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BPO x アニカビ - 和製サウスパークに"苦情"は来たのか?

アニメ『星のカービィ』。

カービィのボイスを担当する大本眞基子氏曰く「笑い・涙・狂気ありの戦うホームドラマ」と形容される作品。

かつてWiiの間で100話配信がありましたが、DVDは途中で打ち切られたため当時録画していたVHSでしか、まともな手段では振り返ることができませんでした(後は‥‥レンタルVHSを返さず持ってるとか?…え?Youtubeの英語・スペイン語字幕の動画?)。しかし、Blu-ray BOXの登場によりいつでも見返すことができるようになりました。

Blu-ray Boxの一般販売は2024年03月14日11時59分までですが、一般販売については在庫状況に限りがあるためそれ以前に販売が終了する可能性があります。告知から2時間程度で在庫0となりました。

この作品は王道なストーリーながらも、時々見られる狂気から「和製サウスパーク」とも評されました。

そうなると俄然気になるのは「苦情とかなかったのか?」という点です。え?気になりません?

関東地区での平均視聴率は5.2%。CBCのこの時間枠(7:30 - 8:00)で放送されたアニメ・特撮番組の中では、当時最も高い平均視聴率、最高視聴率を記録している。

Wikipedia『星のカービィ (アニメ)

Wikipediaでも当時の時間帯では最も高い平均視聴率、最高視聴率を記録しているとありますからそれだけ視聴されたと言えます。ならば、あのカオスな展開に物申す人がいても不思議ではないでしょう。


では、その苦情を調べるにおいて何を見ようかとなりますが、ここで出てくるのはBPOです。放送倫理・番組向上機構ですね。

視聴者からの意見では青少年に関係のあるものが公開されています。BPOは色々動きがあった結果サイトの変更が相次いでいますが、幸いにもwebarchiveに残っていますため検証が可能です。

例えばこんな感じですね。

最近のドラマ、アニメのBGMが大きく、テレビを見ている子どもたちの感性に悪影響がある様に思う。

2003年7月分

アニメ「星のカービィ」が放送された期間は2001年10月6日 ~ 2003年9月27日のため、2001年10月分から2003年10月分までの2年間を集めています。


BPOは勿論アニメだけでなく、バラエティーやニュースなども入っていますためアニメに関係する意見、合計198件をまとめ、そこからアニメ「星のカービィ」に関係しそうなものがないか見てみました。




すると…




1件のみがヒットしました。


アニメ。遺伝子組換えや、遺伝子ドーピングに関して、子どもたちに誤解を与える内容だ。慎重に扱わねばならないテーマを軽はずみに子ども向けの番組で推奨するかのように放送するのは、非常に悪影響がある。

2003年4月分


「これカービィ?」となりますが、日付が大事です。2003年3月には「夢の恐竜天国! 前編/後編」がそれぞれ22日/29日に公開されております。そこからBPOに意見を送って公開が4月になったと考えれば辻褄が合います。


ここから言えるのは、少なくとも当時あの表現はほとんどアウトではなかったということです。

同時に、他に出てくる意見を見るとアニメ「星のカービィ」で苦情が出てくることはそんなにないだろうなとも思いました。


2000年代を振り返る


そもそも、朝放送の番組よりかは夕方の方が注目度が高いです。例えばこんな感じです。

アニメ。「呪い」「人形にくぎを打つ」など、エンディング曲が子ども向け番組の歌詞にふさわしくない。週末のアニメにこのような曲を採用する局の姿勢が理解できない。

2002年7月分

恐らくこれは「ちびまる子ちゃん」で一度だけ流された「呪い」という歌が原因でしょう。


これはまだ間接的で、はっきりとした暴力に閉口する意見が沢山出てくるのです。

アニメ。首に爆弾のようなものをつけて殺すというストーリーはあまりに異常だ。すぐ中止したほうがよい。

2002年12月分

アニメ。戦闘の場面で、内臓の破裂が露骨に描かれた場面があり、疑問を感じた。必ずしもそういう描写が悪いとは思わないが、土曜の夕方に流すのは無神経である。よほどの必要性をもって挿入する場面であろう。

2003年06月分

アニメ。核爆弾で敵の戦闘機を吹き飛ばしたり、町に原爆を落としたり、子ども向けの番組にしては過激な内容だ。殺人や戦争を良いことだと教えかねない番組だ。

2003年09月分


アニメには詳しくないためなんとも言えませんが、このような意見が飛び交った時代に、アニメ「星のカービィ」を見ても眉をひそめるかと言われればそうでもないでしょう。大体、親は安心していたから見せていた訳ですし。


考えれば、2000年代はなかなかに刺激の強い時代です。アメリカ同時多発テロもそうですが、イラク戦争のように戦争は身近にありました(今と違って米国の軍人が死亡することは頻繁に目にしました)し、コンプライアンスも今より緩かったです。武富士のような消費者金融も幅を利かせていましたし、映画で言えば『バトル・ロワイアル』も2000年に公開されていますね。


それからコンプライアンスも厳しくなり、ある意味では非常に過ごしやすい時代がやってまいりました。今、あのような表現をすれば視聴者からの熱い意見が飛ぶとは私は思いますが、放送当時、アニメ「星のカービィ」は特に何も言われていなかった…というのが今回のまとめです。


ただ、特になにも言われていなかったのはあくまでもBPOにおける話。当時、あのアニメがファンの間で毀誉褒貶をもたらしたという話は確かにありました。


聞いてて楽しい話ではないですが、事実と反した話が流れてくれば、公開20年という時間を踏まえて展開したほうがいいなと思っています。そんな
閲覧注意な話は8月中を予定しています。



おまけ


最後に、検証のため用いたスプレッドシートを残しておきます。「本当にそうなのか?」と思った方は検証をお願いします。


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