さんが
『ひとはみな、ハダカになる。』(理論社)
という本を出版した事です

大人から子供までを対象に良書を出版してきた良識派出版社 理論社から、
AV監督であるバクシーシ山下さんが出版した事に当時婦人団体に所属していた宮本節子さんは驚愕しました。

「男目線で興味本位に性を書いた本を、
何の前提もつけずに青少年に差し出していいのか」

『ポルノ被害の声を聞く』
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確かに性について赤裸々に書いた本を小学生が読んだら
混乱しちゃうかもしれないので、
児童書や漫画コーナーには置いちゃダメですね

そこで宮本さんはこの本を
「全国婦人保護施設等連絡協議会民営施設長会」
という舌を噛みそうになる団体に持ち込みました

そしてメンバーで回し読みをした結果、ある方が口を開きます

「理論社にこの本の回収、絶版をお願いしましょう」

『ポルノ被害の声を聞く』
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その後で一同でバクシーシ山下さんが撮ったAVを鑑賞。
残忍冷酷な内容でラストシーンでは一斉に悲鳴が上がったそうです。さらにさらに視聴して数日間、身の不調を訴える人もいたそうなので、山下さんの映像作品は過激な内容なのは間違い無さそうです。

宮本さんたちはそこから婦人保護施設や女性団体、児童養護施設や軽度の知的障害者が利用している施設などから書籍の回収、絶版を要望する署名活動をしました。その結果1万筆を越える署名が集まった為に、それらを上等な風呂敷に包み、理論社へ赴きます。

宮本さんたちは3時間40分に渡って理論社の方々と面談をしたけど論点は平行線をたどって決裂してしまいました。

しかし、この運動をしたメンバーが後に「ぱっぷす」を結成しました
AV被害者を無くす思いから生まれた行動は無駄ではありませんでした
そんなぱっぷす誕生当初の目標として宮本さんは以下のように述べました

ポルノグラフィは大人のファンタジーではなく、そこには生身の性暴力被害者がいることを広く認知させていく社会啓発であった。
当時はまだ、具体的な被害者の姿が、私たちには明確には見えていなかったのである。

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ぐ、具体的に被害者が見えていなかったのにAV監督の書籍の出版停止を要求してたんですね…

ぱっぷす、始動

出版停止要求事件の翌年、2009年にぱっぷすは始動しました。

当初は新規AV被害女性に出会うことができず2011年にようやく初遭遇。
しかし当時はぱっぷすに被害者支援の具体的方法が欠けており
残念ながら課題を解決する事が出来なかったそうです。

そして2013年、ようやくぱっぷすが具体的な被害者支援に成功します。さらにそのレポートを公式サイトに掲載した所、被害者が顕在化し相談件数の増加に繋がり今に至ります。

『ポルノ被害の声を聞く』
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より筆者が作成

 2014年~最新の相談件数を見る限り現在ぱっぷすは意義のある活動をしているように見受けられます。ただし、結成時の行動が「被害者がいるはずだ」という想像からそれに関連する業界人の本の出版停止を要求するものだとしたら、私はやりだったのではないかと考えます。
 確認できていない被害者を想定して何かを規制するような運動が起こらない事を願っています。

以上です


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