悲しい

テレビアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』最終話の感想文です。



ぼざろ第12話が放送されて、夜が明けて、朝がきた。
アジカンの「転がる岩、君に朝が降る」が無性に聞きたかったので、ひとまず耳に入れる。EDで流れた、後藤ひとりの歌声を思い出す。本当に終わってしまった。電車の中で少し泣いた。

サブタイトルの元ネタになった曲たちは、どれも各話を程よい密度で思い起こさせてくれる。確か「江ノ島エスカー」が追加される瞬間をほぼリアルタイムで確認した覚えがあるから、少なくとも9話が放送された位の時期からは、これらのアジカン楽曲を結束バンドの曲に負けないくらい何度も聞いていた。

一番のお気に入りは「君の街まで」だ。

「駆け足早めて逃げ出す
君はいつだって」
「揺らいでいる頼りない君もいつかは
僕らを救う明日の羽になるかな」

という歌詞は、ぼっち・ざ・ろっく!という文脈の上で聞いてしまえば、「結束バンドを救う羽になる後藤ひとり」を容易に思い起こさせてくれる。
いつも俯いていて、かと思えば唐突に奇声を発して転げ回る、挙動不審なピンクジャージ。それがライブとなると、時として先輩たちをも驚かせるような演奏を見せ、結束バンドの窮地を救ってしまう。そんな後藤ひとり、そしてギターヒーローの姿。

もうすぐ開始から20分は経つ。CMも過ぎたし、話としても区切りが近そうだ。終わってしまうのか。EDはやっぱり新曲だろうか。そんな気持ちでその時を迎えた気がする。
なんだか聞き覚えのある音楽が流れ出した。これもしかしてアジカンじゃないか。というか声。これ後藤ひとりの歌声じゃないか。『ローリング ローリング』って聞こえた。間違いない、「転がる岩、君に朝が降る」だ。そして後藤ひとりカバーだ。とんでもないな。

そういえば冒頭の歌詞は

「出来れば世界を僕は塗り替えたい
戦争をなくすような
大逸れたことじゃない
だけどちょっと それもあるよな」

だった。この歌詞そのまま後藤ひとりだなとは、アジカンのMVを見た時に思った覚えがある。後藤ひとりさんだって、なんでバンドを始めたのか聞かれて困ったら、「世界平和を伝えたくて」と言っていた気がするし。

それにしても後藤ひとり、なんて優しい声で歌うんだ。
今度は家に着いていたから、思いっきり泣いた。

悲しいという感情の純度がこんなに高いことなんて、なかなかない。人生初めてかもしれない。
ぼっち・ざ・ろっく!のアニメは、とりあえずシーズン1は、終わってしまったんだな。本当に悲しいな。

結束バンドの物語はまだまだ続くということを、アニメの終わり方とか、アルバムの構成とか、色んな部分から感じている。とても楽しみだ。けど、今だけは思いっきり、この素晴らしい作品が最終回を迎えたということを悲しんでもいいかなと思った。

ありがとう、ぼっち・ざ・ろっく!
結束バンドの物語を追いかけたこの数ヶ月は、そして最終話とアルバムの先行配信を視聴した1時間は、きっと一生忘れられない思い出になると思います。

2022/12/25 9:44

追記

しばらくはこれで生きていきます

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